サンジャクの脅威。 | 季節の野鳥

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折々の野鳥を、気ままにご紹介します。
あわせて過去の同時期の野鳥を紹介いたします。

サンジャクという野鳥をご存じでしょうか。

 ウィキペディアによれば、「カラス科の鳥で全長70㎝、半分は長い尾羽が占める。中国、ベトナム、西ヒマラヤに分布。雑食性で昆虫やカタツムリ等の小動物、果実、他種の鳥の卵や雛などを食べる」とあります。

 他の鳥の卵や雛を食べる鳥は日本にも沢山いますが、問題なのは20年ほど前に宇和島市の飼育展示舎から20羽以上が逃げ出し、四国西部で野生化し、最近ではヤイロチョウ保護区のある四万十町に住み着き、高知県中央部から東部にも拡大しているといいます。この鳥の影響かどうかはわかりませんが、毎年繁殖が確認されていたヤイロチョウ保護区では2022年は繁殖が確認できなかったようです。メジロなどの在来種も姿を消してしまったそうです。詳細は『奥四万十からの発信』にあります。定価1,100円で生態系トラスト協会から販売されています。サンジャクの写真は同書から。

 

これ以上、生息域が拡大しないような対策が急務になりました。

 

(以下は2022年11月8日付け、朝日新聞デジタルより)

中国大陸に分布するカラスの仲間「サンジャク」が、高知県中部で撮影された。愛媛県宇和島市の施設から1999年に逃げ出した30羽余りが繁殖し、生息域を広げているとみられている。自然保護の関係者は、在来種を捕食する侵略的な鳥とみており、生態系への影響を心配している。

 撮影したのは、高知市の「わんぱーくこうちアニマルランド」学芸員の吉川貴臣さん(48)。10月3日朝、南国市香南市の間を流れる物部川の河川敷で、野鳥観察中に撮影した。

高さ2メートルほどの低空を飛んできて、高さ3~4メートルの雑木にとまったという。画像を公益社団法人生態系トラスト協会(四万十町)に提供した。

 協会によると、サンジャクは全長約65センチ。青色の羽根と長い尾羽をもち、オウムのようにもみえる。高知県西部で目撃されていたが、吉川さんの撮影をきっかけに10月、香南市で現地調査したところ、安芸市などさらに東の地域からも目撃情報が寄せられた。

 協会は20年前から県西部を中心に森林を買い取り、絶滅が危惧される県鳥ヤイロチョウの保護に取り組んできた。しかし、3年ほど前から保護区にサンジャクが飛来するようになり、ヤイロチョウは激減。卵やヒナが襲われているか、襲われないように逃げ出した可能性があるとみている。

 協会の中村滝男会長は「ヤイロチョウの保護活動が脅かされ、他の生物への影響も懸念される。生息域を急拡大するサンジャクの対策に、四国4県が協力して乗り出すべきだ」として目撃情報を募っている。問い合わせは同協会(0880・29・4011)。(蜷川大介)