『 動き続ける運命の歯車 』
〜試練のなかで見えた光〜
彼女の自宅にお世話になっている
優人から
『 家に帰るから 』
と珍しく連絡がありました。
帰宅して駐車した車内には
沢山の荷物が積んでありました。
彼女と別れたので
自宅に帰って来たというのだ。
将来的な価値観の違いが原因らしく
好き同士の別れは本当に大変である。
『 大好きとは大嫌いと言う事 』
この時に陸人が言っていた言葉は
哲学的で、印象的だった。
この言葉の意味も
その当時の私が分かるはずがない (笑)
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3人で生活が始まって間もなく
夜中に、
私の部屋の障子が開いた。
( なんだ? )
と思ったのも束の間で
優人が、か細い声で私を呼んだ。
『 オカン、今、ちょっといい?』
目線を向けると
優人が正座をしていた。
( 只事ではない… )
飛び起きて、私も正座しました。
よくよく話を聞くと、
夜中に事故を起こして
相手に怪我を負わせてしまい
今まで時間がかかったとのこと。
怪我は打撲程度で
相手の車は修理で済む様子。
自分の車は、廃車。
身体は今になって痛みが出て来たらしい。
『 今日は、先ず身体を休めて…
病院は明日、必ず行ってな。』
私は変に肝がすわっていたけど
そう言葉にするが精一杯でした。
『 ごめんなさい 』
そう言う声も弱々しく、
静かに障子を閉める姿は
明らかに衰弱していました。
( なんと声をかけたら良いのか…。)
私が経験して集めたデータの中に
こういう時、
どう寄り添えばいいのか、
優しく寄り添う" 術 "がなくて
人としても、母親としても
うまく対応が出来ないかも…
布団の中に入った時
一般的には
どんな対応をしてるのかな…
私はまた、正解探しをしていました。
翌日、
優人には
近くの病院で受診するように伝え
私は、
NOさんに
「 ちょっと話を聞いて貰いたい 」
と連絡を入れて
優人の話を聞いて貰いました。
NOさんから
『 私が優人の気持ちに寄り添えれていたら
それでいいと思うよ…。
何が正解って、ないと思うよ。』
そう言って貰って
私は初めて、
優人と向き合った気がしました。
心が、ほんわり和らいで
落ち着いた時…
見知らぬ電話番号からの着信が入りました。
市内番号だったので
恐るおそる出てみたら、
優人が通院した病院からでした。
検査の最中に具合が悪くなったらしく
お迎えに来て欲しいとのことでした。
『 昨日の今日なので
大分、メンタルも身体も落ちてると。』
診察してくれた先生が
優しく教えてくださいました。
優人は、
全身打撲のような症状に
頭痛や吐き気が辛そうでした。
( 完治に最低3ヶ月はかかるだろうなぁ… )
私は、そう感じていました。
卒業まで後半年という時。
優人は
就職の内定を貰っていました。
『 先ずは、身体をしっかり治そう!』
と声をかけていたのに、
優人は、1ヶ月もしないで
バイトに行くと言うのです。
( そんなことが出来るはずがない。 )
私は、
森本鍼灸整骨院に連れて行くことにしました。
森本先生に診察していただき
優人、本人の身体の状態を
しっかり知って貰って
バイトを阻止しようと思っていました。
二人で、通院し
優人が別室で治療中に
森本先生が
こっそり私を診察室に呼んでくれました。
『 交通事故の怪我は
加害者側と、被害者側とでも
完治の仕方が違うんですよ。
どちらも
身体と心の二つの回復がないと
完治に向かわないんですがね。
回復の仕方には
二通りあるんです。
身体が回復していきながら
心も回復に向かうパターンと
彼(優人)みたいに、
先に心が、
『何とかしなきゃ!』って
気を張って動く姿勢に
身体の回復が
徐々に付いていき回復するパターンもあります。
お母さんは
彼の怪我が心配でしょうが…
先ずは、
彼の心の回復を喜んで
見守ってあげて欲しいです。
身体が回復に向かっていても
心が、なかなか回復しない場合が
多いんですよ。
彼は大丈夫ですからね。』
( そうなんだぁ…。 )
あんなに反対していましたが
会計が終わる前に
気持ちがコロっと変わって
私は優人の応援側につきました。
( 森本先生は、本当に凄いなぁ…。 )
今回の学びも素晴らしい体験となり
私の大きな宝物になりました。
ありがとうございました。
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無事に優人も大学卒業が出来て
3月で就職先に引っ越しになりました。
たんたんと準備が進んだ今回も、
旅立ちの別れは
不思議と寂しくありませんでした。
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そうこうしているうちに、
私達も
Y県での新居先が無事に決まり
就職先も内定しました。
ゴルフ場に退職届けを出した直後、
ゴルフ場の会員用に発行される
月刊会報誌を何気に見ると…
新しいメンバー会員紹介の欄に
元カレの名前と写真がありました。
( なんで? )
心臓が一気に跳ね上がった。
( 大丈夫、大丈夫、絶対、大丈夫。 )
そう心に言い聞かせました。
退社まで残り2週間後を切った
ある日、
とうとうゴルフ場で
元カレを見かけてしまいました。
( あちゃ… )
隠れるように
メットを深く被り
スタート前のクラブ確認作業をしていると
なんと、元カレは
私の横に寄って来ました。
『 今日は温かいですね? 』
「 そうですね…」
『 今日は何組くらい入ってるんですか? 』
「 すみません、分かりません。」
顔は上げずに
会話の声も小さく済まして
カートを移動し
その場を離れました。
ふと足元を見ると…
靴の先端に、花マーク。
( あちゃ〜!)
この靴は
キャディシューズといって
みんな同じ靴なので
名前や自分の番号を書いて
区別をします。
私は、キャディをし始めてから
ずっと花マーク。
( 私だとバレたかな… )
と、焦ったけど?
そもそも、
私だと知って寄って来たのか?
たまたまの偶然で
このゴルフ場のメンバーになったのか?
( … 。 )
真相はわからないままですが、
私は、その地を離れたので
この話は、
一件落着としましょう。
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私の51歳の誕生日の日
ラム家族と私と陸人は
Y県へ向けて
引っ越し開始しました。
˖˚✩⊹⋆.˚⊹⁺ 第十一章 おわり˖˚✩⊹⋆.˚⊹⁺