(その2)では、指先だと点での指の運用となり、フルートやサックスのキイには都合が良いが、
和笛の指孔の場合は、線・面で指を運用した方が塞ぎ漏れリスクが減るということを述べました。
もう一つの理由は、指を曲げると伸ばすのでは、体幹の状態に大きな違いが出ることです。
(その1)でも述べましたが、指が曲がると自然と肘は下に下がります。結果、脇が締まり気味になります。
スポーツや武道ではその構えが隙がなくて正解の場合も多いですが、管楽器で歌の場合は、胸郭が拡がりにくくて必要な呼吸機能に制限がかかります。
逆に指を伸ばし、その延長で手首もあまり折らずに自然に伸ばし気味にすると肘は張り気味になります。
脇と肘が離れると、胸郭が自然と拡がりやすくなり、呼吸機能の制限が解き放たれるのです。
ただし、指を伸ばした結果そうなる、というのが肝要で、形だけ似せて肘を引き上げようとする意識が働くと、肩・首に無駄な力が(入り良くない結果となるので要注意です。
胸郭を拡げた上で、横隔膜のコントロール(そのための腹式呼吸)ができると、拡がった胸郭、その延長での空間が拡がった喉部や口内、鼻腔内まで共鳴しやすくなります。
オペラ歌手の驚異的な声量や響きの要因ですね。
笛に限らず管楽器においても、その音色は楽器の共鳴のみならず身体も共振・共鳴しての音色です。
弦楽器でもそうらしいです。知人の素晴らしい音色のチェロ奏者が言ってました。
楽器の形状や演奏環境によって、肘を下げなければならないこともあります。
篠笛の流派によっては肘を下げ気味のフォームが基本構えの場合もあります( ※指は伸ばすことは共通するようです )。
また、地車(だんじり)に乗る何人もの笛方は、狭い空間で肩を寄せ合い演奏するので肘を下げ脇を締めた状態です。
そういった体勢では、胸部の前横部の機能は制限されますが、背腰部を活用することで共鳴させることができます。また、胸部が制限されることで、下部腹式(丹田)呼吸の純度が上がるという方向性もあります。
それらの事情が無ければ、指を伸ばすことで、肘が張り気味、脇が開き気味のフォームの方が、共鳴には有利で、明るい音色と快活な演奏には向いているでしょう。
ただし、繰り返しになりますが、肘を引き上げようとするのは間違いです。指を伸ばした結果、全身が連動して胸が開き、上記に見える肘や脇のポジションになるだけです。
一見同じようなフォームを取っていても(機能的に)正解か不正解かは、実際のレッスンで指導者にチェックしてもらわなければ、なかなか分かりにくいかも知れません。
このシリーズ前回までの投稿
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