某フィルムメーカーの元お偉いさんによれば、銀塩写真に引導を渡したのはかつて写メと称されたカメラ機能付き携帯電話だったそうです。デジカメそれ自体ではなかったんですね。デジカメが市場参入しても1000万画素相当の銀塩写真の足下にも及ばず安泰だったのが、突如ひっくり返されたのだとか。


転換点は品質ではなく方法論、つまりは写真を媒体に保存したりメールに添付したり、それらを画面で観たらそれで終わりだったり。「撮った映像はハードコピーされるもの」という常識そのものを覆されたのが大きかったようです。翻ってみればデジカメさえも、特にコンデジはスマホのカメラに淘汰されてしまって、今やゲップが出そうなくらい写真に溢れた世の中です。口の悪い人に言わせれば一歩外を出たらそこらじゅうにスパイのいる時代になったとかで。こんなブログ書いている私も同じ穴の狢ですわね。


一枚の写真に恋い焦がれ、そこから様々な映像が浮かんでくるという名の妄想は遠く過ぎ去った思い出となって久しいです。これまたどこぞの坊さんが仰った人生は手遅れの繰り返しじゃありませんが、バックアップが習慣になっているので、「一度破いてテープで貼った蒼いフォトグラフ」も色褪せてすっかりセピア調になってしまいました。