全国438か所に設置されている簡易裁判所ですが、どういったことを取り扱っているのか、民事事件についての主な手続きを中心に、いくつか取り上げてみたいと思います。

 


1 民事訴訟
(1)訴訟価額が140万円以下の場合に利用することが出来ます。
 

(2)審理では裁判官が双方の言い分を聞いたり、証拠調べをしたりします。
 

(3)双方が合意する場合は話し合い(和解)による解決も出来ます。
 

(4)判決書や和解調書は、相手方の財産を差し押さえるなどの強制執行力を持ちます。
 

(5)判決に対する不服がある場合は、地方裁判所に控訴することが出来ます。


2 少額訴訟
(1)訴訟価額が60万円以下の金銭の支払いの請求に限って利用できます。
 

(2)審理は原則1回で、直ちに判決が言い渡されます。
 

(3)証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べられるものに限ります。
 

(4)分割払いや支払猶予の判決がされることもあります。
 

(5)判決に不服がある場合、判決をした簡易裁判所に異議を申し立てることは出来ますが、地方裁判所に控訴することは出来ません。


3 民事調停
(1)調停委員会の仲介により話し合いで解決します。
 

(2)手続は非公開になります。
 

(3)合意に達したときに作成される調停調書には判決と同じ効力があります。
 

(4)生活の立て直しのため、借金の返済方法を債権者と話し合う特定調停もあります。


4 支払督促
(1)金銭の支払い又は有価証券もしくは代替物の引渡しを求める場合に限られます。
 

(2)相手の住所地を管轄とする簡易裁判所の書記官に申し立てます。
 

(3)書類審査のみを行うため、審理のために裁判所に行く必要はありません。
 

(4)債務者(相手方)が支払督促に対して異議を申し立てると、請求額に応じて地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟手続きに移行します。


5 その他
 その他には、起訴前の和解、公示催告手続、公示による意思表示の手続の他、軽微な刑事事件などがあります。