短編小説 真夏のトライアングル 作:NaNa
★11
優真は、慣れない場所での居心地の悪さを感じる様子もなく、部屋に上がるなり小さな二人掛けのソファに腰掛け、ケースからベースギターを取り出して弾き始めた。
その一連の動きから、彼はどんな空気の中にもあっさりと溶け込むことができる人だ、この雰囲気のおかげで、きっとだれもが彼を好きになるだろう、と思った。
優真は部屋に置かれた古いステレオとレコードラックに気づいて立ち上がり、もの珍しそうにLPを引っ張り出した。
「これ、花音ちゃんの?それとも、麗子さんていう人のコレクション?」