383系

383系は1994年にデビューした特急型電車です。

本系列は名古屋と長野を結ぶ特急しなので使用されていた381系を置き換えるために投入されました。

振り子式車両、パノラマグリーン車といった特急しなのの伝統を受け継ぎつつ、381系に比べ乗り心地、所要時間を改善しました。

 

基本仕様

キハ85系同様車体は側面がステンレス、前面の白い部分が鋼鉄となっています。

前面デザインは非貫通扉車と貫通扉車が用意されています。非貫通扉車は381系のパノラマグリーン車を彷彿とさせるデザインで、大きな一枚ガラスが設置されています。

貫通扉車は少し地味な顔となっています。列車名表示は細長いアナログ式の幕が設置されトレインマークが表示されます。

▲383系の非貫通先頭車。381系パノラマグリーン車を彷彿とさせるデザインです。<長野・2015-03-07>

▲貫通扉先頭車。パノラマ車は丸形のライトを採用しているのに対し、こちらは角形です。<松本・2015-11-21>

 

特急しなのは走行区間のほぼ全てが山間部であるため、日本で初めて振り子車両が投入された特急でもあります。

383系も振り子車両として設計されましたが、単にカーブに身を任せて車体を傾ける自然式振り子ではなく、コンピュータによって振り子を制御する「制御付き自然振り子式」が採用されました。

これにより381系に比べ乗り心地と最高速度が改善されました。

 

基本編成は6両編成で、付属編成として4両編成と2両編成が存在します。

これらの車両を組み合わせることで4両から10両編成で運行されています。

パノラマグリーン車が連結されているのは6両編成のみです。

▲4両編成のA101~A103編成。<長坂ー日野春・2018-09-07>

▲2両編成のA201~205編成。主に増結編成として使用されます。<勝川・2015-08-01>

 

主な運用

・特急ひだ

▲2016年まで大阪から発着する通称「大阪しなの」が運行されていました。<大垣ー垂井・2016-03-23>

特急しなのは名古屋から長野を結ぶ特急列車です。

木曽谷や松本平と善光寺平を隔てる急峻な山間を走るため、昔から高性能な車両が投入されていました。

383系は1995年から使用され、全区間を乗り通すと約3時間かかります。

現在13往復運行されるJR東海屈指のドル箱特急列車です。

2016年まで1往復が大阪から発着しており、日本一の営業距離を走破する昼行列車として君臨していましたが、遅延の影響範囲が多く、そこまで需要もなかったため廃止されました。

 

ホームライナー瑞浪

名古屋から瑞浪を平日に1往復する列車です。

普通車には別途330円を払えば乗車することが出来、グリーン車は普通列車グリーン料金で利用できます。

 

・急行ちくま

大阪から長野を結んでいた夜行列車です。

1997年から臨時列車化される2003年まで使用されていました。

臨時列車化後も使用されましたが、2005年を最後に運行されていません。

 

車内の様子

普通車の様子。

キハ85系は観光客の利用が多いことを見越して、眺望性を優先するため座席が通路よりも高い所に設置されていましたが、ビジネス利用も多い383系では省略されています。

普通車のシートピッチは1000mmとなっており、従来の車両に比べ拡大されています。

座席の幅も拡張されています。

普通車、グリーン車ともにフットレストが設置されています。

▲ワイドビュー車両だけあり窓は大きいです。

▲車内のLED表示器。キハ85系で搭載されたデジタル時計は省略されています。

 

今後の予定

2023年に後継車両である385系を導入するとJR東海から発表がありました。

新型車両は8両編成固定となり今のような変態編成は楽しめませんが、両端にパノラマ車が連結されるのは利点と言えます。

385系はしなのの伝統である振り子式と、パノラマタイプの前面デザインを採用する予定です。

JR東海は特急しなのというものをわかっているようで、導入が楽しみです。

量産先行車は2026年度、量産車は2029年度に投入される予定です。