民事裁判において頻繁に使う用語の一つです。

 

 テレビドラマや映画では、双方の弁護士が1回目の口頭弁論から激しく言い合いになったりしている場面がありますが、残念ながら実際の裁判では、そのようなことはありません。

 

 大体は、裁判官から『原告は訴状を陳述しますね?』などと言われ『陳述します』と答え、続いて『被告は答弁書を陳述しますね?』と言われ『陳述します』と答えたら終わります。

 

 その後は、次回の期日を定めます。

 裁判所・原告代理人・被告代理人の都合を合わせます。

 

 次回期日は、被告の答弁書が具体的でなければ[被告の主張]、具体的に書かれていれば[原告の反論]ということになります。

 

 1回目の口頭弁論に限って、被告は答弁書を提出しておけば欠席しても不利に扱われることはありません。

 原告とは準備の程度が違うことが多いからです。

 

 このような場合、裁判官は『答弁書の陳述を擬制』などとして進めます。

 

 地方裁判所の場合は、2回目からは出席が必要ですが、簡易裁判所の場合は2回目以降も答弁書だけを提出して欠席することが認められています。

 

 答弁書を出さずに欠席してしまうと原告の言い分を全て認めたものとみなされて、いわゆる欠席判決が下されることになります。

 

 民事裁判の第1回期日は、早ければ1分に満たない時間で終わります。

裁判所・原告・被告は、あらかじめ資料を持っているので、そのように行います。

 

 法廷傍聴をするとき『1回目から見れば全てを知ることが出来る』と思っても、傍聴人の手元には何の資料もないため、何が起こったのか不明です。

 

 しかも『いよいよ始まるぞ!』と思ったらスグに終わるので驚かれることもあると思いますが、それは裁判の仕組みによるものです。

 

 法廷傍聴には、証人尋問や本人尋問などをする証拠調べを見るのが適していますがそうしたことは、また別の機会に触れてみたいと思います。