side柳生


仁王くんに肩を掴まれてしまい、逃げることが出来ません。
せめてもの抵抗で、顔を伏せますが気休めでしかありません。

「無駄ぜよ。柳生」

「っ…」

「俺の勝ち、ぐはっ!」

目をぎゅっと閉じた瞬間、仁王くんの悲鳴が聞こえてきます。恐る恐る目を開けると、目の前に居たのは仁王くんではありません。

「…丸井くん?…本当に…」

息を切らしている丸井くんがいました。そして彼の足元には、片方の頬を腫らしている仁王くんがしがみついています。

「何してくれたんじゃ!せっかくいいところじゃったのに!」

「誰がお前に比呂士をやるか!」

2人は私を置いて口ゲンカを始めました。助けてくれた丸井くんに何も言わないのは私の性分が許しません。
が、これはある意味自分の人生が懸かっている勝負。非道にならねばいけません。
私はこっそりと調理室を後にしました。

このまま走り続けるのは無理があるので、やはりどこかに隠れなければなりません。
私は近くにあった、生徒会室に逃げ込みました。

今、浮かんでいるネタを書き出しておこうと思います。
『紳士争奪戦』は予定では、あと3つぐらいで終わります。

ネタ

仁王、柳生と小春、ユウジのダブルデート。
デートっていうより、4人で会話して欲しい。柳生にアドバイスする小春とか。

ぼくなつパロ。
「そんなこと言うんだったら、帰らずにここに住めばいいじゃない!」って誰かに言わせたい。

白石とカブリエル
カブリエルを嫁に貰う白石。冷めた部員の反応。

3年Aの恋物語(風紀恋愛物語とも)
真田と柳生の純愛。2人とも恋愛に対して鈍いと良い。

ユウジの奮闘記
小春と仲良くする柳生に嫉妬。ユウジを柳生のストーカーと勘違いした、仁王との戦い。それを傍観しながら、柳生を狙う柳。
実は、3年Aの恋物語と連動したりして…。


課題もせずに、そんなことを考えてます。


side柳生

息を殺し待っていますが、入ってきた人は一向に行動を起こしません。
私の心臓がうるさいくらい鳴っています。それを嘲笑うように、全く動いてくれません。
見つかるのは嫌ですが、早く何かアクションを起こしてくれませんと、不安は膨らむばかりです。

「…比呂士いるか?」

(丸井くん!?)

丸井くんの声を聞いただけで、体全体に張っていた緊張の糸が切れました。
そのせいで、腕がドレスを擦り音を立ててしまいました。その音に気づいたのか、丸井くんが近づいてきます。

「ここにいたのかよ」

私を見つけると、丸井くんはしゃがんで目線を合わしてくれました。
恥ずかしながら、私は緊張の糸が切れたばかりで、体を動かすことが出来ません。
それを理解してくれたのか、丸井くんは私を抱き寄せくれます。

「もう大丈夫だぜぃ」

「良かった…?」

そういえば、丸井くんは私を抱きしめたことありましたっけ?
いつもは肩を組んだり、軽いスキンシップのはず。
今日はいつもと違う気がします。こんなに力強く抱きしめられたりしない。
そんなことを考えて始めたら、急に不安が押し寄せてきました。体が震えだし脳が警告してくる。

「離してください!」

人間やれば出来るんですね。体を離そうと突き出した腕は、思った以上の力が出てしまいました。
相手も驚いたらしく、少しよろめき手を地面につける。
そして、髪を手で鷲掴み、不気味な笑みを浮かべる。

「バレてもぅたか」

「…仁王くん…」

目の前の人は、赤い髪から銀髪に変わってしまった。

「覚悟しんしゃい、柳生」

驚きと動揺をしてしまい、体が動かなくなってしまいました。それを知ってか知らずか、問答無用で肩を掴まれてしまいました。