岸田文雄、河野太郎、加藤鮎子、松本剛明、鈴木俊一、伊藤信太郎、林芳正、土屋品子、自見英子

 以上は、現内閣で閣僚を務めている20名のうち、世襲議員(実親が国会議員)9人の名前になる。つまり、閣僚のうち45%が世襲議員で占められている。その他にも、麻生太郎、石破茂、小泉進次郎、甘利明、小渕優子、中曽根康隆、二階俊博、西田昌司、野田聖子、橋本岳、鳩山二郎、福田達夫などの有名どころが自民党の世襲議員にいる。

 なんだか、江戸時代のようだと思ってしまう。つまり、殿様の子は殿様、百姓の子は百姓。日本は遅れた国だね、まだ江戸時代をやっている。なんなのだろう。殿様の子が殿様になるのは、日本人としては気持ちがいいのかな。納得しやすいのかな。
(参考「世襲議員一覧!日本の割合と海外比率や多い問題点とからくり!」Net Break)

 「このハゲ〜!」で注目を集めたことのある豊田真由子元衆議院議員が、この世襲議員問題についていい記事を書いているのでご紹介しよう。

総理や閣僚に世襲議員の占める割合は? 豊田真由子が分析「政界の世襲」のリアル(1)

世襲の宿命、恩義も恨みも延々とつながっていく 豊田真由子が分析「政界の世襲」のリアル(2)

世襲議員が引き継ぐ「地盤、看板、カバン」一般人候補とは歴然の差 豊田真由子が分析「政界の世襲」のリアル(3)

公募の実態と「信じられるのは身内だけ」という現実 豊田真由子が分析「政界の世襲」のリアル(4)

政治は世襲で引き継ぐものが当たり前ではない海外 豊田真由子が分析「政界の世襲」のリアル(5)

(2022年11月1日から同月7日まで、神戸新聞に連載されたもの。)


 まず、世襲議員の割合だけれども、「キャスターで社会学者の安藤優子氏の著書において、親族に首長や地方議員が存在する場合も含めて考えると、2014年の衆院選において、自民党議員の41%(男性40%、女性48%)が血縁継承者とされています。」との記載がある。すごい、すごい。

 もっと驚くのが、世襲議員の当選率。「8回の衆院選の小選挙区候補者、延べ8803人について、世襲候補の勝率は、比例復活当選を含めて80%に達し、一方で、非世襲候補は30%」であるという。すごいなあ。日本は未開社会というか、村社会で生きていることが分かる。右翼はさかんに「日本や日本人は素晴らしい」と言うけれど、遅れた国にしか見えない。国民がこぞってお殿様に投票するところを見ると、日本人は現在においても意識が江戸時代そのままだ。

 そんな様子から考えると、ワクチンを打ってバタバタ死んで行くのも無理からぬところかもしれない。なにしろお殿様が打てというのだから、みなさん従うわなあ。世襲議員候補に投票するのと同じ感覚なのだろう。お殿様だから立派な人だと思ってしまうのかもしれないね。志村けんのバカ殿様を見たことがないのかな。

 総理大臣になるとどうだろうか。世襲議員は減るのだろうか。ここまで書くと想像がついてしまうよね。小選挙区制が導入されて以降(1996年~)の内閣総理大臣12名のうち、世襲でない者は3名、自民党に限れば1名だそうだ。総理大臣の世襲率75%、自民党に限れば94%。もう、" 世襲にあらずんば人にあらず " の世界だね。

 世襲の問題点について、豊田真由子氏は以下の4点を挙げる。

1 新規参入を阻み新陳代謝を阻害する。
2 同質化・固定化し、発想や政策が守りに入りやすい。
3 幼少期から経済的には恵まれた環境にある人が多いため、世の中の格差や多様性などを実感しにくく、困難な状況にある国民への真の理解が働きにくい。
4 国民からは、利権のために行っているのではと受け止められ、政治への信頼を損なう。

 このうち私が特に感じるのが、3番目だね。岸田総理がそれを如実に表している。アホラーッと口を開けて、よだれ流して昼寝をしていたら、いつの間にか総理大臣になってしまったという人だからね。そんな人間に日本の舵取りなどできるはずがなく、実際問題としてもできていない。

 悪いことに、岸田総理は自分にできないからとアメリカを頼り、言いなりになったものだから、日本の財産、資産を次々とアメリカに渡す羽目になっている。長年政治家をやっていながら、アメリカがどんな国であるかも理解していない。冗談ではなく、本当に昼寝ばかりしていたんだろうなあ。

 豊田真由子氏によると、「政治の世界は特殊だし、世襲でよいのでは? という見方があります。」という。信じられないけれど、そうなんですねえ。そりゃね、大勢の中に少数の世襲議員が混じっているという程度であるなら私もそれほど問題には感じないけれども、現内閣で世襲議員が45%もいるっていうのは、それは絶対に異常。それでも今は少し割合を減らしていて、2022年10月24日時点では、閣僚20人のうち、12人が世襲議員だったそうだ。なんと60%。さすが " ガラパゴス日本 " としかいいようがない。それだもの、増税・軍備拡張などという間抜けなことを、シレ〜ッとやり始めるよなあ。

 自民党は公認候補を選ぶに当たって、最初から、 " 資金力 "  " 知名度 "  " 集票力 " を備えた人に目をつけるという。すると、世襲議員、企業や地元メディア、病院グループ等の一族が自然と増えることになるようだ。まあ、分からないでもないけれど、それゆえ国民から乖離したおかしなのばかりが国会議員になる。

 あ、面白いことが書いてある。
・日本の政治の世界は、未だに、殺るか殺られるかの「戦国時代」で「武家社会」
・政治の親分・子分の絆は、武士の「御恩」と「奉公」
・地元の後援会は、まさに「家族」のような思いで、候補者・議員を支える

・長年世襲が続く地域においては、一族はいわば「藩主」で、代々継いでいくことが当然

 やっぱりねえ。期せずして私と豊田真由子氏の見方が同じになった。とすると、「日本人は今でも江戸時代を生きている」という私の考え方も、あながち的外れではなさそうだ。なんとか日本人をもう少し文明化できないものだろうか。

 また、豊田真由子氏によれば、何も分からない素人が、仮に自民党の公認を得られたとしても、応援、助言、協力などは一切得られず、選挙は全くの独力で行わなければならないという。つまり、自民党公認を受けたとしても、自民党は何の頼りにもならないということ。

 頼りになるのは、自分の金と、自分のコネというか、ツテというか、人脈というか、それのみ。なるほどなあ。なぜあんな小さな統一教会が力を持ったかといえば、党が全く頼りにならず、何の面倒も見てくれないからで、そこに、統一教会が親切に世話をしてくれるからなんだな。そりゃありがたいわ。

 普通の会社に新入社員として入社して働き始めると、先輩や上司が仕事を教えてくれるよね。助言もしてくれ、相談にも乗ってくれる。でも、自民党の場合は一切そのような仕組みがないらしい。そんなことだから、20年も30年も教育さえ受けられず、

岸田総理が出来上がるということなんだな。

 豊田真由子氏は記事の後半でいかに自分がつらい思いをしてきたか、壮絶ないじめに遭ってきたかを書いているように私には読めたが、なるほど日本の政治家には身分があるのかもしれない。カネも人脈もない豊田真由子氏のような政治家は奴隷政治家であり、カネも人脈も腐るほど持っている岸田総理のような政治家は貴族政治家になる。もう、はっきり身分が違う。扱われ方が違う。貴族政治家になると神輿の上に乗ってパーをしているだけでいい。

 では、海外はどのような状況になっているのだろうか。「国会議員で世襲が多いのは1位がタイ、2位がフィリピン、3位がアイスランド、4位が日本」「タイとフィリピンは共に世襲議員率が40%ほどで、アイスランドは30%、日本は27~28%」「少ないのはドイツ、アルゼンチン、フィンランド、イタリア、カナダ、韓国、イギリス、スイスなどで5%程度です。」(「世襲政治家、海外の状況は? フィリピンから考える政治のあり方」2023.3.10 朝日新聞デジタル)

 別の記事では、「これほど世襲議員の多い国は世界中で日本だけのようです。」とも書かれていた。(「なぜ、日本だけ、世界でも突出して世襲議員が多いのか?」2019.11.15 DIAMOND online 出口治明)

 この出口治明氏の記事では、世襲議員を減らすためには投票率を上げることが必要と書かれている。確かにそれも必要なことだろう。しかし、一番必要なのは、世襲議員が日本に害悪を及ぼす存在であることを広く国民が知ることではないかと私は思う。

 世襲議員が1人いることによって、その恩恵を受けている人は親の代も含めてたくさんいる。支持者は世襲議員から得られる恩恵を失いたくないものだから、応援して当選させようとする。親の代から、場合によっては祖父の代、曽祖父の代から作られてきたもたれ合いの人脈は、末長く甘い汁を吸い続けることを目的にして活動を行う。

 岸田総理のバックにもそのような集団が控えている。安倍元総理の背後にもいた。麻生太郎の背後にも、林芳正の背後にも、加藤鮎子の背後にも、河野太郎の背後にも、その他大勢の世襲議員の背後にはそうした連中が控えている。

 もちろん、世襲議員はそのような支持者、支援者の力を得ることで、当選を重ね、ついには政治のことなど何一つ知らない岸田総理のような者までが総理大臣になってしまう。

 世襲議員やその周囲の者はそれで万々歳だが、国民はそうはいかない。世襲議員やその支持者、支援者が不当な利益を得る分、日本全体としては歩みが止まってしまう。政治のことを何も知らない者までが総理大臣をすることで、日本の政治が壊れ、日本が衰退してしまう。

 

 そもそも、世襲議員がこれだけ多いということは、政治家に旨味があり過ぎることを示している。あまりにおいしい商売過ぎるために、世襲が増えて行く。私など、ごく当たり前のサラリーマンをしていたものだから、息子に自分と同じ職業につかせようと思ったことはなかったからね。

 

 国民の方も悪いんだよな。政治家はお殿様だと思っているものだから、しこたま金もうけをさせて、贅沢をさせて、遊ばせて、威張らせて、それでいいと思っている。今の世の中そんなことをさせていたら、領民は身ぐるみ剥がされてしまうのだけれどねえ。しかも、現在の大殿様は歴史上かつてないくらいに過酷な年貢の取り立てをする人だからね。一揆を起こさなきゃ分からないくらい感度の鈍い人。


 どのようにすれば世襲議員を日本から一掃できるのか、私ではまだ考えつかないけれども、まずは世襲議員が日本の " 害虫 " であるという共通認識を日本人が持つことが必要だと思う。いかがなものでしょうか。