~休止していた実家の酒蔵を再生する若き造り手~

【所在地】
 滋賀県東近江市五個荘町

【場所・歴史】
 中澤酒造は1948年(昭和23年)の創業ですが、日本酒消費低迷のあおりを受け、現蔵元・中沢一洋さんの祖父が2000年休業しました。
 しかし大学卒業後、酒類総合研究所での研修を終え、実家での酒造りに取り組んでいた中沢さんは、どうしても酒造りと蔵を再開したく悩んでいたところ、「うちへ来ないか?」と声を掛けたのが、同じ東近江市内にある、”大治郎”の銘柄で知られる畑酒造・畑大治郎蔵元でした。
 畑酒造も、以前は日本酒消費低迷の為、一時は廃業を考えなければならない時期もあったので、同じ境遇の中沢さんが他人事に思われず、救いの手を差し伸べました。
  中沢さんを蔵人に迎えて3年目の2004年、畑蔵元から、「畑酒造で自身の酒を仕込んでみたら?」と持ち掛けられ、中沢さん自身のブランドを立ち上げました。
 
そして2015年、念願の自社蔵を復活させました!
 自分で立ち上げるには、何もかも自分でやらなければならないので、試飲室の壁塗りなどもすべて手作業で行いました。
 酒銘「一博(かずひろ)」は、酒造りを学んだ中澤酒造「坂頭宝一」杜氏と畑酒造「谷内博」杜氏の名前から一文字ずつもらい命名しました。


≪旧中山道の雰囲気を濃厚に残す中澤酒造外観≫

【酒蔵の紹介】
 長い間使われていなかった酒蔵は、あちこち修繕の必要がありました。
 中沢蔵元は古い機材を直し、排水管理が徹底できる床工事を行い、麹室を修復し、酵母室をピニールカーテンで仕切るなど、数多くの事を一つ一つ丁寧に行い、古いながらもちり一つない清潔な環境へと変えました。


≪自身で壁塗りなどすべて行った試飲室≫


≪ビニールカーテンの奥は酵母室となります。手前は酒米蒸し器(甑…こしき)≫


≪麹室の中は塵一つなく清潔に保たれています≫


≪滋賀の友人蔵元から譲り受けたヤブタ式圧搾機≫

【生産者】
 中沢一洋さんは、自分が出来るひとつひとつの事柄を着実に丁寧に仕上げていきます。
 酒造りを学んだ杜氏やお世話になった畑酒造・畑大治郎さんから造りを通じて人間の生き方も学び、醸したお酒を通じて人に幸福を与える事を目指しています。


≪中沢一洋 蔵元≫

【作り手の思い・ポリシー・求めているもの】
 飲みあきしない常に寄り添うようなお酒