
( 画像は 458 スペチアーレ )
「 フェラーリ458
リアサス 解析完了 」 です
前回のブログで
「 458のリアサスに
謎があり 良く解らない 」
と書いて
自分でも 、 また 気になったので
再度 きちんと
「 考証しなおしてみる 」
ことにしました
458の疑問点は これ

判りますかね ?
そう 、 アッパーアームが
「 完全 I アームで
前後方向の位置決めが
無い !!! 」
んですわ ( 驚 )
こんなもんで 走ったら
「 ナックルが
ぐらぐらして 走れない 」
です
なので 当然ですが
「 どっかに
位置決めは在りますね 」
探してみます ・・・・
ロワアームが 台形形状なので
前後2つのピポットにて
受けているのか ?

う ~ ん ・・・違うな ・・・
これ 「 両方 ピロ 」 なので
「 ひねられると 普通に動く 」
から ・・・
もっと良く 探す ・・・

在りました ・・・・ この
「 短い垂直方向のロッド 」 で
「 アッパーアームの
前後方向の位置決め 」
してます
凄く変わってます
ここまでは デビューの時に
確認してますね
横から見ると ・・・
( 左側が前方です )

「 黄色の丸 」 が
「 上下アームの
ナックル側ピポット 」 で
「 紫の丸 」 が
「 アッパーアームの
前後方向の位置決めアーム 」
です
こんな決め方する設計 ・・・
「 見たことありません 」
自分なら こうします

( この場合 アッパー ) アーム類は
思い切り( この場合前後方向に )
スパンを取り
ピポット部分への
負担を少なくします
「 360 と 430 は これ 」
ですわ ・・・
「 良い設計 」 です
このことにより
ブッシュのたわみによる
位置関係の変化を少なくして
その分 、
操縦安定性を犠牲にすること無く
「 柔らかいブッシュが
使用可能となる 」
となるんですわ
( 余談ですが
こういう風に
サスの図 描かせると
その人の理解度が
すぐ判ります ね )
ですが 458は こうです

この場合は
「 前後方向のスパンは
青い矢印の長さ 」
となり
剛性的には
「 かなり辛そう 」 です
上の赤いアッパーアームの場合
( 360 ・ 430はこれ )と
比べてみましょう
なので 自分は
「 意図的に剛性を落とし
加減速時 ナックルを
前後方向にスイングさせ
トーコントロールしている 」
のかと 推測していました
そこで
「 トーリンクとの位置関係 」
を見て見ると

こうです ・・・ 「 赤丸 」 が
「 トーコントロールリンク
ナックル側 」 です
これで
「 はっきり判りました 」
「 意図的に剛性を落とし
加減速時 ナックルを
前後方向にスイングさせ
トーコントロールしている 」
などということは
「 まったくありません 」
自分の想像は
「 ハズレ 」 です
では なぜ
こんなこと してるのか ?
良く考えてみます

判りました
このレイアウトでは
「 前後方向に
一番力がかかる
フルブレーキング時 」
には
「 赤い矢印方向に
トルクが掛かります 」
( 加速時は
赤い矢印とは反対方向に
トルクが掛かります )
で その部分は
「 円周の中で
できるだけスパンを
取るため 」 に
中心から 「 3時の方向 」
にレイアウトしてます
で この時は
部材に一番やさしい
「 まっすぐに 」
圧縮の力が掛かるように
してあるんですね
この時 ロワアーム側 には
「 それなりの力が
掛かります 」 が
ナックルそのもの は
「 全てピロにて
フルフローティング状態 」
です
これなら
大きくストロークしても
「 サスの動きは 阻害されない 」
ですわ
なので 458は
アッパーに比べて
「 ロワアームが ごつい 」
んですね
さらに こうすることによって
リンクを
「 ホイールの中に
コンパクトに
収めることができる 」
んです
逆に アッパーアーム は
一番つらい
「 限界にて
コーナリングしている時
の外側 」 ですら
「 単純に 外向きに
引っ張られてるだけ
にすぎない 」ので

「 こんなもんで 十分 」
なんですわ
さて
「 横から見た時の
加減速時のトルク変動
によるアッパーアームの
前後方向の位置決め 」 は
これで 判明しましたね
次に
「 真下から見た時の トー変化 」
は どうでしょう ?

これが フルブレーキングすると

ナックルは
こちら側に引っ張られます
その時の ナックルの
各ピポットは 判り易い様
「 黄色の丸 が
ロワアーム車体側ピボット 」
「 水色の丸 が
ロワアームナックル側
ピボット 」
「 赤丸が
トーコントロールリンク
ピポット 」
と強調してあります

で この関係は
ブレーキング時には

こうなります
写真があまり良くないのですが
これを見ると ブレーキング時に
「 ブッシュがたわんだ時 」
にも
トーアウト方向には
行かないように
考慮されてはいますが
「 そう積極的に
トーイン側に動かしている
訳ではない 」
ってのが読み取れます
最後に
「 横Gによる
車体側への入力の影響 」
を考えてみましょう
これも
上下ピポットを通る線
( 紫色の線 ) が

ほぼ 「 車軸中心を通っている 」
ことから
「 横G により
発生するモーメントは
大したこと無い 」
のが判ります
ま このピポットの配置より

黄色ピポットに注目すると
横からの入力を受けると
「 後ろ側より
前側のほうが
大きくたわむ 」
ので
「 横 G 入力時
トーアウト側にはならない 」
のが判ると思います
けど 配置を観てみると
これも
「 そう積極的にはやってない 」
のが 見えます
こういうのは
アライメント調整を
行うときの
「 非常に大きなヒント 」
となりますね
で ロワアームも 出来れば
もっと
前後方向のスパンを
取りたいところですが
これ以上 車体側 ロワアームを
前側に伸ばすと
「 リア周りの
フレーム剛性が落ちる 」
ので
ここが 「 最良の妥協点 」
となったのでしょう
こう考えると
「 特異なレイアウト 」 も
「 非常に良く考えられた
精一杯の配置 」
となっていることが判ります
うん やっぱ
「 458系の リアサス 」
よく考えてあるし
「 独創性 」 もあります
リアサスに
「 なんのひねりも無い
普通の台形アーム 」 を
( 言っときますが 古いのがダメ
ってことでは無いですよ ・・
工夫次第です )
「 36年間 」
( 275 ~ 355 まで )
「 頑固に使い続けたメーカー 」
とは 思えないほど
今のフェラーリ
「 新しく 柔軟です 」 ・・・
自分が 考えるに
「 図面引きが若い 」
んじゃないでしょうかね ?