特急「ひだ」の概要

特急「ひだ」は大阪・名古屋から高山・富山を東海道本線、高山本線経由で結ぶ特急列車です。名古屋から高山までは1日10往復運行されており、大阪を発着する通称「大阪ひだ」は1日1往復、富山まで運行される列車は1日4往復されています。名古屋から高山までは4両から7両編成、多客時には最大10両編成で運行されている一方、それ以外の区間は3,、4両と短い編成で運行されています。

 

 

停車駅

※2024年3月現在

特急「ひだ」は停車パターンが列車によってばらつきがあります。

基本的に名古屋から富山を走る列車は停車駅が少なく、名古屋から高山を走る列車は停車駅が多めに設定されています。

高山本線は美濃太田以北の普通列車の本数が非常に少ないため、普通列車の補完という意味合いがあるのかもしれません。

なお、25号、36号は大阪発着の列車で、大阪から岐阜の停車駅は新大阪、京都、草津、米原、大垣です。

 

 

 

使用車両

現在はHC85系が使用されていますが、2023年までキハ85系が使用されていました。

キハ85系はJR東海初の特急型車両で、スタイリッシュな見た目と気動車とは思えない走行性能が特徴的な車両です。

今回のレポートはキハ85系で運行された「ひだ」に乗った時の物です。

 

 

乗車記(2022/12/05)

今回は名古屋11:48発、富山14:51着の「ひだ7号」に乗車しました。

約4時間の長旅となります。

今回乗車したのはキロ85形というパノラマグリーン車です。

しかも前面展望を楽しめる一番前の座席を確保できました。

このキロ85形は元々南紀用に導入された車両でしたが、特急「ひだ」の利用促進のため、2001年から「ひだ」で使用されています。

2+1列の配列に巨大な窓、更に前面展望も楽しめるというとてつもなく豪華なグリーン車となっています。

このせいで中間車のグリーン車がぼったくりと評価されることもあります。

 

・名古屋~岐阜

10:34に「ひだ7号」の運用を担当するキハ85系7両が入線しました。

この時点で唸るエンジン音、白煙、軽油の臭いをまき散らしており、気動車らしい力強さを感じました。

HC85系ではこれらの要素がかなり抑えられていると思いますが、それは仕方のないことです。

こんなことで喜んでいるのは鉄道マニアだけです。

▲名古屋駅に入線した特急「ひだ」。

名古屋から岐阜までは東海道本線を走行します。岐阜で進行方向を変えて高山本線に入線する関係で、座席は逆向きのまま約20分走行します。

特急「ひだ」はこの区間を313系と同じように最高速度120km/hで爆走します。

キハ85系はカミンズ社製のエンジンのおかげで電車と殆ど変わらない走行性能を有しています。

 

・岐阜~美濃太田

岐阜からはいよいよ高山本線に入ります。

高山本線は非電化単線のローカル線ですが、高速運転ができるよう改良がなされています。

特に顕著なのは岐阜から鵜沼の区間で、この間にある駅には最高速度110km/hで通過できる特殊な分岐ポイントが設置されています。

ここを通過するときの揺れと音はなかなかのもので、ジェットコースターに乗っているかのようなスリルを味わうことが出来ます。

また鵜沼に近づくと、右側に木曽川の対岸にある犬山城の天守閣を見ることが出来ます。

国宝にも指定されている貴重な天守閣です。

▲猛スピードでポイント分岐に突っ込む特急「ひだ」。

 

鵜沼を過ぎると木曽川の渓谷沿いを走るようになり、速度が若干落ちます。

この渓谷は「日本ライン」と呼ばれる景勝地で、ドイツを流れるライン川に光景が似てることからそう呼ばれています。

▲日本ラインに沿って走る「ひだ」。

 

・美濃太田~高山

美濃太田からはいよいよ高山本線の真髄とも呼べる区間に突入します。

中川辺駅を過ぎると飛騨川に沿って走るようになります。

高山本線は基本川に沿って線路が敷設されているため、渓谷を走る光景があと2.5時間ほど続くと言ってよいでしょう。

上麻生から白川口の間では「飛水峡」と呼ばれる景勝地に沿って走ります。

特急「ひだ」は観光客の利用が多いため、自動放送による観光案内も行われます。

ここは特急「ひだ」屈指の絶景スポットと言えます。

▲飛騨川の渓谷。このような光景が延々続きます。

 

高山本線は飛騨川に沿って走りますが、飛騨川は蛇行を繰り返しているため、橋やトンネルでショートカットしている箇所が多々あります。

古井から久々野の間で飛騨川に沿って走りますが、その間24回川を渡ります。

▲分水嶺を越える手前の「ひだ」。

 

久々野駅を過ぎると飛騨川と別れ、高山本線で最も長いトンネルである宮トンネルをくぐります。

この宮トンネルは分水嶺となっており、日本海側に出ます。

宮トンネルをくぐった後は宮村の大カーブを通過し、周囲が開けると高山に到着します。


▲高山駅で約5分の停車。

高山では列車の切り離しを行うため、5分ほど停車します。

今回は7両編成でしたが、前3両が富山に向かい、後4両は高山で終点となります。

「ひだ」の大半の需要は高山までなので、高山から富山では短い編成で運行されています。

 

・高山~猪谷

高山を過ぎると飛騨古川辺りまでは珍しく開けており、田んぼなどが広がっています。

最高速度は85km/hに抑えられています。

▲飛騨古川周辺の様子。

 

飛騨細江を通過すると飛騨市の市街地を離れ、再び山越え区間となります。

これまで飛騨川に沿って走っていた高山本線ですが、このあとは宮川に沿って走ります。

崖と宮川に挟まれた急峻な地形を縫うように走り、富山県に入ると猪谷に到着します。

 

・猪谷~富山

猪谷までくれば「ひだ」の旅も大詰めとなります。猪谷はJR東海とJR西日本の管轄境界駅のため、当駅から先はJR西日本が常務を担当します。

しばらく神通川(宮川)沿いを走りますが、東八尾手前で神通川を越えるとしばらく川とお別れとなります。

この後は富山市の市街地を走っていきます。

比較的平坦な場所を走っていますが、揺れはJR東海区間よりも大きい気がしました。

JR東海とJR西日本の保線の差が感じられました。

▲宮川から通して20回目の神通川越え。

富山市を北上し、あいの風とやま鉄道線と合流して神通川を越えると終点富山に到着します。

▲終点富山に到着した特急「ひだ」

 

 

 

総評

乗車時間: ★★★★★

スピード感:★★★★

車窓:   ★★★

 

乗ってたのしい列車認定です。

4時間があっという間に感じられるほど、非常に楽しむことが出来ました。

特に単線区間を100km/h以上の猛スピードでぶっ飛ばす区間は、遊園地のアトラクションのような面白さがあります。

ここまでスピード感を感じられる気動車特急もなかなかないと思います。

車窓に関しては日本ラインや飛水峡など所々絶景ポイントはありますが、全体的に似たような景色が続いている印象です。

ほぼ川沿いに線路が敷かれているので、仕方ないとは思いますが。

座席は富山行きの場合進行方向右側(C席)がお勧めです。

ちなみに、ワイドビューチャイムは名古屋発車後と富山到着前に流れました。

現在はHC85系に置き換えられていますので、そっちにもいずれ乗車したいです。

nosh(ナッシュ)