特急「スーパーはくと」の概要

特急「スーパーはくと」は京都・大阪から鳥取・倉吉を結ぶ列車です。

かつて京都から鳥取は山陰本線を経由する特急「あさしお」で結ばれていましたが、所要時間は約4時間でした。

それに対し「スーパーはくと」は東海道本線、山陽本線、智頭急行、因美線を経由して結んでいます。

遠回りではありますが殆どの区間が高規格路線であるため、最高速度は130km/hに引き上げられ、京都から鳥取を約3時間で結んでいます。

あまりにも「スーパーはくと」が速いため高速バスや航空便を減便、廃便に追い込んだとも言われています。

「はくと」とは因幡の白兎伝説の「白兎」を音読みしたものです。「あさしお」の前身となる準急列車で初めて採用された名前です。

 

 

特急「スーパーはくと」の停車駅

※2024年3月現在

「スーパーはくと」の停車パターンは大きく分けて4つです。

2023年まで全ての列車が京都発着でしたが、京都からの需要は少ないため、2024年のダイヤ改正で京都発着の列車は2往復に減便され、そのほかは大阪発着に改められました。

その代わりに大阪から鳥取を結ぶ列車が1往復増便されました。

この他に10号、13号が臨時列車として設定されています。

 

 

特急「スーパーはくと」の使用車両

特急「スーパーはくと」の車両はHOT7000系が使用されています。

これはJR西日本の車両ではなく、智頭急行の車両です。

智頭急行はこの車両の車両使用料で利益を出しています。そのため、「スーパーはくと」の運行区間が姫路までに短縮される話が出たときは猛反発したと言います。

上郡から倉吉までは非電化区間のため気動車となっていますが、電車並みの走行性能と振り子機構を備えた高性能気動車で、鳥取と関西圏の距離を縮めることに大きく貢献しました。

HOTは兵庫、岡山、鳥取の頭文字をとったものです。

智頭急行が開業した1994年にデビューした車両で、近々置き換えの噂も立っています。

最高速度は130km/hのため先頭車は流線形のデザインが採用されています。

同じ智頭急行線内を走る「スーパーいなば」のキハ187系は先頭車の形状が平面のため最高速度は120km/hに抑えられています。

1997年まではキハ181系も使用されており、差別化のため「スーパー」を冠していましたが、HOT7000系に統一された後も「スーパー」を冠しています。実際「スーパー」を冠するにふさわしいデザインと走り方をしています。

 

 

乗車レポート(2023/12/09)

この日は鳥取から京都まで「スーパーはくと8号」に乗車しました。

席はグリーン席を予約しました。気動車ならグリーン車でもエンジン音を聞くことが出来ます。

1+2列の配列となっており、豪華なグリーン車となっています。

30年以上前に製造された車両ですが、コンセントやWi-Fiが完備されており、最近の車両と遜色ない設備が整っています。

しかし、Wi-Fiはほとんど使い物になりませんでした。

 

・鳥取~智頭

鳥取から智頭までは因美線を走ります。

鳥取を出発した後はしばらく住宅地を走りますが、山を越え若桜鉄道が分岐する郡家に到着します。

郡家を出発した後はしばらく千代川に沿って走り智頭に至ります。

因美線はローカル線のため線形もよくなく、最高速度は90km/hほどに抑えられています。

しかし、これでも線路の改良はされているようです。

 

・智頭~上郡

智頭からはいよいよ「スーパーはくと」の真骨頂である智頭急行線を走ります。

智頭急行線は国鉄時代に計画倒れした路線を、第三セクターの智頭急行が引き継いで完成させた路線です。

鳥取と関西圏を最速で結ぶため、当初は北越急行同様電化して最高速度160km/hで特急を走らせる計画でしたが、最も採算がとれる非電化、最高速度130km/h対応の路線として1994年に開業しました。

 

智頭を出て因美線と別れると直ぐ高規格な線路を走ります。

智頭急行線は最高速度130km/hに対応させるため、殆どの区間が高架、築堤で構成され、山には長大なトンネルが掘られています。

そんな智頭急行線を「スーパーはくと」はエンジンを唸らせ130km/h近い速度でぶっ飛ばします。

智頭急行線内からの車窓はほとんど人が寄り付かない山の中か、トンネルとなっています。

智頭急行線で一番長いトンネルは鳥取県と岡山県の県境にある志戸坂トンネルで約5.5kmの長さがあります。

まともな街が形成されているのは特急停車駅である大原駅周辺と佐用駅周辺くらいです。

如何せん速度はめちゃくちゃ速いので、高速で流れる景色を眺めるのは退屈ではありません。

智頭急行線内を走るのはわずか40分弱であっという間に上郡駅に着いてしまいました。

 

▲大原駅周辺の様子。智頭急行線であればこの規模の街でも大都会です。

 

上郡~京都

上郡からは天下の大幹線、山陽本線と東海道本線を走ります。

当然ながらこの区間では120km/hで爆走しますが、明石までは特に見どころが無いので寝ました。

明石からは須磨辺りまでは海岸線沿いを走るため瀬戸内海や明石海峡大橋を眺めることが出来ます。

「スーパーはくと」でなければ眺められない光景ではありませんが、エンジンを唸らせての130km/hは新快速とまた違った魅力があります。

 

沿線にマンションやビルが増えると神戸市の中心三ノ宮に到着します。

ここで半分くらいの乗客が降りていきました。

三ノ宮から大阪まではマンションやビルが途切れることなく続いていきます。

日本一人口の少ない鳥取県からわずか2時間ほどで日本第2の大都市圏にアクセスできる「スーパーはくと」はやはり偉大です。

鳥取から約2時間半で大阪に到着しましたが、ここでほぼ全ての乗客が降りていきました。

やはり京都まで乗り通す人は少ないようです。JR西日本が車両使用料を節約するために京都発着の列車の減らしたのは無理もないかもしれません。

鳥取から約3時間で終点京都に到着する。

 

 

総評

乗車時間: ★★★★

スピード感:★★★★★

車窓:   ★★★

 

乗ってたのしい列車認定です。

とにかく速いです。気動車特急でこの速さは異常ともいえます。

特に智頭から終点までは基本的に120~130km/hの高速度でぶっ飛ばしており、とても爽快な気分になります。

一方、車窓は正直言って普通です。

 

基本的に山の中を走っているので、これといって景色が綺麗な区間はありません。

明石から須磨までの海岸沿い区間も「スーパーはくと」でなければ見られない光景ではありません。

ただし、あまりにも速いため平凡な景色も見ていて全く飽きません。

 

お勧めの座席はCD席です。

 

車内チャイムは「大黒様」と「ふるさと」が採用されており、今回乗車した列車では「大黒様」が流れていました。

下り列車は「ふるさと」、上り列車は「大黒様」と使い分けられているのでしょうか?

この辺はよくわかりません。

 

京都発着の列車が少なくなってしまったのは残念ですが、HOT7000系が使用されている内に乗りに行くことをお勧めします。

nosh(ナッシュ)