安倍政権になって、日本の『右傾化』なるものが話題にあがるようになりました。
確かに『護憲』のお題目を唱え、ヘイワ念仏をあげていた社民党は凋落したことひとつとっても、『右傾化』は、ある意味最近の日本の社会現象と言えるかもしれません。
それにともない日本では、自衛隊アレルギーはほぼ消滅したようですが、この記事ではそもそも日本人がなぜ「反軍」、自衛隊アレルギーをもつようになったのかを考えてみます。
私の結論は極めて単純です。
「大東亜戦争の経験通して、日本人は帝国軍にダメ出しをした」
というのが、私の結論です。考えてみれば当たり前です。
・戦前・戦中、日本人は多額の国防費を払っていた。
・日本人男子は、徴兵制で帝国軍への入営が義務だった。
・日本人は神風特攻隊、回天特攻隊などを代表に、命を捨てて国のために敢闘した。
その結果どうなったのか。
・無敵皇軍のハズが、米軍に圧倒され無残に敗北した。
・インパール、ガダルカナルなど多数の戦線で、補給を無視した馬鹿げた作戦により多くの皇軍将兵が餓死・病死をした。これでは将兵本人も遺族も浮かばれない。
・東京大空襲、広島・長崎の原爆投下で、日本人が米軍の大量虐殺の憂き目にあっているにもかかわらず、帝国軍は何もできず、ズルズル戦争を長引かせた。
・敗戦直後、精強だったはずの関東軍は、外地の日本人を置き去りにして、日本人保護の義務を放棄した。
(満蒙の根本将軍、北海道の樋口将軍は例外的に見事に義務を果たした)
・武装解除に従った皇軍将兵は、シベリア抑留など塗炭の苦しみを味あわされた。
・東京大空襲などの主体になった、米空軍の爆撃機B29などで、一般の日本人も日米の科学・技術・物量の圧倒的な格差を身をもって体験した。
・敗戦後、米軍・米国の経済力に圧倒的な格差を身にしみて感じた日本人は、開戦したこと自体を狂気の沙汰と思うようになった。
簡単に言えば、日本人は軍隊に多額の「投資」したあげくに、スッカラカンどころか命からがらの悲惨な目にあったわけですから、「軍隊など役立たず」と評価するのは、極めて自然だと、私は思います。
「戦争はイヤだ」「軍隊はいらない」というのが、大東亜戦争を経験した日本人の大多数が抱いた実感だと、私は思います。
実体験にもとづいて得た実感ほど強いものはありません。
「国防のために軍隊は必要」などは、いくら正しいリクツでも所詮はリクツに過ぎず、「戦争も軍隊もコリゴリ」という実感には勝てません。
結局、日本人が国防意識に目覚めるには、
・1995年の阪神・淡路大震災での自衛隊の必要性
・同じく1995年の地下鉄サリン事件での毒ガス除染など対テロ対策の必要性
・2002年小泉訪朝時の日朝首脳会談で北朝鮮による日本人の拉致が明らかにされる
・2011年3月11日の東日本大震災での自衛隊の活躍
・尖閣問題など、近年の中共政府の軍事脅威の実感
などの大災害・大規模テロなどを通して、ようやく「戦争はイヤだ」「軍隊はいらない」という本来間尺にあわない実感論から、日本人は脱却しつつあるのだと、私は思います。
今の日本人に特に大事なことは、リアリズムだと私は思います。
例えば、旧軍を無邪気に褒め讃えることではなく、大東亜戦争を冷徹に事実に基づき作戦の当否などを見極めて、日本の組織的特性・意思決定の特長などを見極めて、日本・日本人の長所・短所を明白にすることで、未来につなげることだと、私は思います。
別のブロガーさんも、おっしゃっていますが、
『時々「戦前日本は素晴らしかった」という、「自信の無い日本人を鼓舞するための提灯記事」を散見しますが、あれも良し悪しだと思います』
というのに、私も同感です。