sideユウジ

小春の後をつけていくと、公園が見えてきた。そして、公園を見てみると人がおった。

「立海の柳生比呂士…」

立海のダブルスで有名な柳生。相方がイリュージョンとかなんか知らんが、俺と被っとったなぁ。
そんなことより、なんで柳生が小春と仲がええねん!いつのまに…。

俺は2人の後ろにあった草木で隠れて、様子を見ることにしてみる。
あんま近いとバレると思って、離れとるけどよう聞こえへん。

「展開…きっかっけ…」
所々しか聞き取れへん。全然わからん。せやけど、2人が恋人じゃなさそうや。そんな雰囲気ではないな。
あ、ポケットに入れとる携帯が振動しとる。
白石との集合時間になったようや。
まだ不安はあるけど、2人に見つからない為に、この場を去った。
side小春

ユウくんが来るのは予想はしていたけど、やっぱり良いとは思われへん。
このことは、内密にする。これは、あの子との約束なんやから。まぁ、今のところユウくんが、直接干渉はしてこないことが救いやね。

さて、約束していた公園を見ると、もうあの子はベンチに座っていた。
緊張をしてるのか、少し体が硬直している。

「お待たせ!比呂リン」

「こんにちは、金色さん」

声をかけてみると、柔らかな表情を見せてくれた。ベンチから立ち上がり、手を差し出してくれた。本当に律儀な子や。


本題に入るため、互いにベンチに座る。緊張を解す為に、天気や世間話から始めてみる。
比呂リンの緊張は無くなっていく。
そして、本題に入ってみる。

「…それで、何か進展はあった?」

「いえ、これと言って…何も」

「そっか、何かきっかけが必要やな」

私たちは、計画について話し合った。それから、蔵リンとの集合時間になったので、別れることにしたの。
side白石


晴れ渡る空、心も晴れるはずやねんけど…。
1人暗いオーラを出しとる奴がおる。
ユウジがなぜこうなっているかは、ちゃんと理由は知っとる。
知っとるけど、ユウジには何も言われへん。それは小春と約束したことや。

「幸村くんに挨拶したら、後は自由行動や!」

「了解!」

「…」

ホンマ、対照的な態度や。ユウジに言っても良いと思うけど、小春はそれを良しとせえへん。
まぁ、相手の子と何か約束でもあるんやろ。

そうこうしてる間に、立海に着いた。門の前には幸村くんが待ってくれとった。

「久しぶりやな!幸村くん」

「ふふふ、久しぶりだね。立ち話もなんだから、早速行こうか」

「そうやな。でも、ちょっと待ってな」

俺は小春とユウジに向き直る。帰りの時間と待ち合わせ場所を伝える。

「2人は来ないのかい?」

「ああ、別の子と約束があるねん」

「そうなの!だから、また会いましょう幸村くん!」

「そうだね」

小春は軽く会釈をすると、そのまま行ってしまった。ユウジは距離を置きながら、小春の後をついて行く。

「さて、今日は何を持ってきたの?」

「俺が丹精込めた特別な毒草と薬草や」

俺は2人を見送ると、幸村くんと立海に入っていく。今日もええ取り引きが出来そうや。