MASTERPIECE TOUR 終了 | すてきなあなたに

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ギターリスト 藤井謙二のブログ


いつもの事ながら、わたくしなりにメンバー紹介をさせて頂きたいと思います。


ドラム、トミさん。

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それを知ったのはトミさんが復活した二回目のぐらいのリハでした。
向かって左が僕のコンバースで右側がトミさんのブーツです。このブーツ、単に足を守るだけのモノにあらず。トミさんはドラムを叩く前に靴をドラム用靴に履き替えるのですが、その時にポケットの中にあるモノ全て、この靴の中に入れておきます。トミさんはお金はジーパンのポケットに裸で入れておられます、したがって、お札や小銭もこの靴にの中に収納されます。僕は初めて靴の中に札束を発見した時は目を疑いました。その見た事もない光景にもの凄い違和感をおぼえました。なんというか、異文化な感じというか。それからリハが進むにつれ、段々と僕は理解していきます。「ドラムを叩くための身支度を素早くすませ、そして自分の持ち物は出来るだけ小さくまとめておく。」というトミさんの慎ましさからきた生活習慣なのだということ。慎ましくもあり一種独特なエレカシグルーヴの扇の要であるトミさん。
今思えば10円玉に含まれる銅の成分で消臭効果も兼ねていたのかもしれません。そう考えると、それはとても理に適っています。


ギター 石さん
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ある日の楽屋で、お札が完全にはみ出ている状態の使い込まれた二つ折り財布がテーブルの上に置いてあるのを見つけました。その財布の上に親亀子亀の様なかっこうで「小銭入れ」も乗せてありました。小銭入れがあるという事が、この財布にこれ以上の小銭収納の余地がないという事を物語っているようでした。そしてお札のはみ出している部分は角だけではなく、財布の折り目に沿うように一辺が丸々はみ出してる状態でした。これでは慎重に扱わないとお札がボロボロになり自動販売機で読み込まないということにもなりかねない。そう思いました。この財布の持ち主は石さんでした。その時、たまたま石さんと「モノを捨てる派or捨てれない派」というような雑談をしてまして、破れてる箇所もあった財布を見て僕は「このお財布はもう十分役目を全うしたんじゃないですか?」と買い替え時を促すようにたずねました。 
その後の石さんの一言に僕は強く心を打たれました。

「これは、ミヤジがくれたのです。」

しまっっった!!!つまらぬ事を言ってしまった、、、。と、ほんとにおせっかいな自分の一言に後悔しました。しかし石さんの笑ったら瓢箪の形になる口元、その笑顔になんだか救われました。。。その夜、エレカシの絆について考えながら眠りました。


ベース、成治さん
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自分はこの現場の音楽にほんとに必要なのか?役に立てているのか?お客さんは4人のエレカシを見たいのではないか?オレはただのギャラ泥棒天国ではないか?。。。。と、このように人間、疑いの心があれば暗闇に居もしない鬼が見えてくるものです。僕は仕事に関して比較的楽天的なとこがありまして、あまり考えず楽しむ事を優先するタイプですが、やはり今回バンドに対して一人のサポートという形態は初めてだったからでしょうか。全く不安がないと言えば嘘になります。どのようなギターをどれぐらいの距離感で弾くべきか少し考えました。実際、最初の頃は探りながらやっておりました。しかしある時を境に太々しくガンガン弾こうと思いはじめました。それはリハの休憩時間に、僕が成治さんにしたこんな質問がキッカケでした。「おれ…だいじょうぶなんすかね?」 成治さん「いや~、頼もしいです。」ここで会話は終了です。後は沈黙がしばらく続きました。僕はその沈黙も含めてとても嬉しかったのです。つまり寡黙な方の一言というのは、とてつもなく意味が大きいという風に感じるのです。そして寡黙な方こそ聞き上手であり、こんなやり取りの中で、僕のしょうもない疑心暗鬼も、このように自慢話に化ける事もあるのです。
先日のゼップダイバシティーで本編終了後、いつものようにドラムの後ろを通って舞台袖にはけようとした時、僕のギターアンプの裏辺りに、ひっくり返った成治さんのハットを見つけました。なんでこんな所にあるんだろう、、、と不思議に思いましたが、奇想天外な事が起こるのがエレカシのライブです。僕は直ぐに拾って持ち主の元へ届けました。
「おちてました」  「あ、すいません」 そして長い沈黙が続きました。


ヴォーカル、宮本さん
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(画・石さん※本文と関係なし)


ライブ会場の楽屋に居ますと、何処からともなく「チャッ…チャッ…チャッ…」という音が聞こえてきます。なんだろうと思うと、止んで、そしてまた直ぐに「チャッ…チャッ…」と聞こえてきます。そしてまたしばらく続くのです。どうやら隣の楽屋からということは解ったのですが、何の音だかが解りません。

話は変わりますが、僕の曽祖父さんは福山で「悟竹堂」という骨董屋を営んでいた人でした。なので実家には今でも骨董品が古めかしい木の箱にしまわれ保管されております。曽祖父は近所でも「好き者」と言われる程、道具が好きだったようで、商売抜きにして気に入った道具を集めてたようです。
ある日のスタジオで宮本さんの車の助手席に明らかに骨董品と思われる古い木の箱を見つけたのです。数日後のライブの打ち上げにて、あの古い木の箱の事を聞いてみました。宮本さんは髪の毛をわしゃわしゃしながら、あれは~の骨董屋で買った中国の~時代の~の皿なんですよ。と、そして携帯の待ち受けにしてらした皿の写真を見せていただきつつ、色々と説明をしてくださいました。僕は興味津々でした。もっと色々聞きたかったのですが、骨董の知識のない僕には、なかなかうまくは話を膨らますことができません。そしてふと思いました、もし、ここに僕の曽祖父が居たら話はどのように展開していくのだろう、そんなありもしない事を考えてると、だんだん宮本さんが僕の曽祖父に見えてきました…。すいません。

それから数日後の楽屋で、また「チャッ…チャッ…チャッ…」という音が聞こえてきました。そして止んではまた鳴りだします…。ツルの恩返しではないですが、僕はだんだんその音が気になって仕方なくなってきて、そーっと隣の楽屋を覗きに行きました。そこには古き良きを楽しむように、将棋を指す宮本さんがいらっしゃいました。僕は楽屋に戻り、その音を心地よく聞きながら最後の一手を待ちました。

おしまい



最後にマスターピースツアースタッフの皆様、全11公演本当にお疲れ様でした。大変お世話になりました。ご来場頂いた皆様ありがとうございました!

そしていよいよ、明日我がホーム、The Birthdayのニューアルバム「VISION」の発売日です。
明日以降で少しずつアルバムの事に触れていこうかなと思います。またよかったら読んでくださいね。