5月27日午後4時、麻生首相と鳩山代表による初の党首討論
が終わった。
筆者は、討論の行なわれた参議院内にいながら、言い難い
虚脱感に包まれている。
その理由は麻生首相の側にある。
昨年来、麻生首相は党首討論の機会を待ち望んでいたという。
通常国会の最後になってようやくその機会がまわってきた。
それがきょうの党首討論だった。
だからこそ党首討論の始まる前まで、麻生首相は、
自らの施政を誇示するような発言に終始するのではないか、
と考えていた。
きっと、麻生内閣の進める経済景気対策を説明し、審議中の
補正予算案の正しさを主張するに違いないと思ったのである。
だが、予想は外れた。
麻生首相は、国家のリーダーとして、内閣総理大臣として、
唖然とするような愚挙に出たのである。
国民からして今、最大の関心事は西松の問題だと思います。
この国民からの目線というものは、一番の関心事であって、
これに対して、鳩山代表として、十分に国民に対して、説明
を果たされたと思っておられるのでしょうか。
また、責任を取られたというような話をされますが、説明を
取られた方(小沢一郎前代表)が、鳩山代表に次ぐ代表代行
になっておられるのが、責任の取り方なんでしょうか。
私から言わすと、なかなか、国民目線からみると、なかなか
理解しがたいんだというのが正直の実感だと、私は、ほとん
どの方がそう思っておられる。
これは世論調査にもよく出てきている数字だそうですから、
ぜひその意味で、きちんとした説明責任というものを十分果た
されないと、これらの質問に対しては、なかなか問題があるの
ではないかと〉(党首討論詳報「産経新聞」ウェブ版)
昨年来、世界は、金融・経済危機から抜け出せない困難の中に
ある。
当初、ひとり「心配無用」として対策を怠ってきた日本も例外
ではなくなっている。
いや、むしろ経済成長率(15.2%マイナス 1-3月期実質GDP)
の指標を示せば、世界でもっとも不安な国家のひとつに成り下
がっている。
麻生首相は、日本の危機よりもこの問題の方が重要だというの
だろうか。
果たして、自分の明日の生活より、野党の前代表の政治資金に
興味のある国民がそんなに多いものだろうか。
それでも麻生首相は、きょうの党首討論で、その西松事件と民
主党の打ち出した「予算案」の財源論への攻撃に終始した。
一体いつから自民党は、政策を遂行するのではなく、野党への
攻撃を繰り返すだけの政党に成り下がったのだろうか。
自民党が、長い間「国民政党」でいられたのは、日本人が最後
の最後に頼るべき安心感を持っていたからこそではないか。
元自民党秘書で、現民主党の小川勝也参議院議員は討論直後、
こう語った。
「なんだかんだ言いながら、政策の積み重ねをアピールし、政
権与党としての『横綱相撲』を取るのがこれまでの総理でした。
ところが、今回の党首討論では、国家の代表である総理大臣が、
野党の悪口ばかりを言っている。
それは本来、野党の役割でしょう。それならばいったい、この
日本の政治は誰がやるというのでしょうか。与野党という立場
を超えて、ひとりの国会議員として、今回の麻生首相の討論に
は本当に失望しました」
一体どちらが首相でどちらが野党党首なのか
総選挙直前、自民党が焦りをみせるのは理解できる。
だが、それでも政権与党としての矜持を忘れてほしくなかった。
先ほど筆者は、きょうの麻生首相の討論について「予想外だった」
と書いた。
だが、実はこうした言動はある程度予測していた。
それは今朝の読売新聞に載った自民党の一面広告を読めば判る。
〈鳩山代表に質問です。(中略)誰かの代わりではなく、新たな
代表としての明確なお答えを期待します。国民への説明責任をは
たし、議論を闘わせることが、明日の日本をつくるのですから〉
この新聞広告のお粗末さについては、早朝のラジオ(文化放送
「吉田照美のソコダイジナトコ」ですでに指摘をしていた。
にもかかわらず、いくら追い詰められた麻生自民党といえども、
まさかそこまではしないだろうとわずかな期待は残していたのも
事実である。
だが、果たして、麻生首相はかつての野党が行なっていたような
“さもしい”論争を行なった。
そこに国民の姿は浮かばなかったのだろう。
そしてきょう、少なくともこの党首討論でわかったことがひとつ
ある。
それは、麻生首相には政権与党の総裁として、また日本のトップ
に立つ内閣総理大臣としての“矜持”がほとんど残っていないこ
とが判明したのだ。
むしろ、野党民主党の方がよほど「国民政党」に近い自負を持ち
備えているようだ。
それは、鳩山代表の次のことばからうかがえる。
今日、民主党の政治改革推進本部というものが開かれて、岡田本
部長のもとで、私どもは政治とカネの問題、確かに西松(建設の
違法献金)の問題はありました。
反省の中から、われわれとしては結論を出しました。
企業・団体献金をパーティー券も含めて、3年後には完全に禁止を
するというのが一つです。
それから、いわゆる、ダミーの政治献金、政治団体からの献金。
これは3年後ではなくて、今からすぐにすべて禁止をする。
それから、世襲に関しても、当然、制限をする。
3親等以内、同じ選挙区からは出られないことを党規で決める。
『このことを私たちは、三つのことをまず決めましたが、ぜひこれか
らですね、法案をすぐに準備をいたしますので、政治とおカネの問
題に関して、自民党さん、公明党さん、与党の皆さんも、協力をし
て、法案の成立をはかろうじゃありませんか。
国民のために』(同産経新聞ウェブ版)
もはやどちらが首相で、どちらが野党の党首かわからない。
最後に、きょうの党首討論の中で、もっとも注目した発言を記してお
きたい。
『役所にだけはですよ、71億円もかけて地デジ対応のテレビを入れるっ
ていうんでしょ。
7万1000台をなんで国民の皆さま方ではなくて、役所が先に地デジ対応
のテレビを入れなきゃならないんですか。
エコカーにしても、なんで役所は最後でいいはずなのに、最初に1万50
00台。588億円ですよ。
バカにならないお金ですよ。
それを、あっという間に目をつぶってハンコを押してしまう。
こんなことに補正予算を使っていいんですか。
補正というのは、そもそも緊急性のあるものに対して使われる予算でな
ければならないのに、まるで緊急性がないものに平然として使われてし
まっている。
この国の仕組み、やっぱり官僚任せだなあ。
その極めつけは、役所や、あるいは独立行政法人に対する施設整備費、
どのぐらいだかお分かりですか。
(平成21年度)本予算で6490億円だったと思いますが、本予算でも6490
億円だったのに、補正(予算案)だけで2兆8000億円ついているんですよ。
なんで役所の整備のために、こんなお金があっという間につけられてし
まうんですか。
これはまさに官僚の官僚による官僚のための予算だといわれて、お答え
できますか、皆さん。官僚の悪のり、お手盛り、焼け太り、そんな予算
じゃありませんか。
私たちは、だからこそこういう無駄遣いを徹底的になくすために、今日
まで戦ってきたんです。
あなた方が本来ならばやらなければいけないことを、野党のわれわれが
協力をしてやってきたんです。
そのことに対して、もっとあなた方は評価をされるべきです。
ぜひ、こんな無駄遣い、一掃させようじゃありませんか。
そのためにも、こんな補正予算、やめようじゃありませんか』
これは鳩山代表の言葉だ。
これに対して、麻生首相は返す言葉がなかった。
しかも、自ら提出した補正予算案の内容にすら触れることができなかっ
たのである。
国民生活のための緊急経済対策と言いながら、じつはまったくそうでな
かったことが、図らずも、鳩山代表のこの指摘によって暴露されてしま
ったのだ。
せっかくの党首討論であったのに、首相はいったい何を訴えたかったの
だろう。
自らの行なってきたこれまでの施政を振り返ることもなく、今後の日本
政府の目指す方針について語ることもなかった。
選挙目当ての詭弁を弄し、国民には無関係の野党の前代表の公設秘書を
攻撃する。
それが、国民の最大の関心事だと叫ぶ。
それが、現在の日本の内閣総理大臣なのである。
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