妊娠七ヶ月。
つわり終息かと思いきや、今度は異常な眠気とパワーアップした喉の乾き、頻尿である。
私の身体はいったい、
どうしてしまったのだろうか。
基本デスクワークなので、眠気は地獄である。
カフェインはとれないし、居眠りもできない。
いや、何度か意識は手放した。
もはや気絶である。
私に残された道は、眠くなったら徘徊する、体操する、休憩時に仮眠をとるぐらいである。
おまけに途中から咳も追加された。
この咳が非常に厄介で、後に病院に行って判明したのだが、ぜんそく息と呼ばれるらしい。
この咳がだんだんひどくなる。
しかし、私はどうせ飲める薬など限られているし、ぶっちゃけ中の人に悪そうだから薬なぞ飲まん!と考えていたためにギリギリまで受診を拒んだのである。
今ならわかる、アホである。
座っていても咳、食べても咳、歩いていても咳、ついでに尿漏れ。
ついに尿とりパットの登場である。
この、パウダリーな香りが尿臭とあいまってなんか、ちょうどいい感じになるのである。
私は一刻も早く産休に入りたかった。
同室者もいい迷惑であったろう。
とうとう、横になったら咳が止まらなくなるようになり、眠れない日が続いた。
満身創痍である。
その頃にやっと私は産休に入り、そのため昼間は眠れるようになったのだが、このままでは薬よりも中の人に悪い。
諦める前の一週間は本当に、横たわれば死にそうになるので武士のような格好で寝ていた。
腹が出ているために体操座りができず、かといって長座も苦しかったので、なんか、そんな感じになった。
私は、今度こそ口コミをよくみて呼吸器科を探した。
ちなみに産院であるが、戌の日あたりに院長直筆の腹帯をいただいた。
最初の後悔とは裏腹に非常にアットホームでよい病院だった。加えて待ち時間ほぼゼロ。
咳以外は、中の人の影響によって肉、魚、野菜、水しか受け付けず、半強制的に健康的な暮らしをしていたので、体重もたいして増えず、尿検査も一度も引っ掛かることのない健康優良妊婦だった。
一方呼吸器科の病院である。その病院は、名前を呼ばれるとカーテンしきりの簡易ベッドが並ぶ部屋に通され、そこで予診を受けて検査をし、診察に至るのである。
そこでも私は横になれず、武士スタイルの妊婦を憐れんだ医師は私の手をとり「しっかり治しましょうね」と言って、吸入器の使い方を教えてくれたのであった。
その翌々日から
私は再び横になって寝られるようになった。