年末の歌番組

今年もたくさんの番組に出演させていただく

メンバーの中には個人の仕事がある子もいて、本番直前に全員で揃って練習できないことも多かった






あれから天ちゃんは私の家にしばらく住むことになった

やはり夜は眠れないのか

私の知らない間に外に出ていったり、時には過呼吸になったりしている

食欲もないらしく、どんどん痩せてしまって、目には濃いくまができてしまっている

本当は一刻も早く休ませてあげたいけど、天ちゃんがセンターの楽曲を披露するからには休むこともできなくて

色々なメンバーがそばにいてあげたり、病院で点滴をしてもらって、なんとか耐えていた













ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今日は歌番組

正直、体の調子は優れないし、いつ倒れるかもわからない

食欲もないし、夜は眠れない

でも、センターだから…



披露前

TAKAHIRO先生から熱い言葉をいただく

スタッフさんの目線、何も言わないけれど、

期待していることはわかった



ひな壇で待機する

客席にはBuddiesの方もいて、私たちの方へ手を振ってくれている


いよいよ、私たちの番

CMの間

Buddiesのみなさんからの声が上がる

マイナスな言葉は何ひとつかけられていないのに、追い詰められている気がする












この曲の見せ場でもある私のソロパート

観客から演者から集まる視線が怖くなってしまった























声が出ない

















私のソロパートは歌われずにパフォーマンスを終えた

袖にはけた瞬間、私は走り出した

誰からも声をかけてほしくなかった

1人になりたかった




















ちゃんと走れているのかも、どこを走っているのかもわからないまま、とにかく遠くへ走った

















ドンッ





「おっと…、大丈夫?」

山﨑「すみません」

無我夢中で走っていると曲がり角で誰かとぶつかってしまった

申し訳なくて、ちゃんと謝罪をしなきゃと顔を上げると、そこにいたのは私の大好きな人だった





















山﨑「友梨奈…ちゃん…?」

平手「天ちゃん、久しぶり」

そう言って友梨奈ちゃんは私のことを優しく包み込んでくれた







平手「楽屋、おいで」

そう言って、私の腕を掴んで歩き始めた
















友梨奈ちゃんの楽屋に入る









平手「もう、我慢しないで」










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とある日、私はいつもは観ないテレビをつけた

そこに写っていたのは、櫻坂46

天ちゃんがセンターで踊っている

見入ってしまうようなパフォーマンスで思わず感嘆の声をもらすほどだった

なんとなくそのまま観続けていると、乃木坂さんの楽曲『シンクロニシティ』を披露していた

人数が多いと迫力が出る

サビ前、1人転んだ子がいた








天だ…








ミスをした後の天ちゃんの表情が暗くて少し心配になったが、私なんかが連絡して良いものかと思って、連絡しなかった






その後も様子が気になって、歌番組を確認するようになった

日に日に天ちゃんは痩せていて、目の下には隈ができていた

やっぱり放っておけなくて

次に同じ番組に出演するときに声をかけに行こうと決めた














当日、私は櫻坂より先にパフォーマンスをし終え、楽屋のテレビで櫻坂を観ていた

やっぱり天ちゃんの表情は曇っていて、それなのに笑顔を作ろうとしているのが見えて、苦しかった







あっ…









年末の歌番組を観ていたからわかってしまったこと

天ちゃんのソロパートが歌われなかったこと

パフォーマンスが終わった後目に涙を溜める天ちゃんの様子が映っていて、急いで楽屋を飛び出した










角を曲がると人とぶつかってしまった

謝ろうとして見てみると

そこにいたのは私が今1番会いたかった人だった

天ちゃんを自分の楽屋に連れて帰り、ソファに座らせる


平手「もう、我慢しないで」


初めにどんな言葉をかけるか迷ったが、これしかないと思った

一期生の卒業、周りからの期待、センターとしての責任

天ちゃんが背負うには重すぎる重圧

私がそのプレッシャーを少しでも取り除いてあげたかった




私の言葉を聞いて目を見開いた天ちゃんの目からは大粒の涙が溢れた














山﨑「寂しかった!!!」












平手「うん」

山﨑「一期生さんがみんな卒業しちゃって、二期生が引っ張らなきゃいけなくて、Buddiesもたくさん期待してくれて応援してくれて、海外のライブとか呼んでもらって、すごく嬉しいのに、プレッシャーでおかしくなりそうだった、センターなのにミスばっかりで、私じゃダメなん「そんなことない!!


平手「私ずっと天のこと観てたよ。天ちゃんはすごいよ。たくさん頑張ってる。今はそれを認めてあげて」


山﨑「寂しかったよ!!!みんないなくならないでよ!!」


天ちゃんは今までたくさんの卒業生を見送ってきた、そしてこれから多くの二期生を見送ることにもなるだろう

天ちゃんは誰よりも孤独になるのが、みんなが離れて行くのが怖かったんだ



平手「ごめんね、寂しかったよね、もっとそばにいられれば良かったよね、ごめんね」













天ちゃんは泣いた、たくさんたくさん泣いた













だんだん泣き疲れて、気絶するように眠ってしまった











天ちゃんをお姫様抱っこして櫻坂の楽屋まで向かう










ガチャ









田村「お疲れさまで…え?友梨奈ちゃん⁉︎」

平手「みんな、お疲れ様」

松田「平手さん、どうして?」

平手「天ちゃんを連れてきたよ」

全員「天(ちゃん)(さん)!!!」

平手「みんなすごく頑張ってたね。私ずっと観てたよ」

田村「ありがとう、友梨奈ちゃん」

平手「これから何かあったら、なんでも話して。いつでも助けに行くから」






















Fin

期待なんかしないでよ

無事、完結しました

実は「隙間風よ」を聴いて思いついたお話です

原型がないですね

おそらくタイトルぐらい…


自分みたいな底辺人間でも、プレッシャーを感じることがあります

期待されなければ、楽でいられるのに

でも、いただいた期待には応えなければいけなくて


アイドルというのはいつでもプレッシャーと闘っているんだなと感じて、このお話ができました


書いている間、とても苦しかったのですが、どうか批判の声が少しでもなくなるようにと願いを込めて書き切りました


しばらく、私生活が忙しくなるため、お話を書けなくなります

何個か内容は思いついているのですが、書く時間がなくて

落ち着いたら、たくさん書きます

こんなゴミ人間の文章を、最後まで読んでくださってありがとうございました






ではまたいつか