いかなる戦争であれ、その戦費をまかなうために国家が支払う代償は、勝利によって得られるいかなる利益よりも常に大きい。

——シャルル・ド・モンテスキュー(1689-1755)

 


 人間はなぜ戦争をしたがるのでしょうか。私の知る限り、その理由は人を殺したいからではなく、儲けようとして、つまり利益を得ることが目的であるように見えます。儲かるから戦争をしたがるのですよね。

 そのことを一番知っているのはアメリカです。アメリカが建国して今年で250年だそうです。その250年のうちで戦争をしていなかったのはたったの20年間だそうです。つまり「アメリカはいつも戦争をしている国」と言っていいくらいです。アメリカにとって戦争をしていない平和なときはおそらく、「何ともったいない、さっさと戦争をして稼ぎなさい」というような状態なのでしょう。

 アメリカの国民が非難されることは通常はありませんが、このように戦争で儲けようとする考え方というか、意思というのは、アメリカ国民の総意であると考えていいように思います。さすがに今回のイラン戦争になると批判するアメリカ人の方が多いようですが、それはアメリカが負けそうだからであり、すなわち利益を得られそうにないからであり、アメリカ国民は戦争そのものを批判しているのではないように思います。アメリカは実に嫌な国です。アメリカ人は実に嫌な国民です。

 そして、戦後80年以上もアメリカに隷属してきた日本も、つまり自民党政権も「アメリカを見習って戦争をして儲けよう」という方針に変わってきたのではないでしょうか。高市早苗も、小泉進次郎も、やる気満々ではありませんか?

 高市早苗は昨年11月7日の国会答弁で、台湾有事に関して「やはり戦艦を使って武力行使を伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考える。」と発言しました。存立危機事態ということは、日本も武力を使って攻撃をする、つまり「戦争に参加します。」ということですね。

 これは従来の政府見解を大きく超えるものでした。なぜなら、安全保障関連法(2015年成立)における存立危機事態の定義は、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」することで生じるとされているからです。

 ところが日本は台湾のことを国として認めていません。つまり、台湾は「我が国と密接な関係にある他国」ではないのです。にもかかわらず、おそらく中国を想定して台湾を国扱いすると実質的に言ってしまったのが高市早苗になります。女のやることはこれですからね。あまりにもガサツというか無茶苦茶です。要するに、高市早苗は「何でもいいから戦争するぞ!」と言ったようなものです。

 高市早苗のこの国会答弁は失言ではありません。意図して発言し、その結果中国との関係が悪くなった現在でも、発言の訂正等を行おうとはしません。そのようなところを見ると、どうやら高市早苗は本気で中国との戦争を望んでいるようです。

 私の持っている常識は「戦争をしてもいいことは何もない」というものですが、高市早苗はそう考えてはいないのですね。本当に日本人なのでしょうか。それで日本人を代表しているといえるのでしょうか。

 高市早苗が憲法を改正したがるのも当然かもしれません。戦争をしたい人にとって、現在の日本国憲法は邪魔で邪魔で、大変に目障りなものです。憲法改正をたくらみたくもなります。しかし、本当に日本人の多くは戦争をしたいと望んでいるのでしょうか。そこのあなた、どうですか? あなたの夫や親や子供や孫や兄弟が死んでもいいのですか?

 冒頭で触れましたが、戦争の目的は人殺しを楽しむためではなく、儲け、つまり利益を得ようとするためです。果たして、戦争はそんなにも儲かるものなのでしょうか。

 儲かります。アメリカが長年にわたり戦争を続けているのも儲かるからです。などと書くと、「そんなのは嘘だ。アメリカは財政難でアップアップしているではないか」と反論されそうですね。確かにアメリカは戦争大好きであるがゆえに、国家財政が破綻しそうです。何しろ、アメリカの国外の米軍基地は500か所以上もあるといいますから、それを維持していくだけでも大変です。

 それだけの基地があるということは、そこにある設備や装備も整えなくてはいけません。兵士、武器、弾薬、設備の補充や交換だけでも気の遠くなるくらいの予算が必要になりそうです。そして、実際に戦争が始まってしまえば、それらは消費されていきますので、さらに莫大な金を投入して機能を維持することが必要になります。そのようなことをすることでどこの誰が儲かるのでしょうか。

 まずは税金が儲けの手段になります。戦争が始まった、あるいは実際に始まりそうだとなると、軍事予算が増やされます。議会(国会)も国民も、戦争が始まるというときに「軍事費を増やすべきではない」とは言わなくなります。青天井で予算が増やされます。もちろんそれに伴って増税もされます。日本も来年1月からでしたか? 増税されるそうですね。

 案外、戦争の一番儲かるところはそこかもしれません。軍事予算が何倍にも増やされると、まずは軍需産業が大喜びとなります。武器や兵器の価格というのは、競争相手がいませんから、原価の50倍でも100倍でも、好きなように値付けすることができます。支払いをするのは国ですから、誰の腹も痛みません。政府は言い値でいくらでも買います。こんな美味しい商売はありません。

 もちろん、国からたらふく儲けさせてもらう軍需産業では、政治献金、パーティ券購入、ボランティアを装った選挙応援、果ては裏に隠れての賄賂まで、金が飛び交います。「お高市様、山吹色のお菓子でございます。」「三菱屋、川崎屋、主らも悪よのう。」「いえいえ、お総理様ほどでは。」「なに? はっはっはっはっはっはっ」となるわけです。

 日本でいえば、軍需産業である三菱重工、三菱電機、川崎重工、IHI、日本工機などが真っ先に儲かります。加えて、戦争をすれば、軍服、軍靴、ヘルメット、下着や石鹸などの日用品、そして3度の食事なども、全部国が支給することになりますから、間接的にでも戦争に関わる企業は潤うことになります。

 そうなると、仕事ほしさに各企業はますます自民党や議員に献金をしたり、賄賂を贈ったりするようになります。そういえば、現在の日本は犯罪を犯した政治家でも捕まえようとはしなくなってきましたので、戦争ともなれば遵法精神は崩壊することでしょう。日本は賄賂が無制限の国になります。そうやって国全体が腐っていきます。アメリカを見ればわかりますが、日本もその後追いをしています。

 さて、儲かる人がたくさん出ると、それで日本はめでたしめでたしとなるかというと、そうはいきません。軍需産業がいくら潤ってみたところで、その波及効果は極めて小さいからです。戦闘機が増えた、戦車が増えた、軍艦が増えた、ミサイルも増えた、機関銃も弾も増えた、兵士も増えたとすると、軍需産業はたくさんの利益を出しますが、国民には何かいいことがあるでしょうか。何もありません。

 かつて箱物行政といわれて批判されたことがありますが、市民会館でも、美術館でも、記念館でも、戦闘機や戦車よりは国民の役に立ちます。しかし、武器や兵器というものは、軍需産業や一部の政治家を儲けさせる以外には使い道がないのです。もちろん、それを知った上で日本政府は推進しようとしているのですが。

 そして、さらに恐ろしいことは、「何の役にも立たない武器や兵器をたくさん持ってどうするつもりなのか」という批判をかわそうとして、実際に戦争を始めてしまうことです。何十兆円も金をかけて整備した武器や兵器が遊んでいるのでは、政府は格好がつきません。

 おまけに軍需産業の方も、一度整備したらそれでおしまいでは先細りになってしまいます。それでは、せっかく軍国主義化しているのに無意味になってしまいます。戦争を始めて、在庫が全部なくなるくらいに使ってもらうと、また大儲けができますから、企業側はそれを狙います。

 そのように考えると、いつも戦争をしている状態が金儲けのためにはベストになります。軍需産業も、政治家も笑いが止まりません。ですから、アメリカは常時戦争をしているわけです。

 では日本政府や日本国民が望むように軍国主義化し、たまには戦争を行なって武器や兵器を更新し、軍需産業や一部の政治家が儲かれば、日本はめでたしめでたしなのでしょうか。そうはいかないのはアメリカを見ればわかります。常時戦争を行う状態は、軍需産業と政治家にとってはベストなのですが、アメリカ全体の経済を考えると実はマイナスです。

 それは誰しも常識で理解できるのではないでしょうか。戦争ばかりやっていて経済が活性化することはあり得ません。人々が必要とするものの生産を抑え、不要である武器、兵器の生産に力を入れるからです。現在の日本はその道を求めてまっしぐらですが・・。

 現在の世界経済は中国が圧倒的にリードしていますが、中国の特徴の一つに戦争をしないことがあります。日本のアンチ中国の人たちは中国の軍事費が多いことを問題としたがりますが、実は経済規模が大きいために絶対額が多いだけであって、GDP比で見るとわずかなものです。トランプは軍事費を増やすと息巻いていますが、そのような政策を行なっていると、軍産複合体が喜ぶだけで、アメリカ全体の衰退を早めることになります。

 1991年にソ連が崩壊しましたが、その原因の一つに軍備を拡張しすぎたことが挙げられています。景気がちっとも上向かない日本においても、そして中国に追い越されているアメリカにおいても、軍事費を増額させていくことは自殺行為なのですが、愚かな日本人には理解できません。目先の儲けしか見ようとしません。

 どうやら現在の日本人には、人としての常識、あるいは人としての良心がスッポリ抜け落ちてしまったようです。戦前の日本のように軍国主義を復活させたいようですが、私には理解不能です。「日本政府とは国民から税金を搾り取って横領している組織」であると定義してもいいくらいではないでしょうか。