翡翠にはまって十数年。
どうしてこうもこの石に惹きつけられるのか。
はまったのは私だけではない。
二胡が縁でできた仲良し三人組。
今も変わらず強い絆で結ばれている。
この三人ではまっていたのだ、ドップリと。
様々な場所に翡翠を探して訪れた。
アンティークショップ、ネットショップ、ミネラルショー、翡翠専門店、質屋、などなど。
翡翠がありそうな店はとにかく覗いて見た。
骨董市にもよく行った。
たまにいい物と出会えるのだ。
ある日、骨董市で友人といつものように翡翠を物色していた。
その日は夫に似合いそうな翡翠を見つけ購入。
すると店の主人が「翡翠好きなんだね。これも翡翠なんだけど、何だかわからないんだ。持っていっていいよ」と言い、私と友人に一つずつくれたのがこれ。
裏側
真ん中に小さな穴があるので糸を通すのだろうとは思ったが、それが何なのかさっぱりわからなかった。
古びた石のそれを眺めながら、あれこれ想像しては楽しんでいた。
しばらくして答えが見つかった。
2004年から2005年にかけて大規模な翡翠展が開かれたのだ。
場所は上野、国立科学博物館。
三人組で訪れ、飽きることなく翡翠を眺め堪能した。
あるところで私の足が止まった。
そこには等身大の人の絵が。
清朝の高級官僚の衣装にどのように翡翠が使われていたかの絵だった。
その中に、あの貰った翡翠とそっくりな物が描かれていたのだ。
釦だった。
なるほど納得。だから糸を通す穴があったのだ。
確かな証拠はない。
でも遥か昔、遥か異国の地で、誰かが身につけていたことを想像する楽しさ。
この釦をつけて紫禁城に行ったのかしら、それとも外国に赴任したりしたのかしら…
釦一つが想像の世界を広げてくれる。
翡翠が見せてくれる浪漫の世界。
たぶん一生魅了され続けることだろう。
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