
面白い写真出てきました。
以前、お客さんから、御相談で、
「 うちの子、ちょっと鍛えたってくれへんか ? 」
との、お話があり、
「 給料なんかいらんから、しばらくコキ使ったって 」
と、言われました。
けど、いろんな制約があり、
御客様の車両、なかなか、
イジっていただくわけにもゆかず、
車両の引き取りを頼むわけにもゆかず・・・・。
じゃ、サラリーマン時代によくやった、
「 講習 」 をやりましょう。
と、一日かけて、行いました。
その時の写真です。
なんだかわかります?
これ、実は、 「 右リアサス 」 です。 ( 上が前方 )
詳しくは、マルチリンクサス の 右リア、ロワアームです。
一番上が、 「 トーコントロールアーム 」
下の二本が 「 ロワアーム 」
縦の一本が、 「 ナックル 」 ( = タイヤ ) だと思ってください。
さあ、ストレート全開から1コーナー突っ込み、
フルブレーキングします。
タイヤは、 「 減速G 」 で、
各ブッシュがたわみ、後方に引かれます。
その時、この配置だと、二本のロワアームは、
角度差があるため、タイヤ前方が引き込まれ、
トーイン方向に動きます。
その度合いを決めるのは、この配置だと、
トーコントロールアームの 位置です。
もちろん、フルピロなら、たわまないので、
こんなことは必要ないですが・・・・・・。
トーコントロールアームを後方に持ってくるのも効果的です。
さらに、1コーナーのクリップでは、旋回の 「 横G 」 で
写真 右側 ( 外側 ) より。押されます。
この時に、ピポット中心を、ナックルの後ろ側に持ってくると、
トーイン側にたわませることとなります。
では、完全な、台形ではどうか ?

当然、 「ブレーキングのG 」で、
トーアウト方向にたわみます。
対処方法とすれば、前後方向のスパンを大きくとる。
ブッシュを小さく、硬くして、あらかじめ、
「 たわみ 」 を見越して、
「 強めの トーイン つけとく 」 となります。
ピロ化すれば、デメリットは消えますが、
( 運動能力としてですよ。
ハンドリング、シャープになり、
また細かい路面の振動来るので、
普通に( 長時間 ) 乗ると疲れますよ。 )
これがまた、台形アームのほとんどが、
「 フルピロ化 」 許してくれません。
ガヤルドのように、
ナックル下2点、上1点の3点支持で、
かつ上側が、ボールジョイントなら、
台形アームでも、フルピロ化は可能です。
けど、普通は、上2点、下2点で、
それぞれ、長いボルトで通してある
ダブルウィシュボーン形式だと、
運動軸が、4本になり、
( ナックル側 上下 2本 、 車体側上下2本 )
完全フルピロは不可です。
「 4本の軸 微妙にねじれているので、
ブッシュのたわみでつじつま合わせてます。 」
無理やりやると、フレームに無理かかります。
355以前のフェラーリはこれです。
非対称台形アームですが、フルピロがダメという点では、
ディアブロ、ムルシェラーゴ、パンテーラも 同じ。
メーカーいろいろ考えてます。
マルチリンク始めてやったのは、
確か 「 190E 」 だったはず。
ベンツって面白くて、保守的なイメージありますが、
だれもやってないこと、挑戦するの、大好きです。
( だから、失敗も多い・・・・・・・・・・ )
このサス、画期的で、世界中のメーカー真似しました。
それまで一般的だった
「 セミトレ 」 なんか、
駆逐され、なくなっちゃいました・・・・・。

ついでに、フロント左サスです。
ちょっと前まで、こうなってました。
ナックル上下にボールジョイント計二つ。
あたりまえ体操・・・・・。
これが、

こうなります。 ( 右 フロントサス )
ピポット 下2点、 上2点の 計4つ。
( ベンツW220以降、
ベントレーコンチ系、
Audi A4 A6 A8など。 )
なぜか ? ちゃんと意味あります。

左のレンチ、タイヤの中心と思ってください。
これ、ピポット軸に、完全に一致させるか、
もしくは、若干ピポット側を外に持ってゆきたいです。
ちなみに、タイヤ接地面中心と、ピポット中心
( 正確には、ピポット軸が地面と交差する所 ) の
距離を、 「 スクラブ半径 」 といいます。
前輪で 「チョーク 」 ふんずけて すえ切りすると、
タイヤ旋回中心解ります
理由は、ピポット中心のずっと外側にタイヤ中心があれば、
言い換えれば、タイヤうんと 「 外 」 に出せば、
昔の 「 ケーニッヒベンツ560SEC 」 みたいになります。
すると、路面きれいで、問題なければ、
左右のタイヤが走行抵抗で引かれる力、同じなので、
問題ないですが、
もし、右側がダートに出てしまい、かつ
そこでブレーキ踏まなきゃいけない と
なれば、1.5トンの車体が押してくる力は、
グリップの良い左が大きくなり、
ハンドルは、大きく左に取られます。
たださえ、グリップ差があるから、
左にスピンしたがる車体を、ハンドルまで
左に切ろうとすれば・・・・・・。
なので、完全に一致させるか、
もしくは、ナチュラルにカウンター当てるように、
若干ピポット側を外に出すようにしたい。
( ネガティブスクラブといいます。 )
突き詰めて言うと、
路面がうねってても、
フラフラしないようにしたいのですが・・・・。
この辺、ナックルや、
ブレーキディスクやらごちゃごちゃパーツがあって、
なかなか許してくれません。
だから、ホイルのディスク、
できるだけ外側に持ってきて
スクラブ中心合わせようとしてます。
だからメーカー純正は、
ディープリムなんか作りません。
でもそれにも限界があります。
そこで、

「 ダブルピポット 」 の登場です。
この形式は、ナックルのピポット軸は、
「 2つのアームの延長線上の交わった所 」 が
仮想軸となります。
考えた人、えらいですねえ・・・・・・。
これとパワステの地道な進化により、
「 275 /35 ZR20 」 なんて極太タイヤ、
純正で履けるようになったんですわ。
しかも4WDで・・・・・
( 四駆は、駆動トルクとブレーキングGという
反対のトルクが、操舵輪にかかる。
FFも同じだが、あまりこんなタイヤ履かない。
600PSオーバーのFFなんかメーカー作らない。 )
これから、スーパースポーツは、
700PSオーバーはあたりまえ、
800PS級になってきそうですが、
いったいどこまでゆくんだろ・・・・・・・
アライメント屋
「 ドライバー 」 じゃないので、わかりませんが、
人間、どこまで 「 パワー 」 制御できるんだろ。