" X " で見かけたような気がするのだけれど、本年4月11日(現地時間)に行われた岸田総理のアメリカ議会における演説は、アメリカ人のスピーチライターによって書かれたものであるという。もちろん真偽のほどは不明で、仮に本当のことだとしても、何でもかんでも隠蔽してしまう今の日本政府が明かすはずもない。

 ただし、私は岸田総理の演説の原文(英語)を翻訳しており(「ショック! 岸田総理アメリカ議会演説」2024.4.13)、といっても、英語のできない私はAI翻訳の力を借りて何とかかんとか日本語らしくするのが精一杯なのだけれども、その観点から再度読み直してアメリカの関与について考えてみることにする。

 まず、冒頭の部分から疑問を感じた。「日本の国会では、これほどすばらしい拍手を受けることはまずありません。」と言ったから・・。

 日本人はこんなことをいきなり持ち出さないと思う。アメリカ流のジョーク、アイロニーだと考えると、まあそれもありかなと思うけれど。アメリカ人だって、岸田総理が世界一支持率の低い総理大臣であることは知っているはずで、そのことを演説の始めに持ち出してくる話の手法というのは、日本人ならしないがアメリカ人ならやりそうだ。

 次いで、岸田総理はアメリカの世界戦略に触れる。「アメリカは戦後の国際秩序を形づくり、自由と民主主義を推進し、日本を含む各国の安定と繁栄を促した。」「そのためにアメリカは尊い犠牲も払ったが、そのようなアメリカを世界は必要としており、今後もアメリカはその役割を果たし続けることが必要である。」

 笑ってしまうくらい見事にアメリカのプロパガンダそのものだ。私から言わせると、戦後の国際秩序も、民主主義も、各国の繁栄も、破壊し続けてきた国がアメリカであり、1人アメリカだけで甘い汁を吸おうとしてきたのだけれども、さすがアメリカ人のスピーチライターだけあって、真っ赤な嘘をつくのはお手の物ということだね。

 以後も次々と嘘が重なる。あまりに嘘が多過ぎて全部書き切れないのだけれども、「自由と民主主義は世界中で脅威にさらされている。」嘘つけ、壊しているのはお前らアメリカだろ。
 「中国の現在の対外姿勢と軍事行動は、日本及び国際社会の平和と安全にとって前例のない最大の戦略的挑戦となっている。」嘘つけ、平和と安全に対して戦略的挑戦をしているのはお前らアメリカだろ。
 「私たちは北朝鮮の核・ミサイル開発、ロシアのウクライナ侵略戦争を支援するための弾道ミサイル輸出、ロシアのウクライナに対する不当で残忍な侵略戦争、ロシアの核兵器の使用の脅威にさらされており」嘘つけ、世界中を脅威にさらしているのはお前らアメリカだろ。
 「国家の経済的依存が悪用され、武器化されている。このように急速に変化する圧力」嘘つけ、悪用し、武器化しているのはお前らアメリカだろ。

 こういうことを岸田総理の口を借りて言わせることで、世界中で行っているプロパガンダの効果を高めたい、自国民であるアメリカ人もだましたいというのが、アメリカ人スピーチライターの狙いだろう。

 ここまででも、もう嘘は聞き飽きたというレベルになるけれども、アメリカのプロパガンダ演説はさらに続いた。

 「私は、国際秩序をほぼ一人で支えてきた国としての、孤独と疲弊を感じているアメリカ人に語りかけたい。」

 これが、岸田総理のアメリカ議会演説の中で、私が唯一評価する文章になる。なかなか小洒落た(こじゃれた)言い方だと思うものだから。シェイクスピアの戯曲にでも出てきそうだ。ただし、このセリフに対して私が返す言葉は " 自業自得 " 。世界支配をもくろんで、数限りない横暴な振る舞いを重ねてくれば、孤独になるのも当たり前。ここらで引退してはどうかとお勧めしたい。人間 " 引き際 " が大切だ。と言っても、野蛮人であるアメリカ人には通じないだろうけれど。

 プロパガンダはまだ続く。

 「米国の支援なしには、ウクライナの希望が崩壊するまで、インド太平洋がさらに厳しい現実に直面するまでに、それほどの時間はかからないでしょう。」嘘つけ、米国が支援をやめれば世界は平和になる。

 「アメリカの最も親密な友人である " トモダチ " として、日本国民は皆さんと肩を並べています。」これが、岸田総理、あるいは日本人には絶対に言えないセリフになる。アメリカと日本が肩を並べているって、そんなことを思っている日本人がいるわけないでしょう。どう見たって日本はアメリカの植民地なのだから。万が一思っていたとしても、アメリカ議会でそれを堂々と言える人がいるはずもない。頭が高いとピシャッと潰されるだけだから。

 

 しかし、この先日本を利用しよう、骨までしゃぶってやろうとアメリカは思っているわけで、そうなるとこういう歯の浮くようなセリフも出てくるということだね、アメリカのくせに洒落臭い(しゃらくさい)。

 「 " 自由と民主主義 " という名の宇宙船において、日本はアメリカの船友であることを誇りに思います。我々はデッキに立ち、任務を遂行します。そして、必要なことを行う準備ができています。」これが " 日本は戦争します " 宣言になる。アメリカが是非とも日本に言わせたかったセリフだ。第二のウクライナとして、中国、ないしロシアに日本を攻め込ませたい。その結果どうなるかと言えば、日本も第二のウクライナとなり、国が滅びる。それに気づかせまいと、現在NATOはウクライナに敗戦処理をさせない。

 「日本は米国のリーダーシップを信頼しており、また米国経済も信頼しています。」アッハッハと笑うしかない。日本経済も、アメリカ経済も、瀕死の重傷であることを棚に上げて、これだけの嘘をつける国がアメリカになる。こうやって世界を牛耳ってきたことがよく分かる。

 「国内では、私は日本経済を牽引するために " 新しい資本主義 " と呼ばれる一連の取り組みに着手しています。賃上げ、設備投資、株価、そのすべてが30年ぶりの水準に達しています。」先日岸田総理が同様のことを " X " にポストして非難を浴びていたけれど、要はアメリカ人スピーチライターの勝手な創作ということだね。

 「私は、私たちが平和にとって、自由にとって、繁栄にとって不可欠な存在であると信じています。私たちの信念で絆を結び、日本の確固たる同盟と永続的な友好を皆様に誓います。」いやあ、言わせられているねえ。永遠の契りに対する誓いの言葉と思えばいいだろうか。「アンナタワア、
ヤッメルトキモオ、スッコヤカナトッキモオ、トンメルトッキモオ、マンズシキトッキモオ、アイシイ、ウヤマアイ、イッツクシムコットゥヲ、チッカイマスカア?」ってやつだね。今すぐにでも離婚届を出した方がいいと思うよ。いや、真面目な話。

 こうやって、岸田総理の演説を振り返ってみると、岸田総理が " 頭の天辺から足の爪先まで " アメリカに持っていかれていることが分かる。単なるロボットでしかない。そして、岸田総理がそれをイヤイヤやっているかといえば、そうではないところに深刻な問題がある。

 おそらく、アメリカの言いなりになる交換条件として、総理の座を保証されており、アメリカが頓着しない国内での問題について独裁を許されているのだろう。アメリカに干渉されること意外は日本一の権限の大きさを謳歌できる身分になっている。岸田総理本人はそれで十分に満足している。

 もはや日本の政治家ではないように思う。ではアメリカの政治家かといえばそれも違うだろう。目的はただ一つ、一族郎党を繁栄させるための政治家だろうな。あの小物加減というのは、国という大きな単位を見ている人ではない。元々が国のことなどあずかり知らぬ人なのだ。

 考えてみれば、河野太郎もそうだね。国会で「所管外」を連発して逃げるからなあ。もう日本人としての意識はなくなっている。アメリカ人特有のドライさの表れだろう。そして、岸田総理と同様に、国という大きな単位で活動できる幅の広い人間ではない。彼らに " NO " を突きつけてやることが、私たち一般国民がしてやれるせめてもの親切だろうね。