耕助のブログを見たら、「「アメリカが壊れ」人々が心配する理由」という記事が上がっていた。これは、ニューヨーク・タイムズの記事を部分的に引用して論評したものだったので、どうせならニューヨーク・タイムズの記事をそのまま読んでみようと思った。

 原題は「Why is Biden struggling?  Because America is broken.」(2024.4.8)(なぜバイデンは苦戦しているのか? それはアメリカが壊れているからだ。)というオピニオン記事であり、表題の下に「アメリカ人の大多数は、何年もの間、国の方向性に対する不満を表明してきた。」と記載されている。

 ニューヨーク・タイムズは、アメリカ有数の大手新聞社であるけれど、アメリカ民主党寄りで、反トランプの偏向報道が目立つ新聞らしい。

 この記事の著者は「デイモン・リンカー(Damon Linker)」という人で、1969年ニューヨーク生まれ。イサカ・カレッジ卒業、ニューヨーク大学修士課程修了、ミシガン州立大学博士課程修了。

 ペンシルベニア大学政治学部上級講師、ニスカネン・センターのオープン・ソサエティ・プロジェクトのシニア・フェロー。ペンシルベニア大学、アーシナス・カレッジ、ブリガム・ヤング大学でクリティカル・ライティング、政治哲学、宗教学を教える。エッセイや評論は、「ニューヨーク・タイムズ」、「ワシントン・ポスト」、「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「ニュー・リパブリック」などの一流誌に掲載されている。

 それでは、訳して(意訳、要約)いくことにしよう。毎度のお断りになるけれど、私は英語を話すことができず、AI翻訳の力を借りてのものになるので、正確さに欠けているところはご了承ください。


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 バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領とのリターンマッチまであと7か月となったが、バイデンは苦戦を強いられている。支持率の低迷に苦しみ、全国的な世論調査ではかろうじてトランプと同率にとどまり、選挙が決するスウィングステートのほとんどではトランプに遅れをとっている。

 問題はその理由だ。

 バイデンの擁護者たちは、この質問に答えようとするとき、政権のこれまでの実績を並べて、問題はそれが周知されていないことであり、政策の改善は必要ないことを暗に言おうとする。

 しかし、有権者の声に素直に耳を傾ける方が賢明である。

 最近、ギャラップ社が「米国の現状に対する満足度」の最新版を発表した。アメリカ人の4人に3人(75%)が不満だと答えた。1990年代半ばから2004年後半までは、満足度は39%から71%の間を行ったり来たりしていた。しかし、大恐慌以来最悪の金融危機(リーマンショック)のさなか、2008年10月には最低の9%に達した。

 その後、オバマ政権とトランプ政権のほぼ全期間にわたって満足度は非常にゆっくりと回復し、2020年2月には45%に達したが、2021年1月までに11%に下がった。バイデン政権下で、アメリカ人は一時的にいくらか明るくなったが、ここ数か月で数値は再び10%台後半、20%台前半に沈んでいる。

 「政府に対する信頼とアメリカの制度に対する信頼について」を尋ねた結果は1960年代から徐々に低下していたが、2004年から本格的に崩れ始め、最終的には2007年に30%台前半に達した。そして2023年にはわずか26%にまで落ち込んだ。

 アラナ・ニューハウス女史がエッセイで述べているように、なぜアメリカではこれほど多くの人々が「アメリカ社会のあらゆる部分が目の前で壊れていく」と感じていたのだろうか。

 例を挙げればきりがない。悲惨なイラク戦争、破滅的な金融危機、そして新たな富のほとんどがすでに裕福な人々にしか流れなかった10年間の貧弱な成長、100年に一度の感染症への混乱した対応、アフガニスタンからの屈辱的な撤退、物価と金利の上昇、公的・私的債務の急増、ホームレスの急増とアメリカの都市におけるテント生活の広がり、南部国境を越えて流れ込む不法移民、銃乱射、精神疾患、うつ病、中毒、自殺、慢性疾患、肥満の急増と平均寿命の低下。

 過去20年あまりの間に多くの失敗があった。しかし、ほとんどの場合、政府を運営する人々は改革に着手することはおろか、失敗を認識したり責任を取ったりすることをしてこなかった。

 怒りに満ちた反体制ポピュリズムがこれほど顕著になったのはそのためだ。政治的アウトサイダーであるトランプが2016年に両党のエリートに対抗して共和党を乗っ取り、バーニー・サンダース上院議員は同年、経済界の銀行・金融部門と民主党・共和党の支援者に対抗して、体制派の寵児ヒラリー・クリントンに一泡吹かせた。

 バイデンはトランプやバーニー・サンダースのような政治家ではない。アメリカの制度はまったく問題ないかのような言動がほとんどだ。その一因は、バイデンが現職だからである。

 さらに、バイデンはニクソン政権以来、失敗も含めて政府に深く関与してきた。20世紀半ばのリベラリズム全盛期に生まれた最後の民主党議員として、バイデンは機能的で有能な連邦政府を使って人々の生活を向上させるという考えに固執している。

 このため、バイデンは国民的なムードから大きく外れており、トランプが述べるような「壊れた国」という話とはかけ離れたことを話している。第3の候補であるR・F・ケネディ・ジュニア、コーネル・ウェスト、ジル・スタインらのより切実な発言もまた、私たちの壊れつつある側面を語っている。

 ということは、バイデンは現状を守ろうとする唯一の体制主義者となり、その周囲には、より否定的なメッセージに反応しやすい有権者の支持を集めようとする、破壊主義者の小さな軍団がいることになる。

 バイデンの対応には限界があるかもしれない。1つには、彼の81歳の虚弱さは、我々の政府の弱さを反映しているように見える。もう1つは、大統領の支持率が急速に低下し、決して回復しないという政治不況の時代にあっては、現職が再選を目指す上でかつてのような有利さをもはや得られないかもしれない。

 それでも、バイデン陣営が有権者との結びつきを良くするためにできることはある。

 第1に、バイデンは特に経済についてあまりに楽観的態度をとるのをやめ、選挙を対立候補の欠点の指摘一辺倒にするべきだ。それは逃げ腰に見えるが、前者は大統領が絶望的に事態を把握していないように思われるし、楽観的なメッセージを受け取りたくない人々の反感を買うおそれがある。

 バイデンはその代わりに、過去20年間、ワシントンが多くのことを間違えてきたことを認め、そのことに反省と謙虚さを示すべきだ。アメリカでは多くのことが破綻していると認めるだけで、懐疑的で否定的な有権者から多くの賛同を得ることができる。

 改革案を策定する努力があればさらに良いだろう。バイデンは、米国が国内を整理し、過去20年間の混乱を一掃し、問題に相対し、最高の国に戻るための機会はすでにやってきていると宣言することができる。バイデンは、ロナルド・レーガン大統領の就任演説から数行を中道左派向けにアレンジして再利用することも可能だ。「私の意図は政府をなくすことではない。むしろ、政府を機能させることである。」「政府が支配するのではなく、一緒に働こう。政府の背中に乗るのではなく、政府の側に立とう。」「政府はその機会を提供することができ、また、提供しなければならない。」

 具体的に言えば、既存の制度や計画を改善すると約束することであり、新たな制度を構築することではない。その代わりに、過去20年間、共和党と民主党の指導者のもとで、政府があらゆるレベルで行ってきたことを一旦中断し、評価を始める取り組みを行うことだ。

 それはパンデミック時に何がうまくいき、何がうまくいかなかったかについて、全国的な既存の調査を継続し、拡大することを決議する取り組みである。また、急増する持続不可能な国家債務と、それを抑制するために何が必要かを正直に議論する取り組みである。さらに政府の能力を高め、国の住宅供給を制約する規制を撤廃し、行政の許認可改革を土台として、公共開発だけでなく民間開発を促進し、コストを増大させる規制を撤廃するなど、よりよく機能するよう努力することである。

 これらの取り組みは、2期目のバイデン政権の間には完了しないだろう。しかし、大統領はそれらを開始すると約束することができる。

 このようなアプローチを取れば、トランプが享受しているポピュリストの優位性を無力化できるかもしれない。有権者がトランプの行った腐敗したシステムの糾弾や、大統領就任後3年間の経済運営をどれだけ高く評価したとしても、共和党が給付制度の削減、高所得者層の税率引き下げ、妊娠中絶の強硬な制限に執着することは嫌っている。バイデンには、自分がアメリカの必要とする抜本的な改革を実現できる人物であることをアピールする余地が十分にある。

 すべてが壊れている。多くの国民はそう感じている。この現実を否定することは、つまり、無数の過ちから学ぼうとせず、あるいは学ぶことができない(あるいは認めることさえできない)既成政治を肯定することは、ポピュリスト候補であるトランプに力を与えるだけである。そのような逃げ腰な姿勢は改めるべきだ。ジョー・バイデンは逃げ腰にならないようにすべきなのだ。

 

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 こうやって英語を訳していると、英語がズケズケと率直に物を言うための言葉であることが分かる。その点、日本語はどうかといえば、事実を隠す、そして嘘を言うための言葉に思える。それは岸田総理の発言を聞いているとよく分かる。

 アメリカ人も、大嘘つきのコンコンチキであることは間違いないのだけれども、何が違うのかな。それは、アメリカには大嘘をつく者がいると同時に、本当のことを言おうする者もいて、なおかつ、本当のことを発言することが許されることだね。

 日本では、本当のことを言おうとする人が現われると、政府等が全力でそれを封じ込めにかかる。よって、我々一般国民には正しい情報が入ってこなくなる。政治家も、専門家も、マスメディアも、同じ嘘を口をそろえて言い始めるわけで、であるならば日本政府も、与党も野党も、専門家も、マスメディアも、そのほとんどは必要がないことになる。どうせ皆が同じことを言うのだから、どこか一つがあれば足りる。今の日本人は実に無駄な集団を作っている。

 今回ご紹介したニューヨークタイムズは民主党寄りの新聞で、つまり、政府与党を支持する体制派の新聞であり、反対勢力であるトランプや共和党を全力で否定するような印象を受けるけれども、記事を読む限り実はそうではない。

 「アメリカは壊れているのであり、バイデンは過去20年間、ワシントンが多くのことを間違えてきたことを認め、そのことに反省と謙虚さを示すべきである」などという、まるで反体制派のような識者の記事を掲載するのだから。

 日本ではこうは行かない。日本政府はマスメデイアもSNSも買収してしまい、判で押したような政府寄りの画一的な情報しか流れないような体制を組んでしまう。私たち日本人は戦後一貫して、一面的な情報しか与えられずにきた。そのことだけを考えても、日本には自由も、民主主義もない、情報統制社会であることが分かる。

 そうやって、日本政府に都合のいい情報ばかりを国民に与え、政治家たちは私腹を肥やして高笑いしている。時代劇の「悪代官と越後屋」の世界が、現在においても日本そのものであると考えて間違いなさそうだ。

 

 これを改善しようとすると、現状のあまりのひどさから考えて、時間が必要であることは間違いない。しかし、時間をかければ改善されるのだろうか。仮に1000年後になったとしても、日本はやはり自由も民主主義も、表現の自由もない、「悪代官と越後屋」の世界が続いているかもしれない。

 アメリカは世界一の " 悪の国 " であり、その害悪たるや世界中を苦しめている。真っ先に滅びるべき国であることは間違いない。しかしこうやって体制派の新聞記事を読んでみても、全くそれに気がついていないわけでもないように感じる。自分たちさえ良ければ、他国は悲惨な思いをしてもいいというのが本音であるとしても、同時に、それではいけないという気持ちがないわけではない。

 日本はどうだろう。日本は悪の国ではないように思うけれども " 最低の国 " ではないかと私は感じる。日本政府には人としての矜持もなければ、正義感もなければ、良識もなければ、真理・真実を探究しようとする気持ちもない。少なくとも、今の日本政府は日本をより無価値な国にしようとしている。

 今月27日、岸田総理は「いま日本においては30年ぶりに経済の明るい兆しが出てきました。」と " X " にポストして大きな非難を浴びている。

 今回取り上げたニューヨーク・タイムズの記事には、「バイデンは特に経済についてあまりに楽観的態度をとるのをやめ、過去20年間、ワシントンが多くのことを間違ってきたことを認め、そのことに反省と謙虚さを示すべきだ。」と書かれている。あのニューヨーク・タイムズですらそんな記事を載せる。

 岸田総理がそのような自覚を持つのは能力的に無理であり、アメリカの真似をすることしかできないとしても、せめて次の総理には、安倍政権以降の自民党政治が誤っていたことを理解できるくらいの能力の高さを期待したい。もっとも、日本には実は奴隷しか住んでいなくて、期待すること自体が間違っているのかもしれないのだが。