岡田有希子のデビューアルバム『シンデレラ』の一番好きなところは、
後半の「憧れ」から「ソネット」へという3曲の流れなのだけど、
その心地よさに陶然としていると、
ラストに置かれたデビュー曲「ファースト・デート」の重苦しさに、
打ちのめされることになる。
竹内まりやが〝何か〟を感じてしまって書いたとしか思えない、
上昇と下降が交錯するような、不安な旋律。
あの悲劇に、彼女がどれくらいショックを受けたのかは不明だが、
「ファースト…」から13年後、広末涼子のデビュー曲として書かれた、
「MajiでKoiする5秒前」は、打って変わってノー天気だった。
同じ〝初めてのデート〟でも、
ユッコが手をつなぐだけでしゃべれなくなるのに対し、
ヒロスエは、一気にキスまで行っちゃうわけだし。
時代の変化、歌手のキャラの違いもあるんだろうけど、
まりやが意識的に明るくした…ような気もしなくもない。
ちなみに、このヒロインはへそ出しルックでデートに出かけるわけだけど、
その4年後、へそ出しルックでデビューしたのが、松浦亜弥。
デビュー曲でこそ、メールをみただけで〝ドッキドキ〟してたあややも、
2曲目の「トロピカ~ル恋して~る」では、南の島でのバカンスに誘われ、
過激な水着を前に、ダイエットに悩んだりする。
当時のあややは、まだ少女っぽいスレンダーな体型だったので、
おへそも出せたんだけどね。
つんくは、80年代のアイドルポップスに多大な影響を受けた人だから、
アイドルのデビューがどうあるべきか、体感的にわかってたんだろうし、
「LOVE涙色」へと続くデビュー3部作は、
ユッコのそれやヒロスエのそれをも超える、出来栄えだった。
1年先輩にあたる氷川きよしのアイドルオーラを保つ努力を思うと、
現状について、いろいろ言いたくもなるのだけど、
久々に見たビデオクリップ集に、元気づけられたので、
ここでは言わないことにします。