横浜から壱岐へ!?ロイヤルウイング見物記@壱岐・郷ノ浦港 | 風かおる 鉄の路

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主に私が乗車した乗り物関連(鉄道中心)、その他気になったことを綴っていきます。稀にお絵かき。

ロイヤルウイング…壱岐へ!?

2023年5月14日、横浜港クルーズ船「ロイヤルウイング」は最後の営業運航を終了しました。

ロイヤルウイングは関西汽船「くれない丸」として阪神~別府航路で活躍し、その後レストラン船へと転身した歴史を持つ、今年で建造63年の現役では日本最古の客船です。

 

 

この歴史あるロイヤルウイングが引退すると聞いて私も3月に乗船しています↓

 

ファイナルクルーズを持って引退したロイヤルウイングは、引き続き横浜港大さん橋国際客船ターミナルに停泊していましたが、運行終了から1ヶ月を過ぎた6月27日、ついに横浜を去るときがやってきました。

 

自力ではなく、タグボート「ひろかい」に曳航されて慣れ親しんだ横浜港を離れたロイヤルウイングは東京湾から太平洋に出て西へと進んでいくようです。

 

一体どこへ向かうのだろう…?

船の位置を表示してくれるサイト「marinetraffic.com」によると行き先は「JP GON」…

これはAIS用港コードと呼ばれるもので、JP GONとは、長崎県壱岐市にある郷ノ浦港のこと。
 
えっ…壱岐!?
壱岐と言えば我らが地元・博多からジェットフォイルで75分の距離にある離島。
 
そんな近いところにロイヤルウイングがやってきてくれるの…?

 

半信半疑ながらその後もロイヤルウイングの行方を追っていくと、太平洋から瀬戸内海に入り、名前を受け継いだ「さんふらわあくれない」とすれ違った後関門海峡を抜け、玄界灘へ…

 

そして、7月2日10:00…

 

本当に壱岐・郷ノ浦港にやってきました!

 

↑郷ノ浦港までの曳航の詳しい状況はこちらから

 

横浜まで乗りに行ったあの船がこんなに近くまで来てくれるなんて…

 

 

郷ノ浦港に接岸したロイヤルウイングですが、この後の予定は判明していません。

噂では海外に売却され解体などと言われていますが…

いずれにせよ、いつまでも郷ノ浦に留まってくれるわけではありません。

 

ということで、突発的ではありますが、見に行くことにしました。

 

ジェットフォイルで郷ノ浦へ!

2023年7月6日。

 

やってきたのは博多港ベイサイドプレイスです。

 

博多港は第1ターミナルと第2ターミナルの2つに分かれていますが、今回乗るのはジェットフォイルなので第1ターミナルから出発します。

 

受付を済ませ、乗船開始までぶらぶら。

 

建物内の巨大水槽を眺めているとちょうどアオウミガメがゆったりと泳いでいました。

 

7:50、乗船開始となったので乗船口へ。

今回乗るのは「ヴィーナス2」。

「2」と付いていますが、実は「ヴィーナス」より船歴が古いらしいです。

 

2階の指定席に着席。

 

8:00、博多港を出航しました。

ジェットフォイルは水中翼船とも呼ばれ、水中翼を使った翼走状態となると船体を海面から浮上させた状態で走ります。

時速は80km/h。その性能をいかんなく発揮し、所要時間短縮に貢献しています。

船体が直接海面に触れないので乗り心地は普通の船よりいいですね。

 

船は福岡の街並みを見ながら博多湾を北上していきます。

 

 

しばらくすると見えてきたのは能古島。

アイランドパークがある島で姪浜から船で行くことができます。

 

糸島半島の先端を過ぎるといよいよ玄界灘。

玄界灘は荒れることで有名ですが、今日は多少波立つ程度。

博多湾内と同じくらいの揺れしか感じません。

 

しばらくすると博多へ向かう同じ九州郵船のフェリーきずなとすれ違いました。

 

博多を出てから40分ほど、右手に小さな島が見えてきました。

こちらは糸島市に属する烏帽子島。

頂上に見える灯台は初点灯から130年以上の歴史を誇っています。

ここは糸島半島と壱岐との中間地点。ジェットフォイルって速いですね~

 

唐津東港へ向かうフェリーとすれ違いました。

 

さらにしばらくすると左手に島々が近づいていました。

こちらは壱岐に付属する渡良三島の長島(左)、大島(右)。真ん中の橋は珊瑚大橋です。

この島々が近づいてくると壱岐は目の前。

船は郷ノ浦港へと入っていきます。

 

あっ…!

いた…ロイヤルウイング!

郷ノ浦港へ入っていくと遠くにロイヤルウイングが停泊しているのが見えました。

逸る気持ちを抑え、到着を待ちます。

 

9:10、ヴィーナス2は壱岐・郷ノ浦港へと到着しました。

 

それでは、さっそくロイヤルウイングのもとへと向かいましょう!

 

ロイヤルウイングのいるところへ

壱岐に来たのは…そうですね、10年ぶりくらいでしょうか…?

郷ノ浦港に到着し、辺りを見回しても10年前のままの景色。

 

この古めかしいバスもそのときのままでしょうね。

 

郷ノ浦港からロイヤルウイングがいる岸壁まで歩いていきます。

辺りにはのどかな漁港の風景が広がっています。

 

道端で魚を干していました。

壱岐はお魚も美味しい地。

食べてみたいですね。

 

トンネルが現れました。

これを越えていきます。

 

トンネルを越えた先も漁港の風景。

 

その向こうにはロイヤルウイングが止まっているのが見えました。

 

ふと、甲高いキーンという音が響いたので音が聞こえてくる方を見ると、ちょうどヴィーナス2が博多へと帰っていくところでした。

わかりにくいロイヤルウイングとのツーショット。

 

けたたましい音を立てながら帰っていくヴィーナス2を遠くに眺めて、ロイヤルウイングの方へ歩いていきます。

 

頭上にはトンビが飛び交っています。

ちょうど電柱に降り立ったときに撮ってみました。

鋭い眼光がかっこいい…

 

郷ノ浦港から歩くこと15分ほど。

ついにロイヤルウイングが停泊している岸壁までやってきました。

 

岸壁の周辺は公園になっていて、その名は「青い海と緑の広場」だそう。

 

ロイヤルウイングといよいよ対面です!

 

3ヶ月ぶり!ロイヤルウイング

横浜・大さん橋から直線距離で約930km。

そんな遠い地にロイヤルウイングは静かに佇んでいました。

 

真っ白な塗装も、「ROYAL WING」の文字も、

 

このファンネルマークも横浜でみたまま。

ここ壱岐の地で出会うとは、なんだか夢のようです。

 

 

船尾部分には船籍港の「横浜」の文字。

 

客船特有の丸い船尾も、

 

瀬戸内海の島々を眺められるよう大きく取られた窓も、

 

私が雨に打たれながら景色を眺めたサンデッキも当時のまま。

 

でも…明かりがついていないせいなのか、営業当時とは異なり、なんだか空っぽな印象。

もうその役目は終えた…そう船体が語りかけてくる気がします。

 

数多くの客を出迎えたハッチも閉じられ、静まり返っていました。

 

現役時はこれほど近くで見ることはなかったので、最後の記念に隅々まで見て回ります。

 

「第2調理室」の文字。

私が食べたあの中華バイキングもここで作られたのでしょうか…?

 

その近くには「乗船の皆さまにお願い」と書かれた貼り紙。

 

船内の案内図もそのまま残っていました。

 

 

一番後ろ。係留索が取り付けられています。

美しい船ではありますが、近くで見ると塗装がくたびれていたり、サビが浮き出していたり…

寄る年波を感じさせられます。

 

前方から船の姿。

くれない丸時代から変わらない美しいフォルムが陽に照らされています。

 

現役時代は横浜・みなとみらいの風景に囲まれていたロイヤルウイング。

今は青空の下、のんびりとした時間を過ごしています。

日本を発つ前の最後の休息の地が瀬戸内海の風景にも似たこの穏やかで美しい島となってよかったのかもしれません。

 

しばらく眺めていましたが、そろそろお別れ。

港の方へ戻る途中、振り返るとサンデッキの大きなハートが見送ってくれました。

 

ロイヤルウイングを見ながらお昼

さて、そろそろお昼どきなのでごはんを食べに行きましょう!

 

やってきたのはロイヤルウイングと郷ノ浦港フェリーターミナルとの中間くらいの場所にある「かもめの朝ごはん」というお店。

ここのランチバイキングが美味しいらしいので来てみました。

 

店内に入り、前払いの料金を支払って料理を取っていきます。

 

地元の食材をふんだんに使った美味しい郷土料理が並んでいます。

 

ざっと盛り付けて席へ。

 

すると店員さんがお刺し身を一皿持ってきてくれました。

バイキングにセットになっているようです。

 

並べてみました。

天ぷら、唐揚げ、煮物、あら炊きなど…

地のものがいっぱい!

 

窓側の席だったのでふと見てみると…

 

遠くにロイヤルウイングの姿。

今だけの景色を楽しみながらのお昼ごはんでした!

 

店を出ると島猫ちゃんに出会っちゃいました。

 

春一番の塔

壱岐最後に訪れた場所は郷ノ浦港フェリーターミナルよりすぐ近くのこちら。

「春一番」発祥の地と書かれています。

 

壱岐は気象用語でおなじみ「春一番」という言葉が生まれたとされる地なのです。

その由来には悲しい歴史があります。

 

江戸時代の終わり、1859年(安政6年)、旧暦2月13日の壱岐は快晴。

元居浦(この地域)の漁師たちは鯛の好漁場である五島沖へと出漁しました。

ちょうど延縄を張り終えたころ、南の水平線上ににわかに黒雲が現れるのを1隻が見つけました。

「春一だ!」

その言葉に、すべての船が今仕掛けたばかりの延縄を切り捨て、帰帆の準備を始めましたが間に合わず…

間もなく強烈な南風が海上を吹き荒れ、小山のような波が襲いかかってきました。

努力も虚しく船は転覆、53名もの漁師がなすすべもなく船とともに海中へと沈んでしまったのです。

この悲しい事故に元居浦では「五十三霊淂脱之塔(供養塔)」という慰霊碑を建て、それからは旧暦2月13日はどんなに海が凪いでいても出漁せず、海難者の冥福を祈る行事を行っているそうです。

 

この故事を知った民俗学の宮本常一氏が本で紹介したことから春一番という言葉が知られるようになっていたのだとか。

 

その供養塔が近くにひっそりと立っていました。

 

供養塔からちょっとだけ離れた丘の上にも「春一番の塔」があります。

 

それがこちら。

こちらは春一番という言葉が広まった後の1987年に建てられたもので、海の恐ろしさを忘れないことを願って建てられています。

 

この塔が建てられている元居公園は高台。

 

遠くに泊まっているロイヤルウイングの姿を望むこともできました。

 

博多へ帰還

そろそろ帰る時間。

 

17:10発のヴィーナスで博多に帰ります。

 

出航すると最後にロイヤルウイングを眺めることができました。

 

ヴィーナスの救命浮輪と一緒に。

 

壱岐を離れていくヴィーナス。

今回はあまり長居できなかったので次回は島内を観光したいですね。

 

出航してしばらく、遠くに小さな島々が見えてきました。

一番左側の島には灯台が建っていますね。

これは壱岐市芦辺町に属する「名島」。

「前島」「本島」「鵜の糞島」「鯨島」の4島を合わせて「名島」と言うそうです。

名島灯台が建っている島が前島、真ん中の島が本島、右の島が鯨島。

鵜の糞島は本島の後ろに隠れています。

 

釣りの名所だそうで、その筋の方には知られています。

 

博多湾に近づいてくると玄界島が見えてきました。

真ん中にある大きな島が玄界島。左に少し離れた小さな島が柱島、玄界島に被さるように見える手前の島が大机島。

玄界島は博多湾の出口にある島で、福岡市営渡船で向かうことができます。

 

さらに進むと陸繋島の志賀島が見えてきました。

 

ちょうど海の中道へとつながる道を西鉄バス21Aが天神に向けて走っています。

こうしてみるとまるで海の中を走っているかのように見えますね。

 

西戸崎手前の端島を通過。灯台がある小さな島です。

 

博多湾に入った船。すれ違う船も多くなります。

 

青と白で塗装された大きな船が近づいてきました。

 

船名を見ると…「さんふらわあ はかた」!?

さんふらわあといえば(ロイヤルウイングの前身くれない丸も就航していた)阪神~別府航路や志布志航路、大洗~北海道航路でおなじみの白い船体に大きな太陽のマークを描いた船ですが…

 

実は同じ運航会社の東京~博多航路のRORO船にも「さんふらわあ」の名が付けられており、こちらはさんふらわあマークが船体に描かれていないのです。

とはいえこれも立派なさんふらわあの仲間。

くれない丸の系譜を引き継ぐ?この船を見送りました。

 

 

船はスピードを落とし、中央ふ頭の国際客船ターミナルが見えてくると間もなく博多港に到着です。

 

18:20、博多ふ頭ベイサイドプレイスに着岸。

旅の終わりです。

 

今回はロイヤルウイングの最後の姿を見届けるべく、急遽壱岐に行ってきました。

3月に乗った船との再会、そして壱岐の美味しいグルメを堪能…

短くも楽しい旅となりました。

 

7月2日に壱岐に来たロイヤルウイングは旅行2日後の7月8日、韓国のタグボート「ANETA」に曳航されて壱岐を離れており、その間たった7日間。

そのわずかな間に、また天候不順な時期にも関わらず青空のもとでロイヤルウイングを見ることができ、運が良かったです。

 

ロイヤルウイングは今後韓国で解体という噂ですが、どうなっていくのか今後も注目していきたいとと思います。

 

 

また、今回は壱岐の観光名所に行くことができなかったので、次回はもっと巡ってみたいですね。

ウニ丼も食べたい…

 

それでは。

 

 

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