第五章 パイロットとして小空にはばたく 8 | プライベートジェット機長が見た「超」大富豪の投資の世界

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ところで、日本のパイロット養成のためなのになぜアメリカなのか?

 

小型機を使用して行うパイロット訓練が多いのはアメリカではカリフォルニアやアリゾナ、フロリダだったりする。

では、なぜこのような地域を選んで訓練所を設置するのであろうか?

 

それは気候、天候が大いに関係してきている。

 

 

我々がいた北部カリフォルニアという土地はいわゆる「地中海性気候」に区分され、乾燥した夏と雨の多い冬が特徴だ。

特に夏(3月~10月)の時期は乾燥していて毎日が雲一つない晴天なのだ。

この安定した雲一つない空というのが我々の行う有視界飛行訓練に支障をきたさないためにこの土地が選ばれるというわけだ。

 

「有視界飛行(VFR)」とはコックピットから外を見ながら行う飛行のことで、その反対が「計器飛行(外を見ないで計器だけに頼って行う飛行)」だ。

 

 

 

プロのエアラインパイロットはもちろん計器飛行を行うのであるが、我々はパイロットとしてまだ初歩の段階なので、より易しい有視界飛行をメインとした訓練を行うわけだ。

 

夏の北部カリフォルニアの面白い天候現象として「マリン・レイヤー」と呼ばれる濃い霧が発生する。

カリフォルニアの沖には北から下りてくる寒流が流れているのだが、冷たい海流の影響で、海面に近い空気が冷やされると、上空よりも地表近くの空気の温度が低くなる気温分布の逆転現象が起こる。この低温高湿の低い空気層がマリン・レイヤーと呼ばれ、夏のカリフォルニアの海沿いで、朝夕低く厚い雲や濃い霧が発生する原因となるのだ。

 

サンフランシスコのシンボルであるゴールデンゲートブリッジにこのようにかかる霧の写真を見たことがある人もいるだろう。

離れたところから見ると幻想的で美しいが、ブリッジを渡っている自動車から見たらそれはそれで脅威だ。

 

 

このような霧が飛行場に流れ込んでしまうと、我々のような有視界飛行パイロット訓練生はもちろんお手上げで飛行訓練はできないことになる。

ただ、このようなマリン・レイヤーの霧は地上の低い高度のみのことがほとんどなので、その霧の上まで上昇してしまえば有視界飛行を行うことができる。

そのため、離陸から霧の上に出るまでを計器飛行の資格がある教官に操縦してもらい、雲の上に出たあとは訓練生である我々が有視界飛行で訓練を行うということも時々行っていた。これはもちろん合法で「VFR on top」と呼ばれる飛行方式だ。


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 さて、バカになるような晴天が続く夏が終わると、秋から冬にかけてだんだん曇りから雨が多くなる。この時期になると訓練にも影響が出てくる。

信じられないかもしれないが、あまりにも雨が多くてカリフォルニアでも洪水が起きることがあるのだ。

 

私が有視界飛行における訓練でいた時期が3月から11月だったので、終わりの頃になると天候が悪く、チャレンジングな状況に見舞われたものだ。

そのことについてはまた次回に書くことにしよう。

 

つづく

 

 

 

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