その人の職業がその人を決める | キジバトのさえずり(鳩に執着する男の語り)

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・その人が就いている職業によって、その人の限界や将来が決まってしまうことがある。例えば、よくいわれるのが、皇帝にまで成り上がった、ナポレオン・ボナパルト。彼がもし、軍人でなかったら、単に一個人としての生涯を送り、歴史に名を残すことはなかったはずだ。
 もちろん、動乱期のフランスに生を受けた、という要因はあるのだが、ナポレオンの職業が軍人だったことが、より大きな要因になっている。彼が軍人ではなく、パン職人であったら、フランスが動乱期にあろうが、なかろうが、絶対に皇帝になど、なれない。せいぜいが、腕のいいパン職人、といったところだ。つまり、ナポレオンのような偉大な男であっても、就いている職業によって、ナポレオンの評価が変わってしまうのだ。
 偉大な皇帝と、腕のいいパン職人とでは、天と地ほどの開きがある。しかし、ナポレオン本人にしてみれば、何も変わってはいない。ナポレオンはナポレオンである。その能力に違いはない。
 「その人の職業がその人を決める」といっては、言い過ぎになってしまうんだろうか。そして、この主張を認めるということは、職業に貴賤があることをも認めてしまうことになってしまうんだろうか。俺にはよく分からない。