皆さん、こんにちは!花屋の嫁です。
すっかりブログ更新がご無沙汰になってしまいました💦
全国では桜の便りが続々と届いておりますね。
当店のあります、福島県奥会津の只見町は、桜前線をすり抜け、
おそらく本州最遅クラスの開花時期ですが、それでももう蕾の膨らみが感じられます🌸
気温の上昇に伴い、今までハウス管理していたシャクナゲ接木1年生株を屋外に移動しました。
(シャクナゲの接ぎ木の様子はコチラの記事でご紹介しました。ここから約1年後の株達です)
いきなりの環境の変化で葉焼けしないよう、遮光シートをかけてあります。
1年待ちわびた、シャクナゲの開花の時期となりました✨
店長が思いを込めて接木したシャクナゲたちの晴れ姿、
少し長くなりますが、お付き合いいただけますと幸いです
こちらはホンシャクナゲの「矢代桜」です。
ホンシャクナゲとは、日本シャクナゲの中では自生分布が一番広く、本州に多いことから
本石楠花と呼ばれている説があります。ツクシシャクナゲの変種で葉裏の毛が少ないものを言います。
伸びもよく暑さににも比較的強いです。「矢代桜」はホンシャクナゲの優良個体です。
こちらもホンシャクナゲの「福光」です。
富山県の山で発見された多重弁の大変めずらしいホンシャクナゲです。色も濃色です。
知り合いの愛好家の方から「多重弁ではなく多弁ですね」と言われました。
多重弁だと八重咲になるので本種は多弁という表現が正しいような気がします。
こちらもホンシャクナゲの「能生(のう)」という品種です。
新潟県糸魚川市の能生地方原産と言われています。
ホンシャクナゲの中でも早咲きの品種です。
ホンシャクナゲの「鈴鹿」です。
三重県鈴鹿市の原産でしょうか?詳細は不明です。ホンシャクナゲの濃色個体です。
シャクナゲのこの折り紙のようなちりめん細工のような蕾が徐々にせりあがっていく様子が本当に心躍ります。
この晴れ姿を見るために1年間管理し、この短い開花期を待っていました!
こちらは交配種の「レモンフェアリー」
淡いクリーム色の小輪のシャクナゲです。
桜の開花の頃に咲く、トップバッターに早咲きの品種です。
レモンフェアリーを皮切りにどんどんと開花が進んでいきます!
毎年うっかりしてるとレモンフェアリーの花を見ずに終わってしまうなんてことも💦
こちらは八重咲シャクナゲの「満月」です。
店長も嫁もいたく気に入っている品種です✨
愛好家が作出した個体です。詳しい交配などはわかりませんがアヅマの血が入っていた記憶があります。
あまり大きくならず葉も表から見るとアヅマのようです。完全ボール咲きになる美しい八重咲個体です。
ちょこんと覗く黄色のシベも愛らしいです。
次は、アズマシャクナゲの「紅輝(こうき)」です。
アズマシャクナゲは、東北地方から中部地方に咲くシャクナゲの一種で、東日本では最もポピュラーなシャクナゲです。
アズマシャクナゲの「アズマ」は諸説あり、東日本の「東(アズマ)」という説と
福島・山形の県境にそびえる吾妻山、群馬県に位置する吾妻山双方を表す「吾妻(アヅマ)」という説があります。
当店で出品している商品も表記ゆれがありますが、
アヅマ・アズマシャクナゲ、どちらの「ヅ・ズ」でも厳密には誤りではないのです!
「紅輝(こうき)」はアズマシャクナゲの濃色個体です。古くから愛好家に愛される個体で数多くの交配親に使われてきました。
こちらもアズマシャクナゲの「アズマセシール」という品種です。
勉強不足でこの品種関する詳細は不明です💦
アズマらしい濃色品種です。
アズマシャクナゲの采咲き白花です。
采咲き(さいざき)とは、花弁が切れ込むように咲く様をさします。
○の中の画像は例年の采咲きの様子ですが、今年確認した花は采咲きというより
通常のシャクナゲと差がないように見えます。個体差もあるようです。
こちらは中国の原種シャクナゲ「floribundum(フロリバンダム)」という品種です。
シャクナゲは世界中に多く自生し、特にヨーロッパ地方で盛んに生産・交配されています。
(それにあこがれて、ドイツから輸入を試み、日本にない品種を増やしたりしています!)
「floribundum(フロリバンダム)」は中国の四川省、雲南省などに自生する品種です。
こちらも同じく中国の原種シャクナゲ「ochraceum(オクラセウム)」です。
四川省南西部、雲南省東北部原産のシャクナゲです。
日本シャクナゲとは違う独特な雰囲気を放つ真っ赤なシャクナゲです。
こういった品種も絶やさないように、親を大事にしっかり接木しています。
そして最後にちょっと比較画像を。
こちらはアズマシャクナゲの「今紅2号」という品種です。
アズマシャクナゲの濃色品種です。濃色だけあって蕾も濃い紅色です。
そしてこちらが、同じアズマシャクナゲの「只見紅」という品種です。
「只見」と名がつく貴重な品種です。同じくアズマの濃色品種ですが、
こうしてみると「今紅2号」とほとんど濃さの差がないように見えますね。
ですが、「只見紅」は店長が見る限り、日本シャクナゲの中で一番「紅色」が濃い!んだそうです。
只見と名がつくシャクナゲはいくつかあって、
只見シャクナゲとはアズマシャクナゲの変種で福島県と新潟県境の奥只見山系の極狭い地域に生息し
アズマシャクナゲと呼ばれておりましたが葉の裏にほとんど毛がなく、
アズマシャクナゲでもホンシャクとも違うシャクナゲで、この地域では古来から別名「只見石楠花」と呼んでいます。
今のところはアヅマシャクナゲとして扱っています。
かなり長くなりますが、只見シャクナゲの話をさせてください。
昭和40~50年台に只見でシャクナゲブームあり、只見町ではシャクナゲを町民の多くがで挿し木をして増殖し販売していました。
その時にシャクナゲを育てていた方の一人のAさんが育てていたシャクナゲの中に葉の色が変な色の個体があったそうです。
その頃は店長の祖父が中心となり買い付けなど行っており、Aさんのところに買い付けに行き
このシャクナゲも持っていってくれないか?といわれたがそんな変な色のシャクナゲはいらないと断ったそうです。
その後北海道の業者さんがAさんのシャクナゲをまとめて買い付けたそうです。
それから数年が経ち北海道に紫色のシャクナゲがある!!との話が広がり
いろいろ聞いてみると只見からもっていった変な色のシャクナゲだったそうです。
知り合うきっかけは忘れてしまいましたが祖父がその業者さんと知り合うことができ
昔いらないといったシャクナゲを手に入れることができ、栽培し花を見てみると
紫色ではなく紅色の花が咲きました。花色はセキホウみたいな色でした。
あの時祖父がこのシャクナゲを買っていたら人に譲ったり枯らしたりして
世に出ないで絶滅していただろうなーなんて話していました。
北海道から戻った品種は、「只見紅」と名付けられました。
セキホウは実生から生まれたものですが原種でこの色は他にはないのではと思います。花はあまり纏まりがありません。
只見紅は赤い色素が強く葉の色が少し変わっていて接ぎ木の際に枝と切ると切り口も緑ではなく赤っぽいです。
孫である店長もこの「只見紅」の花を引き継ぐことができ、接木して絶やさず増やし続けています。
祖父の手にすんなり入らなかったことが幸か不幸か、花自身が自分が絶えない道を選んで導かれたのか(笑)
花屋の嫁もこのストーリーは初めて聞きました。
店長の祖父は私たちが結婚しお会いして間もなく亡くなられたのですが、
おじいちゃんの性格を思い出し、なんだか笑ってしまうような話でした。
別な個体で、只見紅が花開いた様子です。
本当に濃い紅色ですね。日本シャクナゲで一番濃い紅色だそうです。
いちばん!が只見シャクナゲなんて、なんだか誇らしい思いです。
愛好家の中でも知る人ぞ知る品種でしょうが、
こういった日本中どこにもないシャクナゲの品種を絶やさず守り続け
価値の見いだせるお客様の手にお届けできるように
接ぎ木の技術や、シャクナゲ苗木の管理を心配り、大切に育て守り続けたいと思います。
大ボリュームの長文記事
最後までお読みいただきありがとうございました!
花屋の嫁でした~