「大航海時代」という言葉を聞かれたことがあるかと思う。野蛮人としてのヨーロッパ(主として、スペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス)人が、世界を支配し始めた時代になる。年代としては15世紀後半から17世紀前半くらいを指すようだ。ちょうど日本の戦国時代とその前後くらいになる。

 考えてみると、その頃は日本も世界と連動していたのかもしれない。それぞれの地方の戦国大名たちが自分の領土だけでは飽き足らず、侵略・征服をして支配下に置き、その繰り返しで膨れ上がっていった。そして、織田信長→豊臣秀吉→徳川家康という流れになった。

 ちょうどその頃、ヨーロッパではポルトガル、スペインが国内だけでは収まりきれずに世界に乗り出していった。オランダ、イギリス、フランスが後に続いた。ヨーロッパによる侵略と略奪、支配の始まりだった。まず血祭りに上げられたのは、インドとアメリカ大陸だろうか。

 インドはスペイン、オランダ、イギリスの植民地となった。北米は、イギリス、フランスが先住民を虐殺して領土を奪い取った。中南米はスペイン、ポルトガルが征服した。このあたりのことは歴史に疎い私では大雑把な把握になる。とはいえ、要するにヨーロッパのスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランスあたりの野蛮人が、こぞって世界中を荒らし回り、人も領土も奪い取って自分の支配下に置いた時代と考えていいように思う。

 よりどりみどりの早いもの勝ちで世界を支配できた時代は、ヨーロッパ人にとっては美味しくてたまらない時代だったろうと思う。世界はお宝の山であり、土地も財産も労働力も略奪し放題。儲かって儲かってたまらなかった。多数の原住民を奴隷化して支配する権力も存分に手に入れることができた。

 今イスラエルではわずかの土地を巡って血みどろの戦いが生じているけれども、時間を巻き戻して、アメリカ合衆国の土地の一部をイスラエルに渡してやったらどうだろうかとすら考えてしまう。

 うん、それが良いかもしれない。今からでも、アメリカの州の一つをイスラエルにくれてやったらどうだろうか。どうせ、アメリカ・インディアンから強奪した土地であり、そんなものはアメリカ人のものではないのだから。せめてもの罪滅ぼしのため、そして世界の平和のために、アメリカも少しは汗を流していいのではないだろうか。

 話がそれた。ヨーロッパ人にとっては、美味しくて美味しく仕方のなかった大航海時代だけれども、日本の戦国時代とは大きく違っているところが一つある。日本の戦国時代は、日本人が極めて攻撃的になり、殺し合いは当たり前、下剋上をはじめとして勝つためには何でもありという秩序が壊れた世の中だったけれども、基本は日本人同士の戦いだった。日本の中での、つまり仲間内でのNo.1を決めようとしての戦乱の世だった。

 しかし、大航海時代は違う。文明が未発達の地域を侵略し、殺戮し、強奪し、奴隷化するなどのことが行われた。こういうのはどのような言葉を使えばいいのだろうか。"戦争+ジェノサイド(
集団
殺戮)+強奪+植民地化+奴隷化"くらいのものかな。一言で言い表す言葉が見つからない。ともかく、そのような人の道を外れたことを行ったのが、野蛮人であるヨーロッパ人だった。

 これは被害者であったインド人、アメリカ・インディアン、インカ族などにとってはこれ以上ない忌まわしいものであったが、ヨーロッパ人にとってはこれ以上ない甘露だった。ヨーロッパ人にとっては歴史上空前絶後の成功体験になった。大航海時代を通過することによって、ヨーロッパはより豊かになり、より文明が進み、より強くなった。

 そんな成功体験を簡単に忘れることなどできるはずもない。今でもヨーロッパ人にとっては大航海時代が理想の時代であり、夢よもう一度と恋い焦がれている。歴史の流れの中でヨーロッパは地盤沈下したが、そんな野蛮人であるヨーロッパ人の思いを受け継いで浮かび上がってきたのがアメリカになる。そう、アメリカの目指していることもヨーロッパ同様に大航海時代になる。七つの海を荒らし回るために11隻もの原子力空母を持っている。大航海時代のように世界を力で支配しようとしてきた。

 なにしろアメリカは、アメリカ合衆国という国そのものがアメリカインディアンという先住民を騙し、殺し、追い払った結果出来上がったところになる。インドや中南米は原住民を完全に消滅させたわけではないが、アメリカ合衆国は先住民をほぼ消滅させ、すべてを奪ってしまった。現在でもその血は脈々と受け継がれており、世界で一番残虐なことをする国がアメリカになる。

 軍事力ばかりではない。悪知恵もなかなかのものだ。アメリカ発のグローバリズム、ムーンショット計画、SDGs、いわゆるパンデミック条約などは、いずれも欧米が恋い焦がれている大航海時代を再現しようとしての計画になる。欧米の腹黒い計画に、世界の国々も少しずつ気がついてきており、それがBRICS等に求心力を与えている。

 もう4年近く前になるだろうか。新型コロナ騒動が始まったのは大航海時代を再現する一つの試みと考えられる。イギリスが中国(清)に仕掛けたアヘン政策の改良版になる。アヘンの代わりに殺人ワクチンを大量に売りつけ、相手の国をガタガタにしようとする魂胆だ。

 新型コロナウイルスは人工的に作り出されたという説が最近は優勢になってきているようだけれども、仮にそうだとすれば、ワクチン(アヘン)の売れ行きを良くするために、ウイルスに細工を行ったものと考えていいだろう。

 興味深いのは、アメリカはワクチンをはじめとする新型コロナ対策によって、同盟国や親米国に対しても大きな被害を与えたことだ。これは下剋上どころの話ではない。よくそこまで人の道を外すことができるものだと呆気にとられる。自分さえ良ければ仲間だと思い込んでいる者たちも平気で殺し始める。自国民であろうが容赦ない。利用価値のない者は殺す。殺して弱体化を図る。アメリカの正体がそこにある。

 新型コロナの後は、ロシア侵略の試みだった。これも大航海時代を目指したものになる。インドの代わりに、また、アメリカ大陸の代わりに、ロシアを滅ぼして植民地化し、永久に利益を吸い上げようとするものだった。ホント悪いね、アメリカ人というのは。極悪非道の野蛮人だ。ここまで凶悪な国がかつてあっただろうか。ロシアがそれを防いでくれたことは、全人類にとって幸いだった。

 新型コロナ、ロシア侵略に続いて、現在はイスラエルが騒がしい。日本の片田舎で暮らしている私では、そのからくりを知ることができない。しかし、これまでの流れからいえば、アメリカが何か企んだであろうことはほぼ間違いないだろう。「アンタがた、まだ懲りずに続けるわけ?」と尋ねたいところだ。

 おそらく、バイデンとしては来年の大統領選挙を有利に運ぶために、「ロシアに負けました」で終わらせることはできないのだろう。実に見苦しいというか、往生際が悪いというか、アメリカ民主党というのが人間のクズの集まりであることが分かる。

 それはそれとして、イスラエルに勝ち目はあるのだろうか。これも、何の情報もなしにこれまでの流れから考えると、現在実際に起きていることは「イスラエル+アメリカ+EU+日本」と「パレスチナ+イラン+サウジアラビア+インド+ロシア+中国+その他グローバルサウス」の戦いになる。これはどちらが強いだろうか。私としてはアメリカに対して、「武器を捨てなさい。無駄な抵抗はやめさない。大航海時代はとっくに終わっている。」と助言してやりたい。正義のない戦いは、どのくらい時間がかかるかはともかく、必ず敗れる。