[ていそ]と読みます。

 

 定礎は、建物の正面玄関の辺りや南東側に置くのが一般的となっています。

 そのためビルに入るときなどに目にする機会が多いかもしれません。

 

 定礎については、法律的な設置義務はありません。

 また、定礎にどのような情報を刻まなくてはならない、定礎石には何を入れなくてはならないといった決まりもありません。

 

 定礎石の奥には定礎箱が埋め込まれていることが多く、中には、建築図面や定礎式が行われた日の新聞、建築当時に発行されている通貨、関係者の名簿などが収められていることがあるとされています。定礎箱はビルが解体されるまで開けられることはありません。

 

 定礎の礎は[いしずえ]と読み[土台]や[物事の根幹となる大切なもの]という

意味があるとされています。

 

 定礎石には[定礎]という文字の下に日付が彫られていることが多いです。

 日付は建築工事が始まった日や、定礎板を埋め込む定礎式の日付であることが多い

とされています。

 

 約7000年前のメソポタミア文明から存在し、その慣習がヨーロッパへと伝わり、古

代ギリシャや古代ローマにおいて、建築物の基準となる石に印を刻み、工事の無事や

建物の長寿を祈願する儀式を行っていたことが、定礎のルーツとされています。

 

 日本では、江戸から明治にかけて西洋の文化が浸透し、レンガ造りや石造りなどの

西洋風の建築が広がる過程で、定礎も日本に伝えられたものと考えられています。

 

 意識してみると、ビルやマンション、学校や病院などから商業施設や介護施設など

様々な場所で見かけることがあるかと思います。

 

 建物建築に携わった多くの人達の思いが詰まっているように思います。