1300万円にものぼる政務活動費の不正使用を指摘された、堺市議会の小林よしか議員へのリコール運動が終了しました。
地方自治法が定める運動期間である2ヶ月が経過したためです。
結果は報道にもある通り、14,122筆が集まったものの、リコールに必要な選挙区の有権者の1/3(43,473筆)には足りませんでした。
私は百条委員会の委員としてこの不正の追及にあたり、また、辞職勧告決議に賛成した議員として、このリコール運動にも協力をさせてもらいました。(これほどの問題を起こし、また辞職勧告決議までされながら、議員として居座っているのはあまりに異常な事態です)
その中で感じたのは、現行のルールにおいて、とりわけ都市部では、リコールはほぼ不可能だということです。
リコールの署名は、普段街頭で見かける署名とは違い、様々な制約が課せられています。
①本人の自筆でなければならない
②住所・生年月日・捺印が必要
③署名を集められるのはリコール運動の代表者から委任された、受任者のみ
④当該議員の選挙区の有権者のみが対象
といったものです。
つまり、一般的な署名にありがちな
「街頭で家族の分も署名する」ことはできません。①に引っかかります。
「署名用紙を預かって持ち帰る」こともできません。③に引っかかります。もし、それをやろうと思えば、持ち帰る人が受任者にならなければなりません(代表者から委任状を発行してもらわなければなりません)。
「回覧で署名用紙をまわす」などということもできません。署名は受任者のみ、それも「直接」もらわなければならないのです。対面です。
街頭で署名活動すれば、②に抵抗を感じる方がたくさんいます。
ハンコを持ち歩いている人なんてほとんどいませんから、たいていは拇印です。一層抵抗感を持ちます。
④の制約から、区外はもちろん、18才未満や、外国籍の方もダメです。
たいていのリコール運動は、戸別訪問を中心に集めることになりますが、都市部でよく見られるオートロックマンションなどは、住民に受任者がいなければ全滅です。
その上で、2ヶ月間という時間制限が課せられるのです(一般市は1ヶ月間)。
こうしたことを考えると、「有権者の1/3」というのはあまりに高いハードルであるというのが、率直な感想です。
そうした意味では、この14,122筆は、大変な数だと思っています。
活動に関わられた方々の努力に、敬意を表したいと思います。
小林議員には、この署名の重みを感じてもらいたいと思います。
自身の得票の2倍ほどの方が、これほど高いハードルを越え、「辞めるべきだ!」と意思表明されたわけです。
どのように出処進退を決められるのか、辞めないなら、どのようなる議員活動に励んでいくのか、注目したいと思います。
同時に、私自身も選ばれたことへの責任感を、改めて感じなければならないと思います。
これほどリコールのハードルが高いのは、それだけ「選ばれた際の民意は重い」ということです。
しっかりこれを胸に刻みたいと思います。
それでもやっぱりリコールのハードルは下げるべきですね。特に法定署名数が多すぎます。
署名が集まっても、そのあとにリコール選挙があるわけですから、署名数自体は1/10くらいでいいのではないでしょうか。
ただこの法改正は難しいでしょう。議員の身分を不安定にする方向の改正だからです。
でも、「悪いことをしたらリコールされる」という緊張感を持つためにも、私はあっていいと思います。
頑張っている議員も含めて一律で報酬を下げるよりも、「悪いことをしたら辞めさせられる」という方が、よほど真っ当な「身を切る改革」ではないかと思います。