※正しい宗教と信仰
・自己の信念を宗教としている。
人は誰でも、なんらかの信念をもって生きています。
人生全般にかかわる信念もあれば、人生の部分に対する信念もあります。
たとえば「宵越しの金は持たない」という人もいれば、「無駄遣いはしない」という人もいます。
また「少々の熱や咳は働いていれば治る」と信じている人もいれば、「少しでも具合が悪ければ医者にいくに限る」という人もいるというように、
一人の人間の信念といっても、金銭面・健康面・教育面・職業面などにわたって、多種多様です。
しかもそれらの信念は、その時代や環境・年齢などによって変化します。
それは人間の心が常に揺れ動くもので、その心によって生み出される価値観や信念が定まることなく変化するのは、当然のこと。
と同時に私たち凡人の智慧や判断にはおのずから限界があることも当然です。
「宗教」とは、「真理」を究めた聖者が、人々のために根本の正しい道を説き示して救済することを意味しています。
すなわち正しい宗教とは法界の心理を悟り、極めた、仏の教えであり、人生にとって普遍の根本原理として、
すべての人々を安穏な境界に導くとともに、人間に勇気と希望と活力を与える源泉なのです。
しただって、仏の説き示された教えと、個人の不安定な信念とは天地雲泥の異なりがあるわけですし、
これを同等に考えることは宗教の意義を理解していないことになります。
個人の信念のみ、を強調して宗教を否定する人のなかには、
「一定の宗教を持つと教義や規則に拘束されて、画一的な人生観や価値観を押し付けられ、人間の個性や自由が奪われるのではないか！」
と懸念する考えもあるようです。
しかし、日蓮正宗の教えは、あたかも様々な草木や花をすべて育て養う大地のように、一人ひとりの個性や信念を超えて、
それぞれの人生を開発し、開花させるものであり、けっして画一的な価値観や思想を押しつけるものではありません。
現実に、日蓮正宗を信仰する人々は、家庭や職業・年齢・地域などによってそれぞれに異なった信念のもとで生活しておりますし、
個性も抑圧されるどころか、信仰に培われて、より健全に伸び伸びと発揮しつつ社会のなかで活躍しています。
また日ごろはそれほど信念について固執したり、深く考えているわけでもないのに、こと宗教や信仰の議論になると、
とたんに取ってつけたように「自分は信念を宗教にしている」などと理屈を並べる人もいます。
いずれにせよ私たちの能力には限界があり、性格的なクセもあれば欠点もあって、けっして完全ではありません。
あなたの信念をより正しく充実させ、しかも人生の上で立派に結実させるためには、主体者であるあなた自身が大地のごとき正しい仏法に帰依し、信仰に励むことが必要なのです。