鳩メモ(『ロロナのアトリエ 』と『メルルのアトリエ』) | キジバトのさえずり(鳩に執着する男の語り)

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・ビデオゲーム『マリーのアトリエ』からはじまる一連のアトリエシリーズの中で、アーランドシリーズに位置する2作品――『ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術師~』と『メルルのアトリエ ~アーランドの錬金術士3~』に伝書鳩が登場する。

■『ロロナのアトリエ ~アーランドの錬金術師~』

・道中を行く錬金術師の主人公・ロロナが、アーランド王国の騎士・ステルクの手紙を伝書鳩から受け取る。

・アトリエにやってきたステルクから彼の愛鳩を見せられたロロナは、その鳩の愛らしさに喜び、
「わたしも飼いたいなあ…」
 と、言う。そして、昨日作ったクッキーがあることを思い出したロロナは、胸を躍らせながら、クッキーを取りにアトリエの奥に引っ込んでしまう。
 ちなみに、ステルクは、仕事の進捗状況を確認しにロロナのアトリエにやってきていた。
「…とても話ができる状態ではないな。
お前を連れてきたのは失敗だったか」
 と、ため息をつくステルクであった。

■『メルルのアトリエ ~アーランドの錬金術士3~』

・アールズ王国のデジエ王に仕えているルーフェス。その彼の部屋を訪れる、アーランド共和国の使者・ステルク。アールズ王国の王女で、本作の主人公であるメルルも交えて、二人の男があいさつを交わす。
 はじめはステルクとルーフェスが愛鳩家である話題で二人の男は意気投合する。しかし、やがて、それぞれが飼っている鳩の羽色について意見が対立する。ステルクは、鳩は平和の使者であり、純白こそが本来の姿であると主張し、一方のルーフェスは、鳩はときに隠密的行動を取らねばならない場合もあるから、合理性の面において黒以外はあり得ないと主張する。
 メルルが二人の言い争いをやめさせようと仲裁に入るが、うまくいかない。結局、メルルは、自然にけんかが収まるのを待つことにするのであった。

・メルルが町を歩いていると、ステルクが誰かと話しているのを見かける。しかし、辺りには誰もいない。ステルクが飼っている白鳩がいるだけである。
「…まさか、ハトさんと?」
 そう思うメルルの予想は当たり、ステルクは白鳩と話しているのだった。しかし、相手は鳩である。人間と言葉を交わすことなど、できようはずもない。それなのに、ステルクは当たり前のようにこう語る。
「アーランドが共和国になった時も
こいつがいたから…

王室付きの騎士という制度も廃止され、
多くの同僚が城を去っていく中、
私もこれからのことを考えたものです

このまま、自称「騎士」でいいのかと。
…そんなとき、こいつが言ったんです

お前の騎士道とは、そんな物なのか!
一度決めたことを簡単に違えるほど、
騎士の誓いとは陳腐なものなのか!

たとえ国のありようが変わろうとも、
己が信じる道を貫き続けてこその騎士では
ないのか!

騎士とは…騎士とは!
身分のことではなく、その生き様だろう!
…と」
 メルルはあきれて、こう言う。
「ず、ずいぶん…しっかりとした考えを
お持ちのハトさんなんですね…」

・ある日のこと、メルルは思い切って、ステルクにこう問いかける。
「ステルクさんて、は、は…
ハト語がわかるんですか!?」
 しかし、メルルの想像に反して、ステルクは鳩語など話せないと否定する。鳩が何を考えているのか勝手に推測しているだけだ、とのことである。
 ちょうどそんなとき、ステルクが飼っている白鳩がやってくる。
 くるっぽーという鳩の鳴き声を聞いたステルクは表情を変える。
「な、何っ!?
あの方がこの近くにいるだと!?

東の方角に徒歩1時間の距離だな!?
わかった、ただちに出発する!

申し訳ありません、姫様。
急用ができましたので、
これで失礼します。では…」
 このやりとりを目で見て、耳で聞いたメルルは、確信を持ってこう言う。
「ウソだ、ハト語がわからないなんて
絶対ウソだ!
だって、説明が具体的だったもん

やっぱり…ステルクさんって
ハトの世界からきたのかも!
そんなわけないか…」