今回からはこちら、急行10周年飯田線秘境駅号に乗車します!
飯田線秘境駅号とは、飯田線に多数存在する訪問が難しい「秘境駅」をめぐる臨時列車で、特急(ワイドビュー)伊那路と同じ豊橋~飯田間を運行します。
指定券は発売とともに毎回満席となるほどの人気。JR東海で最も成功している観光列車です。
2010年に団体臨時列車「魅惑の飯田線秘境駅号」として運行を開始し、同年8月からは一般向けの臨時急行列車として運行を始めてから、2020年でちょうど運行開始10周年を迎えました。
10周年を記念して2020年3月に急行「10周年飯田線秘境駅号」として、上り(豊橋行き)のみ駒ヶ根始発に延長運転することとなり、せっかくなのでこの機会に乗車しようと思っていたのですが…
指定券も10時打ちで取っていたのですがあえなく運休。
乗車する機会を失ってしまいました。
その後7月には令和2年7月豪雨の影響で飯田線自体が不通に。
飯田線にとってはCOVID-19と並んでダブルパンチとなってしまいました。
しかしながら8月31日、JR東海から11月に再び10周年飯田線秘境駅号を運行することが発表。
再び10時打ちを行い、無事3月のリベンジを果たすことができました。
3月のときは313系8000番台での運行予定でしたが、今回は373系での運行。
正調編成での飯田線秘境駅号の旅が楽しめます。
改札を入ると地元の方とゆるキャラの「こまかっぱ」が出迎えてくれました。
反対ホームから編成全体を。
373系は普通列車としては駒ヶ根に乗り入れますが、優等列車として乗り入れるのは珍しいです。
こちらは今回限定の特製ヘッドマーク。
このヘッドマークは飯田線の駅員・乗務員・保線担当の中から出た案から投票で選ばれたものだそうです。
プロがデザインしたのではないかと思ってしまうほど秀逸なデザインですね…
こちらは側面の方向幕。「臨時」表記です。
それでは中へ。
車内は2+2列のリクライニングシートが並んでいます。
わかりにくいですが、デッキと客室の間の扉が省略されているのが大きな特徴だったりします。
連結部寄りには4人掛けのセミコンパートメント席が。
快速ムーンライトながらで運用されていたときは重宝されていたとかいないとか…
発車時刻が近づいてくると、車内はあっという間に満席になってしまいました。
11:47、急行10周年飯田線秘境駅号は地元の方に見送られて駒ヶ根駅を発車しました。
発車するとすぐワイドビューチャイムが流れ放送が始まりました。
「皆様、本日は急行10周年飯田線秘境駅号にご乗車いただきありがとうございます…」
放送ではこの列車の説明と、さっそく車窓の案内が。
右側に見えるのが中央アルプス。左側には南アルプスも見えています。
こうした2つのアルプスに挟まれながら走るのは日本ではここだけだとか。
「この先、私どもは車内放送でしゃべり倒していきますので、ずっと、いえ、沢山、いえ、しばしば、いや、ほんの少しだけでも、お耳を傾けて頂ければうれしい限りでございます」
とのこと(笑)
なかなかユーモラスな放送で、これからの長い旅路の楽しみが一つ増えました。
放送が終わらないまま、列車の左側に注目するようにとの案内が。
言われるまま眺めると、何やら沿線に数人立っていて
「伊那本郷駅で待っています」という横断幕を掲げていました。
これは、この列車に乗務できなかった乗務員がここで手を振った後伊那本郷駅まで車でこの列車と競争するという企画らしいのです。
飯田線の最高速度は85km/h。普通なら車は電車に勝てるはずはありません。
しかしながらこの付近は「Ωカーブ」と呼ばれ、線路が大きくカーブしている区間。
列車がそこを速度を落として走行している間に車で先回りすることができるのです。
車掌「普段なら車が勝ちますが、この列車は急行です。車に勝ってみせます。業務連絡、運転士さん、安全運転で勝ってください。……ちなみに昨日は車が勝ちました」
昨日の秘境駅号が勝てなかった時点で勝負は見えてる気がしますが……果たして、普段は走らない「急行列車」は車に勝てるのでしょうか?
列車はΩカーブに入り、車輪を軋ませながらゆっくり走っていきます。
そして、いよいよ運命の伊那本郷駅…
…やっぱり先回りされてました(笑)
車掌「残念ながら負けてしまいました。ですが車では楽しめない車窓をご覧いただきました。私たちの勝利です」
なんという負け惜しみでしょうか(笑)
そうこうするうちに、列車は最初の停車駅、伊那田島に到着です。
伊那田島は秘境駅ランキング200位の秘境駅。
今回の延長運転で初めて秘境駅号が停車します。
今年で開業100周年を迎えるのだとか…
7分停車するので降りてみます。
駅前ではなんと地元の方がりんごを配布…!
私もいただきました。
美味しそうなりんご。
これは家に持ち帰って食べることにします。
駅のすぐ目の前にはりんご畑が広がっており、有料でりんご収穫体験もやっていました。
りんご畑の後ろには雄大な南アルプスの景色が。
7分の停車時間はあっという間。
列車は伊那田島を後にし、次の停車駅を目指します。
列車は飯田市に入ります。
このあたりの名産は「市田柿」。車窓からは柿の木や柿を干す光景が見られました。
しばらくすると、秘境駅号は元善光寺駅を通過。
列車から元善光寺のオレンジ色の建物が見えます。
現在の長野市にある善光寺の本尊はもともとこの寺に鎮座しており、642年に勅命によって遷座したことからここが元善光寺と呼ばれるようになったとか…
元善光寺から数駅、列車は飯田線の中心駅、飯田に到着しました。
列車はここで24分停車します。
降りてみると駅員さんたちが秘境駅号の横断幕を持ってお出迎えしてくれました。
さらに先頭車両付近ではお菓子の詰め合わせの配布も…
先ほどご紹介した市田柿を使ったムースも入った、地元のお菓子がたっぷり入っている詰め合わせでした…♪
こんなにいろいろもらえちゃうなんてお得ですね!
それでは、次回はここ飯田駅のご紹介からスタートしたいと思います。
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