福岡～北九州を1本で結ぶ路線バス
福岡県内の各地で縦横無尽に走り回る西鉄バス。
一時期より路線を減らしているものの、それでも県民の足として活躍しています。
路線バスはもちろんのこと、主要都市間を結ぶ高速バスを多数運行しており、こちらも多くの方に利用されています。
その中で最大の本数を誇るのが北九州～福岡線。
県都・福岡の天神・博多駅と福岡県第二の都市、北九州の小倉とを結び、平日は100往復以上が運行されています。
そんな大幹線な北九州～福岡線ですが、九州自動車道が走る前は一般道を経由していました。
運行されていたのは一般路線バス。その名は20番です。
この20番、1970年代まで今川橋(福岡市早良区西新の近く)～赤間～折尾～小倉～門司間をすべて下道経由で運行されていました。
各バス停に停車しながら福岡から門司まで…気が遠くなりそうな運行距離。
20番という名は西鉄バスファンの間で伝説として語り継がれています。
その後1980年代までにこの20番は赤間営業所で系統分割。福岡側は行先番号を26番と改め、天神始発・都市高速経由の26Aに変わりつつも現在まで運行されています。
一方北九州側はというと、行先番号は20番のまま、赤間営業所～黒崎間の路線として運行が続けられました。
しかしながら競合する鹿児島本線が本数を増やしたこともあって大苦戦。
時代を減るに連れ、終点が黒崎から折尾へ、さらに折尾から遠賀川駅へ…というようにどんどん短縮され、現在では赤間営業所～海老津駅間を1日1本のみ細々と運行されています。
かつては福岡と北九州を結ぶ大幹線であり、赤間で系統分割されたあとも日中15分ヘッドで運行されていたという20番が今やたった1本…
そんな栄枯盛衰を体で表すような20番に乗車してきました。
スタートは赤間営業所から
2019年2月11日、建国記念の日のこの日、やってきたのは赤間営業所です。
赤間営業所は赤間バスセンターともいって、赤間駅・福岡・直方(※現在は廃止)、そして海老津駅方面へ各方向のバス路線が集まるターミナルです。
バスセンターの待合室の上にはずらりとバスの行先が並んでいます。
ところどころ空白がありますが…
多分、黒崎とか折尾とか書かれていたのでしょうね…
下が見たい…！
海老津駅行きは専用ののりばがあります。
ですが…
ここに来るバスは1日1本だけ。
ちょっともったいない気がしますが、これも15分ヘッド時代の名残りなのかもしれませんね。
こちらは路線図。
赤間営業所からたった7バス停で終点となります。
昔は路線図がこの何倍も伸びていたんですよね…
しばらくすると、待機していたバスが動き出しました。
1日1本の海老津駅行きのバス！
さっそく乗車します！
都市圏の境をまたいで
赤間営業所を出たバスは赤間急行と同じ経路をたどりますが、教育大学バス停を過ぎ、国道3号にぶつかったところで北九州方面へと曲がります。
なにやら道の両側には山が広がっています。
ここは城山峠という峠道。
鹿児島本線もこの峠をトンネルで越えており、福岡都市圏と北九州都市圏の境だといわれています。
そんな峠を越え、北九州側へと足を踏み入れます。
宗像市から岡垣町に入る直前、国道3号(岡垣バイパス)と分かれて脇道へ。
こちらは岡垣市街に向かいます。
あっという間に終点
赤鳥居・母の家前と特徴的な名前のバス停を過ぎると岡垣の街なかへ入っていきます。
赤間営業所から12分ほど、終点の海老津駅に到着。
あっという間の旅路でした。
なお、これより先折尾方面に向かうにはコミュニティバスを乗り継ぐ方法がありましたが、岡垣町のコミュニティバスの運行形態の変更等により現状ではほぼ使用不可能なルートとなっています。
かつての大幹線をしのぶ旅、一度体験されてみてはいかがでしょうか？
※波津線廃止により、2022年9月23日より20番は松ヶ台循環線に移管されています。運行形態は変わりません(2022年9月現在)。