映画「ノマドランド」感想 | NaNa's secret world

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今日も小説執筆中

 

たいへん申し訳ないのですが、

「観ながら居眠りしよう」

と思って見始めました。

 

ところが、映画の世界に引き込まれ

完全に覚醒して夢中で見入りました。

 

主人公のファーンは、夫が働いていた会社が倒産するとともに

雇用者が住む町「エンパイア」が閉鎖され、住まいを失ってしまう。

 

夫にも先立たれている彼女は一人、

季節ごとに仕事を変えながら各地を車で転々とする。

 

同じようにワゴンやキャンピングカーで暮らしながら

アメリカ中を回る人々と出会い、ふれあう。

 

途中、一緒に住もうとファーンに訴える人々もいるが

彼女は受け入れない。

 

 

 

 

観ていて、ファーンがまるで円の中をぐるぐると回り続けているように感じた。

 

それは喪失感、という輪だ。

 

後半のセリフで、おなじノマド生活をする男性が、

 

「ノマドはみな喪失感や悲しみを抱えている、それでいい」

 

と話す。

 

 

 

ファーンもまた、死んだ夫の居場所がなくなるのを恐れて一人エンパイアに住まいにううち、

 

「思い出を引きずり過ぎたかも」

 

という。

 

 

 

また男性は

 

「この生活のいいところは”さよなら”がないことだ。またどこかで、と別れると、実際どこかでまた会える。だから信じることができる。私はまた息子に会える、と」

 

と話す。

 

 

 

喪失感をあえて手放さず、出口のない輪の中を繰り返し回るように暮らすファーン。

 

年末はAmazonで働き、秋には芋を収穫し、またある時は国立公園の掃除をし、また年末にはAmazonに戻り、を繰り返す。おなじノマドの人々と再会し、別れながら。

 

 

 

 

こんな暮らしがあるのか、と知ると同時に、意外にも私はノマドという暮らし方に納得ができた。

こういう生き方も、あるのだ、と素直に受け入れた自分が意外だった。

 

観た後は、「家がないなんて、どうするの?」とか、思わなかったのだ。

 

むしろ、ああ、もしかしたら家なんて必ずしも必要ではないのかも、とすら思った。

 

 

「私はホームレスじゃない、ハウスレス」

というファーンの言葉も印象深いセリフの一つだった。

 

 

    

ノマドランド
Nomadland

 

監督  

 クロエ・ジャオ
 

脚本

クロエ・ジャオ
 

原作

ジェシカ・ブルーダー(英語版)

『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』
 

製作

フランシス・マクドーマンド
ピーター・スピアーズ
モリー・アッシャー
ダン・ジャンヴィー
クロエ・ジャオ


出演者

フランシス・マクドーマンド
デヴィッド・ストラザーン
リンダ・メイ
シャーリーン・スワンキー