幽霊とは、その場にいない人が、
ある特定の場所に残した強い情念だと私は解釈しています。
例えば私が、ものすごいエネルギーで、
以前立ったことのある歩道橋の風景を思い出しながら
あの歩道橋で彼氏に別れ話をしなければよかった
と思ったとします。
すると感受性の豊かな人が、
その歩道橋を通った時、
その私の情念を感じ取ることがある。
そういう現象だと思うのです。
そんな風に思うようになったのは
ある出来事に遭遇してからです。
家出した妹が
そのころ妹のカオルは、
家出して彼氏の家に転がり込んでいました。
あるとき、母がキッチンを覗いて
「あれ？だれもいない」
というのです。
私と母以外誰も家にはいないのに。
きけば
「カオルがさっき冷蔵庫を開けてた気がしたんだけど」
と、母。
「カオルはうちにいないでしょう」
と言って笑い合ったのですが…
家出から戻ったＨに、後で話を聞いたら
彼氏の家にいる間お金がなくてお腹が空いて
お母さんのお料理を良く思い出して
たべたいな、って思ってた
って言うんです。
カオルさん。
うちにあなたのその情念、舞い降りて来てましたよ。
私が冷蔵庫を開ける気配の話をカオルに話したら
やだ。あたし生霊になっちゃったの
って笑ってました。
このばあい、母が
カオルがお腹を空かせてるんじゃないか
って神経をとがらせていたこともあって、
こんな不思議に見舞われたのかなと思います。
幽霊って、こういうものなんじゃないかなって、
思うんです。
