(瀑布と早瀬…左は横谷峡の乙女滝。右は蓼科高原の女の神氷水。)

 

 

 

今日も引き続き、物件購入の際のチェック項目を確認してみましょう。

 

7/25に並べた以下の項目(★印は終了の箇所です)…

 

①★物件広告が真実の数字だったか
②★管理状況かどうか
③融資が受けやすいか
④融資期間が長く取れるか
⑤利回りが高いか
⑥★接道が悪くないか、再建築不可ではないか
⑦★借地物件ではないか
⑧★耐震基準を満たすものか
⑨★土地の比率が高い、または土地が広い物件か
⑩★一室当たりの㎡数が広い物件か
⑪★競合する物件が周囲に少ないか

 

今日は上記から、
③融資が受けやすいか、
④融資期間が長く取れるか、
⑤利回りが高いか、

これらを合わせて見ることにします。


ただ、今回は対象を特定した変化球で行きますね。

 


1.「地方物件」って数字いいよね?

 

今日は今までのような中身がどうのこうのと云うよりも、
数字だけ見てると騙されちゃうよ的な物件のお話しをしますね。

 

もうご存じの方はご存じのとおり。
数字が良くても実質はドボンな物件。

 

それは例えばどのようなものがあるかというと、
いわゆる「地方物件」「田舎物件」と呼ばれるもの。

 

融資評価や利回り等の数字はすごく良いものが出るんだけど、
取得後の経営の難易度がマックスなもの。

これを見て行くことにしましょう。

 

 

1.ローンが付きやすい物件の特徴①(融資評価額との関係①)

 

では、遠回りしながらお話しを進めます。

 

ローンが付きやすい物件の特徴の一つ、
それは、売価と融資評価額の位置関係に由来します。

 

どのような位置関係にあるかというと、
「売価≦融資評価額」となっていもの。

ん?変な等式だな。当然こう思いますよね。


そうなんです。大抵の場合には、不等号の向きが逆(売価>融資評価額)なんです。

バブル崩壊後、金持ち父さんの黎明期ならそれもありだったんですが、
現在の主要都市部ではほぼあり得ないお話しとなっています。

 

で、お話しを戻しますが、
まずは「売価>融資評価額」が一般的であることを確認しましょう。

 


1.ローンが付きやすい物件の特徴①(融資評価額との関係②)

 

以下土地部分に限定してお話ししてみますが、思い出して下さい。


融資評価をする場合、本ブログでは何を基準にしているとお話ししましたっけ?
そうですね。路線価でした。

 

この路線価って何よ?ってことになると、何でしたっけ…そうです。
この数字は、実は相続税の計算をする際に、
その基本となる財産(土地)の価値を決めるために用いるものなんです。

 

なぜこの数字をベースにするのかというと、
売価だと金額が不安定なため、一律の数字して有利不利の問題等を排除するんですね。


で、土地なら、概ね売価の80%程度を目安として定める建前となっています。

従って、ここで結論。売価の80%程度を目安として定めるなら、
「売価>融資評価額」の式が一般的に成り立つと云えるのです。

 


1.なぜ逆転現象が起きるのか

 

これはバブル崩壊後に顕著に発生したことなのですが、
本来であれば、路線価は売価に追随して、

 

・売価が上がれば路線価もそれにつれて上がり、
・売価が下がれば路線価もそれにつれて下がる、


こうなるはずですよね。

そのとおりです。そうなりました。

 

が、路線価は永年眺めていると解るんですが、

前年比で急騰・急落するような設定をしません。


つまり、売価が急騰したとしても、路線価は何年かかけてそれに追いつくような動きをし、
売価が急落したとしても、路線価は何年かかけてそれに追いつくように動きをするんです。

 

なので、過去バブル崩壊時にこんな現象が起きました。


売価が急落したのに路線価がなかなか下がらず、相続税負担が莫大になった。

が、売価が急落しているため、不動産を処分しても払いきれない。


結果、相続税破産に陥ってしまった…

 

つまり、「売価<路線価」のギャップが大きくなりすぎてしまったため、
このような現象が起きてしまったのです。

 


1.だが、これをバネにすると…

 

が、同時に、この面「売価<路線価」だけを取り出せば、…ですが、

 

これから不動産投資業(賃貸業)を始めようとする方にとって、
「売価<路線価」の状態になっているということは、

融資をたくさん引ける状態になっているため、
ハードルがとても低い状態なんです。

 

充分物件価格が下がりきって経営上の数字が成り立つまでに至れば、
喜び勇んでゴーサインを出すことができますよね。

 

もうお気づきですね。そうなんです。

 

不動産投資がバブル崩壊後で誰も見向きもしていない時期、
その時期に気づいて行動を開始した方々の多くが、
今最も成功されている方々なんです。

 

で、この時期だったら、これに気づいていたら、
今頃皆さんは万歳三唱の海の中で、でんと構えていられたんですね。
残念至極也。

 

 

1.そして元のお話し「地方物件」へ

 

お話しを元に戻します。「地方物件」へ。そろそろ核心へ。

 

ちょっとここで頭をクリアにして頂いて、前述のギャップの話に囚われず、
前提を「地方物件」「田舎物件」に戻して。いいですか?

 

ではスタート。

 

「売価<路線価」の式をみると、あることに気づきませんか?
何かの条件入力をすると、左辺の数字が減少するなんてことはありませんか?

 

じゃ、ヒントね。

 

「地方物件」「田舎物件」は、元々人が入りづらいんです。
何でか。単純単純。人が少ないからです。都会ほど人がいないんです。

数日前(7/31)の冒頭、前橋市のお話しを再読してみて下さい。

 

そうすると、売ろうにも希望価格では売れません(=賃料が確保できない)から、
相場よりも売価をどうすると思いますか?そうですね。下げますよね。

売れるまで具合をみながら下げていくハズです。


買う側が「これなら実際に入居した場合の賃料と見合うな」と思うまで。

で、もう一度「売価<路線価」の位置関係を確認すると、
左辺がどんどん下がっていく訳ですから…もう解りましたね。


この位置関係、つまり、自然と融資が受けやすい状態が成立してしまうんです。

だけでなくもう一つ。大事だよ。

 

予測賃料が一定のまま売価を下げていったら、利回りはどうなる?


そうそう。そうなんです。反比例するんですよ。数字のカラクリとして。

そしてあらびっくり!10%超のできあがり。

 

つまり、売価を下げるだけで、
「高利回りで」「融資が受けやすい」物件がいっちょ上がるんですね。

 


1.するってぇとどうなるの?

 

今現在都市部では物件が高騰して購入しづらくなりましたよね。
ところが、地方ではまだまだこんなのが出てくるケースが比較的あるんです。

 

で、ちょっとだけ不動産投資の入門編をかじった方が、
「Oh!ワンダホー!夢のような数字を揃えた物件があるじゃないの!」
「これは買いでしょ!」と相成る訳ですね。

 

そしてそして、何かのセミナーでそれが紹介されて、
主催者は中身を熟知しているけど、リスクは伏せちゃったりして。
手数料が欲しいから売る気マンマンで。
「あぁりぇとぅございっしたぁ!(ニヤニヤ)(6/12記事参照)」
となるのでした。

 


1.買った後は大苦戦

 

再確認ですが、こういう物件はなぜ値下げして売るのかと云えば、
人がいない=入居付けに苦戦することに起因するからですね。

 

ということは、買った後も当然苦戦する訳で。
賃料を下げて何とかインキャッシュを維持しようと努めるも、
客付けの都度、利回りは予測をどんどん下回り。

 

まず退去時の修繕費が出せなくなり、さらに客が入らなくなり。
やがてそれが限界に達すれば、融資返済に困る有様に。

 

元々そんな物件買う方は「経済的自由」を夢見ることから「フルローン」が大好き。
こういう「自分だけに特別に起こりそうな言葉、自分だけが理解している言葉」が大好き。
「今あなただけに、ここだけの特別なお話し」なんか耳元でヒソヒソされたらイチコロよ。

 

さらに、「数字がいいから迷っているうちに売れちゃいますよ?」なんて煽られたら、
よく中身も見ずにガバチョと飛びつきます。外見は立派。中身は地獄の一丁目なのに。

リスク?「えっ?儲かるんでしょ?」で一蹴しちゃうから蚊帳の外。

 

何であなた程度の属性の方が(ゴメンナサイ!)、
ちょっとランクが下がる金融機関(ゴメンナサイ!)の融資を、
しかもフルローン付きでその物件を買えたのか、
それを冷静に考えなきゃダメよ的なお話しなんですね。

 

確認するよ?

 

そんな物件手を出しちゃダメだよ?
特にレバレッジを利かせ過ぎたら死刑宣告しちゃったのと同じこともあるからね。
よく考えること。充分な注意を払って頂きたいと思います。

 

 

本シリーズ、いったんここで終わり。

次回からは具体的な経営上の数字のお話しに入りますが、

前提として必要な税金のお話しを暫く続けます。

退屈シリーズかも知れませんが、一歩ずつ進みましょう。

 

 

最後はいつも同じメッセージ。


「精神的自由」やら「経済的自由」なんて心地よい言葉に浮かれると、
デンジャラスな人生を送ることになるかも知れません。


焦りは禁物ね。
大丈夫。不動産は逃げませんから。

 

今回の大統領選挙より遡ること約10年前の著書。

言動行動はズバリ「大胆不敵」。そして誰も真似することはできない。

さらに、一読して嫌いになる人は以後絶対に読まないと思われます。

大統領選での言動も、党内ですら反対派多数の理由も「ああなるほどね。」と納得。

けれども、ビジネスへの向き合い方、交渉法等、参考になることは盛りだくさん。

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