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平成26年10月25日初版発行
角川文庫
169ページ

本書は,小川洋子,瀬戸内寂聴,横尾忠則,多田富雄の4氏との対談をまとめたものである。このうち多田氏は,1934年茨城県に生まれた免疫学者である。2001年脳梗塞で声を失ったがその後も執筆活動を続け,2010年に死去した。同氏との対談は,五木氏が同氏の「免疫の意味論」を読んで衝撃を受けたことがきっかけになっている。

死や生をテーマにした対談であるので,正解などはない。テーマに関連してそれぞれの相手と対談をすることを通して,五木氏の考えが浮き彫りになってくる。私は,高校生のときに,五木寛之という作家の存在を知り,折に触れて,その作品を読んできた。五木さんは,80歳を過ぎても元気で,活躍している。私が関心を寄せている作家のひとりで,NHKラジオの深夜便を聞き,BSテレビ4チャンネルの「風cafe」を見ている。

このブログでは,それぞれの対談相手の話の中で,私が興味を持った話題をまったく恣意的に選んで紹介することにする。

最初は,作家の小川洋子さんとの対談

アウシュビッツを訪ねたことがある小川さんは,ナチスドイツがあれだけのエネルギーを使って,組織的・合理的・科学的に徹底的な管理のもとで,ユダヤ人を殺していったことに驚愕する。
人間が人間を殺すという残虐な行為を几帳面にやり通す人間の持っている何か底知れない恐ろしさを思い知らされ,人間の魂の深遠,人間の魂の奥にある底知れぬ深遠を垣間見て戦慄したという。
このような几帳面さは,戦争にも要求される。戦争では,相手を殲滅して勝利を得るという目的のために,周到な状況分析,状況判断を行い,戦略,戦術を立てなければならない。組織的・合理的・科学的な力が発揮されなければならないことは同様であろう。