不動産の権利に関する登記を申請する場合には、原則として『登記原因を証する情報』を提供しなければならない(不動産登記法61条)と、なっています。
 

 これを【登記原因証明情報】といいますが、その要件や内容をみてみたいと思います。
 

 1 登記原因証明情報の意義
(1)登記申請をするためには『原因』が存在しますので、その『原因』の存在を登記官が確認・審査する情報の提供を求め、登記申請の真正を担保することを目的としています。


(2)平成17年に不動産登記法が改正されるまでは、住所移転や氏名変更に伴う登記名義人表示変更登記、真正な登記名義の回復や相続を原因とする所有権移転登記、錯誤を原因とする抹消登記や所有権更正登記等の場合には、はじめから登記原因証書が存在しないものとして申請書副本を添付していましたが、現行法ではこのような場合でも登記原因証明情報を提供することになりました。



2 登記原因証明情報の要件
(1)登記原因証明情報は『登記の原因となる事実又は法律行為に該当する具体的な事実を内容とするものでなければならないとされています。
 

(2)要件を満たすものであれば、処分証書(売買契約書、抵当権設定契約書等)でも登記申請のために作成した報告形式のものでも登記原因証明情報とすることが出来ます。


(3)登記原因証明情報は、単一の情報に限られず、複数の情報の組み合わせであっても、登記原因を証するといえるものであれば足りるとされています。
 

 ①遺贈の場合…遺言書と戸籍の組み合わせ。
 

 ②売買の場合…売買契約書と領収書の組み合わせ。
 

(4)単独申請による登記や、実体法上一定の権利変動について特定の書面等を作成して行うことが要求されているものに係る登記については、登記原因証明情報の内容が特定の情報に限定され、又は登記原因証明情報の一部として特定の情報を含むとされています。


 ①確定判決による登記…執行力のある確定判決の判決書の正本。
 

 ②住所又は氏名の変更登記…住民票や戸籍。
 

 ③相続による権利移転の登記…戸籍・遺言・遺産分割協議書等


3 登記原因証明情報のに記載されるべき具体的な情報
(1)登記申請情報の要項
 

(2)登記の原因となる事実又は法律行為
 

(3)作成名義人の署名又は記名押印


4 登記原因証明情報の保存期間
 申請の時から30年間、法務局で保管されます。