岸田総理がますます評判を落としている。私としては当然のことだと思っている。私の見るところ、能力が低いとか、努力をしないとか、人付き合いが下手とか、そのようなことで言い表せるような人ではなく、人格的に欠陥があると思っている。

 人格的に問題があるものだから、何をやっても、何を言ってもダメということになる。人は大抵ある程度経験を積めば、そこそこもっともらしいことが言えるようになるものだけれど、彼の場合は中心が腐っているから修正が効かない。一から学ぶ必要があるのだけれども、総理大臣になってしまったものだからそんな悠長なことはしていられず、沈没するのを待つばかりという事態に陥っている。誰かが早めに止めを刺して楽にしてやるのが親切というものではないだろうか。

 そんな現在の内閣を見ていると、「あれ? そういえば麻生太郎は何をしているのかな?」と頭に浮かんだ。麻生太郎氏のことはみなさんご存知のことと思う。1940年生まれの82歳。2008.9.24から翌年9.16までの358日間総理大臣の職にあった。福田康夫内閣の後で、鳩山由紀夫内閣の前になる。

 小泉純一郎内閣が5年を超える長期政権だったのに比べ、それ以降は安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田といずれも1年半に満たない短命政権が続いたが、その中の1人になる。

 この麻生元総理はなかなかの人で、いわゆる"一般庶民"からは遠く離れた存在になる。

 ウィキペディア(Wikipedia)を見ると、先祖は筑後三池藩の藩主だったという。あの明治維新の立役者「大久保利通」が母方の高祖父に当たる。これ以上の家柄の人って、他に日本政治家にいるだろうか。安倍総理も家柄の人だったけれども、それよりもはるかに上になる。よく、2世議員、3世議員などが批判の対象になるけれども、麻生太郎氏レベルになるとそのようなものを突き抜けている。

 さらに、戦後の1948.10.15から1953.5.21までの7年余、総理大臣を務めた吉田茂は母方祖父にあたる。また、妹の信子は、寬仁親王の妃として皇室に入った。安倍晋三、鈴木善幸、鳩山由紀夫、宮沢喜一などとも遠縁の関係にある。

 「まあなんとご立派なことでしょう」といったところかな。経済的にも大変に豊からしい。相続した自宅は渋谷区にあって25億円もするという。軽井沢に不動産も持っている。一族は地元福岡県にある「麻生グループ」と呼ばれる複数の企業を経営しており、麻生太郎氏も中核となる企業の社長を務めたことがある。

 "おんぶにだっこ"ばかりではなく、麻生太郎氏自身もなかなかの才能の持ち主だ。1976年(35歳)モントリオールオリンピックにおいてはクレー射撃(スキート)日本代表だったという(41位)。私は射撃など実際には見たことすらないので何ともいえないが、金持ちのスポーツというイメージがある。

 学歴は1963年学習院大学政治経済学部政治学科卒業。海外留学を経て1966年実家の麻生産業入社。サンパウロ駐在歴あり。1973年麻生セメント社長(6年半余)。1979年衆議院議員初当選。現在まで当選回数14回。総理大臣、副総理、財務大臣、外務大臣、幹事長、その他役職多数。

 1983年43歳時、鈴木善幸元総理の三女千賀子と結婚。後に一男一女をもうける。結婚が遅いのが麻生元総理らしいかもしれない。まるっきりの硬派であり、女性に向かってお世辞の一つも言えないのだろう。政治家としても、特に女性から不人気であるのが麻生氏の特徴である。

 宗教はクリスチャン(カトリック)だという。祖父の吉田茂元総理がクリスチャンだったというからその影響だろうか。

 漫画が好きなのも有名で、漫画の中でも「ゴルゴ13」を評価していたようだ。日本の漫画文化を世界に紹介した立役者だったかもしれない。

 以上ざっと紹介してみたが、麻生太郎氏こそ日本のスーパーエリートであることが分かる。家柄がよく、資産家であり、総理大臣まで務め、しかもオリンピック日本代表にもなっている。こういうのをエリートという。

 政治家として、特に女性からの人気がないと上に書いた。日本女性はお坊ちゃまが大好きで、そういう意味では麻生太郎氏は鳩山由紀夫よりも、安倍晋三よりも、数段上の超エリートお坊ちゃまになる。それが、女性からキャーキャー騒がれないのはもっぱらその性格に原因があるのだろう。

 私の偏見から言えば、日本の女性に好かれるためにはジャニー氏がよだれを流して近づいていくような、やさ男、色男である必要がありそうだ。ジャニー氏の好みと日本女性の好みは似ていて、色男、金と力はなかりけりを体現していなくては好かれない。これは男にとってはある意味大変につらい状況で、生きる目標を見失ってしまう。

 おそらく日本の女性は、全員とは言わないが、父性や男性性というものが気に食わないのだろう。森元総理などもその例になる。まるで女の敵のように扱われるけれども、実は女の敵なのではなくて、父性や男性性が見えすぎるためだろう。こうやって見ていくと、いわゆる草食系男子などというものは、女性が好むがゆえに発生してきたのかもしれない。

 女性が女性的すぎる、女らしすぎるということで、あるいは母性が強すぎるということで嫌われることは少ないように思う。この点、日本人は間違っている可能性があるかもしれない。女性と男性を比べてみたときに、実は優しいのは男性だったりする。それは、ヒラリー・クリントンやビクトリア・ヌーランドを見ればよく分かる話で、民族丸ごと抹殺というか虐殺してやれと狙っている。日本もその対象かもしれない。

 岸田総理も女性的であるがゆえに残酷だ。諸外国には媚を売って取り入ろうとするけれども、肝腎要の日本人に対しては実に冷たい。無関心といっても良い。「特技は『人の話をよく聞く』ということだ」と言っておきながら、実のところ「特技は『気に入った人の話だけをよく聞く』」ということだった。こういうのを女の腐ったような奴という。

 その点、麻生元総理は女性には総スカンを食うが、筋を通すことや、男らしく考え男らしく振る舞うということを忘れてはいない。というか、根っからそのような人間なのだろう。

 私は8年近く続いた第2次以降の安倍政権において、実質的な総理大臣は麻生太郎氏だったと考えている。安倍総理にはそこまで長期間政権を維持する実力はない。なぜそのようなことになったかといえば、まずは、麻生元総理が自分は国民から人気のない政治家であるということを知っていたためだ。自分が表に出てもうまく治まらない。だから、安倍元総理を傀儡として置いた。

 もう一つ、アメリカとの関係がある。以前ご紹介したことがあるが、「福田首相が辞任した本当の理由」(EJ第2484号)という記事がある。当時の日本の総理大臣は微力ながらも男気があり、日本を守ろうとする気概を持っていた。それゆえ、アメリカからの要求を突っぱねた。アメリカからの要求を受け入れた小泉政権が長期政権だったのに対し、安倍、福田、麻生が短期政権で終わったのは、アメリカの無法な要求に従わなかったからだ。愛国心を持っていた人たちだった。

 その結果どうなったか。アメリカは自民党政権をひっくり返して民主党政権を誕生させた。ある種のクーデターだった。このときのマスコミのプロパガンダときたら大変なもので、ちょっとしたドラマにも自民党が悪徳政権であるかのようなプロパガンダを盛り込んでいた。日本のマスコミは日本政府が直轄しているのではなく、アメリカが直接支配していることが分かる。今回の新型コロナ騒動においても、マスコミ報道は全部アメリカからの直接の指示に基づいており、日本政府とは別の動きをする。

 さて、民主党政権に代わった結果何が起きたか。私は、当時の民主党政権にもかなり愛国心があり、良心的だったと思う。なぜなら、鳩山、菅、野田と短期間で総理が交代し、野田総理は自民党に政権を返還したからだ。アメリカからの理不尽で強引な要求に抵抗したものの、耐えられないと考えたのだと思う。今考えると鳩山元総理がオバマに「トラスト・ミー(Trust me)」と言ったのはなかなかの傑作だと思う。アメリカなど極悪非道の国なのだからその程度の扱いで十分だ。

 その後誕生したのが安倍政権になるが、これが上記のように実質的には麻生政権であり、安倍元総理は麻生元総理の傀儡だった。もちろん、嫌々麻生元総理に従っていたのではなく、タッグを組んでいたという関係だったのだろう。

 トランプ大統領が誕生したときに、安倍元総理は世界に先駆けて面会に出向いたが、おそらくこれは麻生元総理の指示だろう。指示役と実行役がいることで、そこまで身軽に行動できるようになる。プーチンとの度重なる首脳会談も、背後に麻生元総理がいたがゆえのものに違いない。

 安倍元総理と麻生元総理が共謀してうまくアメリカを騙していたのだと思う。それがゆえの長期政権だった。そして、麻生元総理は岸田総理とは違って、国益を棄損してまでアメリカに従おうとするつもりは毛頭なかった。だから一貫して、面従腹背の方針でいたのだろう。

 新型コロナ対策にしても、ワクチンにしても、ロシア・ウクライナ紛争にしても、いかにして横暴なアメリカからの要求をいなすかが、安倍・麻生コンビの最重要課題だったはずだ。しかし、それも続けることができなくなり、菅総理の誕生となった。菅総理も大人しくアメリカに従う気持ちはなく、1年で辞任するという抵抗を見せた。

 そして、現在の岸田総理となる。なぜか1年で辞めない。つまり、これまで日本の総理大臣が何代にもわたって守って来た日本を明け渡したのだろう。そのせいでバイデンは上機嫌だ。

 ところで、アメリカは現在岸田総理に何を要求し、岸田総理は何を承諾したのだろうか。その奴隷契約はどのようなものだろうか。一つは金になる。岸田総理になってから放出する日本の金は100兆円ではすまないはずだ。おそらく、300兆円ないし500兆円の規模になるのではないだろうか。そんな金が全部アメリカに持っていかれる。その金でアメリカ人が贅沢をする。植民地の悲しさだ。

 金だけでは済まないのではないかと私は危惧している。それは何かといえば、日本のウクライナ化、岸田総理のゼレンスキー化になる。かつて中曽根康弘元総理は「日本列島を不沈空母のように強力に防衛する」と発言したようだが、岸田総理というこれ以上ない傀儡総理が現れたからには、アメリカは日本を不沈空母として使い、中国と一戦やらかす計画を立てていることだろう。

 岸田総理は国民を守ることなど考えておらず、それどころか自分の身を守ろうとして国民を盾にするような人物であると私はみなしている。日本のウクライナ化も、自分がゼレンスキー化するのも、岸田総理にとっては望むところなのだろう。そこで麻生太郎に一言いいたい。「おい、麻生太郎。目の黒いうちに、日本のため、日本人のためにもう一働きしろ。それがエリートの努めだ。」と。麻生元総理であれば、そのあたりの事情を理解できるはずだ。