「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉がある。「幽霊かと思ってよく見ると枯れたススキの穂であった。実体を確かめてみると案外、平凡なものであるということ。」(大辞林)との意味になる。江戸時代の俳人、横井也有(1702~1783)の句「化け物の正体見たり枯尾花」から派生したものだという。

 今の自民党を見ていると、そんな句が浮かんでくる。一言で言ってしまえば、「張り子の虎」ということになるかな。その代表格はもちろん岸田総理になる。ひどいよねえ。あそこまで無能だとは思わなかった。

 アメリカのため、そして財界のために働くのが総理大臣の仕事だと思っている。さらにひどいことに、そんな総理大臣に付き従って、日本の国民もアメリカのため、そして財界のために滅私奉公するのが当然、苦労するのが当然と思っている。

 基本的な世界観というのか、政治観というのか、人間観というのか、そのようなものが崩れている。 "増税メガネ" と揶揄されているけれども、実はそのメガネが歪んでいるために、正常にものを見ることができない。まず必要なことはメガネを修理することだけれども、そのメガネというのは実は心のメガネであり、脳内メガネであるために、修理不能で死ぬまで治らない。

 日本人は「無抵抗主義」というのを知らないのだろうか。岸田総理は見るからにヘタレというか根性なしというか、そんな人間に見えるけれども、そんな人間でもアメリカに尻尾を振ること以外にできることがある。それが無抵抗主義になる。

 無抵抗主義とは「社会的な不正、特に権力者の不正に対して、暴力を用いないで、自分の主張を通そうとする主義。柔和と謙譲とによって、相手を人道的に感化しようとする考え方。非暴力的抵抗。ロシアのトルストイやインドのガンジーらが主張。」(精選版 日本国語大辞典)という意味になる。

 何も考えずに、アメリカを殴ってしまえば倍返しが来るのだからそれはできない。では何でもアメリカの言うがままに隷属していなくてはならないかといえばそれは違う。アメリカに殴り返されない程度に、例えば面白くない表情をする程度のことはいくらでもできる。

 相手に逆らわずとも、内々で意見の表明くらいは許されるはずだが、日本政府はそれすらせずに、ひたすら揉み手をして「Yes,sir.」と言いながら擦り寄っていくばかりだ。舐められて当たり前、馬鹿にされて当たり前、虐待されて当たり前。

 大体において総理大臣たるもの、日本と日本人を守るために命を捨てる覚悟がなくてはいけない。最近右翼が若者に対して「命を捨てても日本を守るという気概を持て」なんて説教したがるけれども大きな間違いだ。まずは、総理大臣が命を捨てる覚悟でアメリカにものを言う必要がある。今後の日本の総理大臣は、理不尽なアメリカに抵抗して暗殺されるならそれでもいいとの覚悟を持つ者の中から選ぶのが良い。

 ところが、次期総理大臣を考えるてみると、自民党はもう終わったと感じさせる。読売新聞は今月16~18日に行った全国世論調査で、次の自民党総裁にふさわしい政治家を尋ねている。その結果、1位石破茂21%、2位小泉進次郎17%、3位河野太郎10%、4位上川陽子8%、5位高市早苗6%となっている。

 1位の石破茂は、私にとっては未知数であり、やらせてみても面白いとは思うけれど、1993年に細川政権が誕生したときに、「こんな党にいても何もできない」と後脚で砂をかけて自民党を離党したことがある。そのこと自体は立派なことであるけれども、自民党の中には "裏切り者" として嫌う人、恨みを持っている人もいる。そういう意味ではなかなか大変だ。

 加えて、石破茂はタカ派と考えていいように思う。アメリカに都合の良い憲法改正や軍備拡張には賛成だ。岸田総理のように戦争賛成か、増税賛成かまでは分からない。石破総理が誕生したら、とりあえず平和がやってくるとはいえないのがつらいところだ。アメリカへの尻尾の振り方が岸田総理以上か以下か、それもやらせてみなければ分からない。岸田総理のように戦争路線を突っ走るようであれば、仮に総理になったとしても即刻引きずり下ろさなければならない。

 世論調査2位以下は、箸にも棒にも掛からない。2位の小泉進次郎の脳内がパッパラパーなのは、すでに皆さんご存知のとおりかと思う。それにしても、小泉進次郎を次期総裁候補と考える日本人も頭がおかしいのではないだろうか。ジャニーズの人気投票じゃあるまいし。

 3位はこれまたご存知の河野太郎。一番印象的なのは、公衆の面前で、公の場で、無礼千万であること。あれは一体何なのだろう。一番考えやすいのは、小泉進次郎と同様に脳内がパッパラパーであること。小泉進次郎の場合は "らしい言葉" を脈絡なくつなげるだけであるために意味不明になるが、河野太郎の場合は強気で押し通そうとする(強気で逃げようとする)ために、無礼千万になるように見える。基本的には何も分かっていない奴だからね。

 4位の上川陽子は戦争屋。ビクトリア・ヌーランドもどき。ウクライナに出かけていって、金を恵んでやると約束してきたようだけれど、それは同時に "戦争をやめるな" というメッセージでもある。また、恐ろしいことに、「 ウクライナに対無人航空機検知システムなどを供与するため、北大西洋条約機構(NATO)の基金に新たに約3700万ドル(約53億円)を拠出すると表明した。」と報道されている。これはもう明らかな憲法違反。戦争に割って入って、その片方に武器の援助をするというのだから、実質戦争行為になる。戦争の放棄を明言している日本国憲法に反する。ウクライナもNATOも基本的に日本とは無関係なのだから。

 5位の高市早苗は、前回の総裁選で立候補して脚光を浴びたけれども、安倍元総理が暗殺されてからはくすんでしまったように感じる。まあ、それも無理はない。後ろ盾を失って自分一人の力しかなくなってしまうとあんなものだろう。

 安倍元総理が面倒を見ていたであろう他の女性議員に関しても同様のことが起きているようで、それぞれがてんでんばらばら、非常識なことを言いながら走り始めたような気がする。新たなタニマチの意向に従っているのだろう。女性の弱さと怖さを見る思いがするけれども、詳しいことを知らないのでしかとは言えない。

 5位までがこのような有り様なのだから、6位以降となると推して知るべし。もう自民党も終わりだと感じさせる。政権担当の力を失っている。麻生太郎なんて、態度がでかいからもう少し骨のある男かと思っていたら、全然違っていたみたいだなあ。これは私の見立てが間違っていたらしい。単に態度がでかくて放言するだけみたいだ。麻生太郎も、祖父、高祖父の七光だけの人間ということか。

 なぜ、自民党がこんなていたらくなのかといえば、それはアメリカが衰退してきたため。原因はそれに尽きる。元々自民党はアメリカベッタリというか、アメリカの提灯持ちというか、アメリカの奴隷というか、そのような存在。親分であるアメリカが調子のいいときには飛ぶ鳥落とす勢いだったけれども、特に1990年以降はそうはいかなくなった。

 アメリカ自身が自分の衰退を食い止めるために必死になってしまい、日本の面倒を見るどころではなくなった。それどころか、現在は日本から富を奪い取ることによって自身を生き長らえさせようとしている。それでは日本も苦しい。アメリカの衰退は日本が支える程度では食い止めることが不可能だからだ。いくら日本の財産をつぎ込んだところで、焼け石に水というか籠で水を汲むようなものだ。

 それでもアメリカは、「溺れるものは藁をも掴む」心理で日本にしがみついてくる。自民党政権ではそれを振りほどけない。であるならばどうしたらいいのだろうか。

 私の素人考えでは、まずは政権交代、そして頻繁な総理大臣の交代。さらには、安倍総理などが官僚から奪った権限の返還などを思いつく。その意味は、日本に司令塔をなくする、決断をできなくする、責任の所在を曖昧にするなどのことになる。

 安倍元総理がなぜ暗殺されたかといえば、それは権力を自分に集中させたからだ。そのような状態になると、敵は安倍元総理さえ殺せばなんとかなりそうだと感じるから抹消した。それは成功であり、残ったのは岸田総理のようなクズであり、いくらでも操作可能になった。殺して良かったと思わせた。

 権力を一手に集中させているのは、プーチンも同じではないかと思われるかもしれない。しかし、プーチンはロシアの中では穏健派だ。プーチンを殺すともっとヤバイことになるかもしれないという懸念を抱かせる。プーチンを排除したところで、その結果核戦争になっては、アメリカだって元も子もない。

 そんなことがあるものだから、敵に尻尾をつかませないように、政治の要がどこに、誰にあるのかを分からないようにしてはどうかと思う。政権や総理を次々と交代させ、政治家の権力を少なくして官僚を強くすれば、外から操作しにくい国になる。

 アメリカに都合の良い憲法改正だって、政権がコロコロ変わればその度に一から出直しということにして、有耶無耶にしてしまえばいい。そうやって、アメリカから逃れないことには、日本はアメリカに滅ぼされてしまう。

 

 おそらく、第二次安倍政権誕生以前の日本はそのようにしていたのだと思う。長期政権だった小泉内閣を見ていて、「これではまずい、全部アメリカに持っていかれる」と思ったのだろう。安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田と短期間で総理大臣が替わり、政権交代も行った。福田総理に関しては「アメリカから日本が保有する全外貨準備高にあたる1兆ドル(当時約100兆円)の提供を求められた」ということが辞任の理由だったと言われている。

 

 そうやってアメリカからの攻撃をかわしていたわけで、またその時代に戻せばいい。国民からしてみると何とも頼りない政治体制になるけれども、何百兆円という上納金を貢がされた挙げ句の果てに、日本を滅ぼされるよりははるかに良策になる。

 

 もちろんアメリカはそんなことはお構いなしに日本を攻め立ててくる。日本が滅びる第一段階は、アジアでの戦争の当事者になることだろう。そんなことをしたら、ウクライナの二の舞いであり、「国破れて山河あり」の状態になってしまう。アメリカという国が、これっぽっちの信用も置けないのはウクライナを見れば分かるでしょ? 下手すりゃこの先、ウクライナという国はなくなってしまうからね。日本が同じことにならないという保証はどこにもない。