不動産まなぶろぐ -3ページ目

重要事項説明その1

■重要事項の説明とは
宅地建物の取引は、高額な取引になることが多いため取引の当事者はその宅地建物に対して充分に情報を得ておく必要があります。よって、宅建業者は、宅地建物を取得し、または借りようとするものに対して、取引主任者によって重要事項を説明させる義務を負います。取引の買主または借主のみに重要事項の説明が義務付けられており、売主や貸主に対しては、その義務はありません。


●重要事項説明の際に必要となる条件
重要事項を説明する際には、いくつかの条件を踏まえている必要があります。この条件が抜けていれば、過料や罰則があります。

【条件1】取引主任者証を提示して、取引主任者が行うこと
重要事項説明は、取引主任者が取引主任者証を「必ず」提示して行う必要があります。相手側が、取引主任者証の提示を求めていなくても、取引主任者証は提示する義務があります。提示の方法も胸に着けるなどして、相手側に明確に分かるように着用する必要があります。取引主任者は、専任の取引主任者である必要はありません。なお、取引主任者証を滅失した取引主任者は、重要事項の説明をすることができません。

【条件2】書面を交付して行うこと
全て書面を交付して、重要事項を説明します。物件が未完成の場合は図面を交付します。この書面は、35条書面と呼ばれ、取引主任者の記名押印が必要となります。

【条件3】複数の宅建業者が関係した場合の重要事項説明
関与した全ての宅建業者が重要事項の説明義務を負います。例えば、AとBが共同して重要事項説明書を1通作成した場合、代表して1業者が重要事項を説明するときには、その重要事項説明書には、関与したほかの宅建業者の記名押印が必要となります。

●重要事項の説明事項
<取引物件に関する事項>
1.取引の対象となっている宅地建物の上に存する登記された権利の種類・内容、登記名義人、登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人の場合、その名称)

2.都市計画法、建築基準法その他法令に基づく制限で契約内容の別に応じて政令で定めるものに関する事項の概要

3.当該契約が建物貸借の契約以外のものであるときは、私道負担にかんする事項

4.飲用水・電気・ガスの供給並びに排水のための施設の整備状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し、その整備についての特別の負担に関する事項)

5.取引の対象となっている宅地建物が宅地の造成・建築に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状・構造その他国土交通省令で定める事項

6.取引の対象となっている建物がマンション等の区分所有建物であるときは、1棟の建物・その敷地に関する権利、これらの権利・使用に関する事項で契約内容の別に応じて国土交通省令で定める事項

専任媒介・専属専任媒介契約の違い

■専任媒介契約と専属専任媒介契約
専任媒介契約には、非専属型の媒介契約と専属型の媒介契約があります。それぞれの説明は次の通りです。

●専任媒介契約
依頼者は、一つの宅建業者にしか依頼することができない契約です。
以下は専任媒介契約の特徴です。

<自己発見取引禁止の特約が付与されていない契約>

自己発見取引とは、売主(自己)が、自分自身で買主を発見する取引のことを言います。宅建業者に買主を探すことを依頼する契約を結んでいるにも係わらず、(それを無視して)自分で買主を見つけるということです。専任媒介契約では、この自己発見取引が認められています。当然依頼された宅建業者に報酬は支払われることはありません。
依頼者が自己発見取引をした場合は、依頼した宅建業者にその旨を通知する義務があります。

<指定流通機構に媒介契約締結日から7日以内に物件登録をする>
依頼された宅建業者は、指定流通機構(いわゆるレインズ)に媒介契約を締結した日から7日以内に依頼された物件を登録しなければなりません。指定流通機構に物件を登録することで、相手方を幅広く探すことができます。

<業務処理状況の報告義務>
媒介契約を結んだ宅建業者は、業務の進捗状況を依頼者に2週間に1回以上報告する義務があります。これは、口頭で行ってもよいことになっていますが、標準媒介契約約款に基づく場合は書面等にて行う必要があります。

<有効期間>
媒介契約の有効期間は3ヶ月です。これ以上長い期間を特約で結んでも3ヶ月に短縮されます。依頼者が申し出ることによってさらに3ヶ月延長することはできます。

●専属専任媒介契約
<自己発見取引禁止の特約が付与された契約>
依頼者は、専属専任媒介契約を結んだ場合、自己発見取引を行うことはできません。つまり、自分で買主を探した場合でも依頼した宅建業者に報酬(違約金)を支払う義務が発生するということです。

<指定流通機構に媒介契約締結日から5日以内に物件登録をする>
依頼された宅建業者は、指定流通機構に5日以内に物件登録する義務があります。専任媒介契約よりも2日短くなっており、より拘束が厳しいことがわかります。

<業務処理状況の報告義務>
媒介契約を結んだ宅建業者は、業務の進捗状況を依頼者に1週間に1回以上行う義務があります。これも専任媒介契約よりも厳しく、こまめな報告が必要であることがわかります。この報告は書面によらず口頭で行うことも認められています。しかし、媒介契約が標準媒介契約約款に基づく場合は書面等によって報告をしなければなりません。

<契約の有効期間>
これは、専任媒介契約と変わらず3ヶ月です。これより長い期間の契約をしても3ヶ月に短縮されます。もちろん依頼者の申し出があれば3ヶ月延長されます。


媒介契約・代理について

■媒介契約とは
自分が保有する宅地建物を売却するときは、宅建業者に依頼して売却相手を探してもらうのが一般的です。また、逆に宅地建物を購入する場合も売主本人ではなく、宅建業者を介して購入することがあります。その際、売主または買主と宅建業者との間で結ばれる契約が媒介契約です。

●媒介契約の書面化
宅建業者が取引する場合は、自己の物件を取引する場合と他者の物件を依頼されて取引する場合がありますが、他者の物件を取引する場合は後日のトラブルを防止するため、依頼の内容について書面を作成する義務があります。代理契約もこれに準じますが、貸借の媒介・代理契約には適用されません。

【媒介契約書面の内容】
1.宅地建物を特定するために必要な表示
2.宅地建物を売買すべき価額・評価額
3.媒介契約の類型
4.媒介契約の有効期間・解除に関する事項
5.指定流通機構への登録に関する事項
6.報酬に関する事項
7.その他国交省令で定める事項
 イ.専任媒介契約において専任義務に違反した場合の措置
 ロ.専属専任媒介契約において、依頼者が、宅建業者が探索した相手方以外のものと売買または交換の
   契約をしたときの措置
 ハ.明示型一般媒介契約において明示義務に違反した場合の措置
 ニ.標準媒介契約約款に基づくものか否なの別

●媒介契約の類型
媒介契約には、その契約形態にいくつかの種類があります。

【一般媒介契約】
売主または買主と直接媒介契約を結んだ宅建業者が、他の宅建業者に媒介を依頼することを認める媒介契約のことをいいます。

〔明示型一般媒介契約〕
重ねて依頼する宅建業者を明示する義務がある契約

〔非明示型一般媒介契約〕
重ねて依頼する宅建業者を明示する義務がない契約

【専任媒介契約】
売主または買主と直接媒介契約を結んだ宅建業者が、他の宅建業者に媒介を依頼することを禁止する媒介契約のことです。

〔専属型専任媒介契約〕
専任媒介契約のうちで、自己発見取引禁止の特約が付された契約のこと

〔非専属型専任媒介契約〕
専任媒介契約のうちで、自己発見取引禁止の特約が付されない契約のこと