7月の26〜28日に新生館スタジオで行われた芝居について。
企画制作 キイチゴ
野田秀樹 作 「赤鬼」


よろしく花道御一行のノハラノマリモさんの誘いで、久しぶりに音響でお手伝いしました。
ちょっと久々すぎて、出来るかなあーと思ってたけど、まあ、やり始めたら、あー、なんかこういうカンジだったと思い出してきた。
本番前ギリギリまで詰めて・・・まあこういうのもいつも通りで、寝不足になって初日が眠い、というのもいつも通りだった。
久々すぎて、時代がひとつ進んでいて・・・
今回は音源はほぼiPadからだったんですが、いつも予備でCDを焼いて持って行くのですが、現場にCDデッキとかもうねえし!
そうか、今やCD-Rを焼くなんてこと、誰もしないのか!
しかしiPadって、平らな面を押すので、これが必ずしも確実な操作が出来るとは限らないと事前に気づき、しゃーない、あのサンプラー出すかぁ、と、以前は大活躍していたSP-404を掘り出してきたら、もうヴォリュームつまみにカビ生えてた。

今やこれの新しい世代のものが沢山出ていて、これを叩いてバトるカルチャーが出てきたよな。それの元祖ですわ。
で、何年ぶりかに電源入れたら、ちゃんと駆動して、そんで、なんか雷の音がいっぱいアサインされていて、これは・・・あ!演劇ユニットペーハーでやった「紅点の夕星(ゆうづつ)」っていう怖い話で使ったやつ・・・かあっ!12年前だあ!
現場のミキサーにはもうあらかじめiPadやらを繋ぐコードが出ているし、今はこれがスタンダードなんだろうな、と。
この劇場、新生館スタジオは割と広く、客席もゆったり、そして良い椅子!肘掛けのある椅子!があります。
さて、この「赤鬼」・・・
軽快な台詞回しで、隙間なく言葉で溢れて物語は進んでいくのですが、そこに通底するものは重く、最終的に救いの無い話。
このお話を、最小限の舞台装置、つか、ほぼ何も無く、ミニマムな小道具のみで進行されます。
その辺を鑑みながら、効果音のニュアンスを決めていきました。
ま、私一人で決めたわけじゃなくて、出演者の意見を聞きながら・・・あ、てか、これ、演出家がいないんですよ。
私も最初、え?と思いましたが、出演者4人であれやこれや言いながら作り上げたらしい。
それにしては、良く出来た、というか、とっ散らかったかんじは全く無かったですね。
配役は
・あの女 鞠みちえ
・とんび ノハラノマリモ
・ミズカネ 田辺聖尚
・赤鬼 加藤敦洋
赤鬼役の加藤さん以外はひとりで何役もやるのですが、特に衣装を変えるわけではなくて、瞬間的に表情や姿勢をかえて違う人物を表現する。
オリジナルの舞台は、やはり4人でやるそうで、また大人数でやるところもあるということ。
赤鬼役の加藤さんは、この役だけなのですが、物語の流れとして、前半ではどこの国の言葉か分からない、ゴニョゴニョモゴモゴみたいな言葉になっていない台詞をやらなきゃいけなくて、言葉になっていない故に捉えてどころがなくて覚えるのが大変だと言っておられました。
芝居の一番最後の場面、音響的には終わった感みたいなのはあまり出していなくて・・・ん?終わったのかな?と観てる人が戸惑うかなあーと思ってましたが・・・
芝居が終わって暗転、そして明かりがついて役者が並んでいるのを見て即、客席から一斉に大きな拍手が起きました。これ、全6回、毎回でした。
全くハッピーエンドなんかじゃない話で、派手な舞台装置もないんですが、芝居の中身が具沢山で、緩みなく進んで行く。自然に集中力が高まっていくというか・・・
95分ほどの芝居ですが、私自身、音響に付いていて長いと感じたことは全くなかったです。
まあ、言ってしまえば野田秀樹の脚本の良さというのはあるのだが、これを演じ切る役者に力量があったんだと思います。
終演後の打ち上げでは、舞台監督から芝居の興行を打つ苦労話を聞いて、あー、バンドのライブイベントと同じだなぁと、しみじみ。
照明の方は私よりひと回り上の方で、ああ、好きで続けてるんだなぁと。
なんて、いろいろな話を聞きながら、差し入れで頂いた、そこそこ良いお値段の甘いお菓子を食いまくっていました。
というわけで、久々に緊張感のあることしましたの記録。