今日はロバート・F・ケネディ・ジュニア(Robert Francis Kennedy Jr.)について書いてみようと思う。その前に、ロバート・F・ケネディ・ジュニアでは長くてまどろっこしいので、RFK jr.と略して書くことにしたい。英語の文章でもRFK jr.という略し方はされているので問題なさそうだ。

 RFK jr.については、7月24日の当ブログ記事でTwitterでの動画(議会証言)をご紹介した。私はこの証言を聞いていて心が洗われるような気がした。今ではすっかり失われてしまった人間としての普通の感覚があったからだ。現在の世の中はあまりに異常で、ごく普通、常識、平凡といったことですら感動を呼ぶようになったことを感じさせる。

 さて、最初に一番気になることから。それは、RFK jr.の聞きづらい声だ。「痙攣性発声障害」という病気らしい。声帯が自分の意思に反して「閉じよう、閉じよう」とするために、声が詰まってしまうのだという。(「Robert F. Kennedy Jr. Is Pretty Open About His Rare Voice Disorder」(2023.4.6 Distractify))

 43歳から症状が表れ、最初は目立たなかったが、2〜3年後からひどくなったとRFK jr.は話しているようだ。この「痙攣性発声障害」の原因は不明で、治療法はあるが一時的な症状改善はしても完治はしないらしい。

 RFK jr.といえば、あのケネディ家の一員であることがまず思い浮かぶ。伯父となるのが第35代アメリカ合衆国大統領のジョン・F・ケネディであり、1963年11月22日にオープンカーでパレード中に暗殺(射殺)された。RFK jr.の父親はそのジョン・F・ケネディの弟で、ロバート・F・ケネディになる。ロバート・F・ケネディは兄のジョン・F・ケネディが大統領だったときに司法長官を務めた。

 その後、ロバート・F・ケネディも大統領選に立候補したのだが、42歳時、大統領選のさなかに暗殺(射殺)されてしまった。ロバート・F・ケネディは子供が多く、7男4女をもうけた。RFK jrはその第3子で次男になる。

 元々ケネディ家はアイルランドで農家をしていたカトリック教徒で、高祖父が1849年にアメリカボストンに渡ってきた。曽祖父は上院・下院議員の経歴があり、祖父は駐英アメリカ大使だったという。

 RFK jr.の父であるロバート・ケネディについてウィキペディア(Wikipedia)を読むと、ずいぶん危ない橋を渡っていることに気がつく。良きにつけ悪しきにつけ敵が多い。黒人差別への反対、人種間の和解、貧困の撲滅、ベトナム戦争拡大停止、組織犯罪撲滅、環境問題などに取り組んだ。その一方では、マフィア、CIA、FBIとの、私の知識では付いていけないような複雑に絡み合った関係があったようだ。兄のケネディ元大統領同様、マリリン・モンローと性的関係を持ったこともあったという。時代だったのか、人並み外れていたのか。そんな波乱万丈の人生を送った父親の子がRFK jr.になる。

 以下、英語版 Wikipediaから引用しながら説明したい。RFK jr.は1954年生まれの69歳。ワシントンで生まれ、ヴァージニア州マクリーンとマサチューセッツ州ケープコッドで育つ。大統領だった伯父が暗殺されたときは9歳、父が暗殺されたときは14歳だった。16歳時にマリファナ所持で逮捕されたことがある。

 1976年にアメリカ史と文学の学士号を取得してハーバード大学を卒業。その後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学んだ後、ヴァージニア大学ロースクールで法学博士号、ペース大学で法学修士号を取得した。

 1982年、マンハッタンの地方検事補に任命されたが、同年ヘロイン所持で起訴された。1984年、リバーキーパーに調査員として加わり、1985年にニューヨークの弁護士資格を取得。環境法の専門家として水路の保護、先住民の権利、再生可能エネルギーを提唱してきた。

 こういう経歴を見ると、左翼系弁護士という印象を受ける。しかし、教条主義的ではないようだ。というのも、「2005年、ケネディはナンタケット海峡のケープコッド沖に計画されている洋上風力発電所"ケープ・ウィンド・プロジェクト"に反対し、全米の環境保護団体と衝突した。」との記載があるからだ。おそらく、そこに既得権益、利権、中抜きなどといったものがあるのを見破ったためだろう。

 政治的な発言としては、今回のコロナパンデミックにあたり、「アメリカ中産階級からスーパーリッチたちに4兆4000億ドルの富が移動した(ロックダウンによって500人の新たな億万長者が誕生し、すでに存在していたスーパーリッチたちは30%富を増やした)。」と述べている。

 さらに、「活気のある中産階級を経済の基幹とみなしており、"経済が悪化したのはアメリカの政治家たちが中流階級を組織的に空洞化させて、スーパーリッチをより金持ちにさせたため"と発言している。また、"超富裕層はもっと税金を払い、企業を増やすべきだ"として、マサチューセッツ州選出の上院議員エリザベス・ウォーレンの"富裕税"プランへの支持も表明している。」

 この言い方から類推して、"人口削減論"などというものにRFK jr.は関心がないようだ。人口削減論は、スーパーリッチたちが金儲けという自分たちの卑近な目的を表明しにくいために、煙幕として、あるいは論点ずらしのために、わざと流している陰謀論にすぎない。大体において、ビル・ゲイツなどの顔付きや言動などは、あまりにも軽薄短小すぎるわけで、人口削減など高尚なことを考えるだけの真面目さなどかけらもない。仮に人口削減を本気で行おうとしているのであれば、その動機は人殺しを楽しみたいためだろう。

 ロシア・ウクライナ紛争に関しても、どうやらRFK jr.は私と同意見のようだ。「ロシア・ウクライナ紛争」を「アメリカの対ロシア戦争」と呼び、戦争の目的は「ネオコンの地政学的野心のために、死と破壊の屠殺場でウクライナの若者を生け贄にすること」だと述べたという。

 RFK jr.はアメリカの軍事産業と対外介入に反対しており、「イージス艦ミサイル・システムは東ヨーロッパから撤去されるべき」「ウクライナのNATO加盟を禁じることを支持」「大統領になった場合は、ロシアのNATO加盟と中華人民共和国との緊張緩和を検討する」「ウクライナ政府がドンバスのロシア系住民に対して残虐行為を行っていると非難」「1953年のイランのクーデターのようなアメリカが支援したクーデターや介入を"血に飢えたもの"と非難し、シリアやイランのような国へのアメリカの介入がISISのようなテロ組織の台頭や地域の反米感情を生み出したと非難」したという。さらに「CIAは説明責任を果たしていないと述べ、CIAを再編成する意向を表明した」とも記載されている。

 以前は左翼的な環境活動家という側面が確かにあったようだ。2015年のインタビューでは地球温暖化に懐疑的な政治家に言及し、「彼らを罰することができる法律があればいいのに」と述べたそうだ。また、「現在の社会と経済は持続不可能であり、"長年にわたる石炭と石油への致命的な中毒"に基づいている、現在の経済システムは公害を助長していると主張した」などの記載がある。

 ただし、2023年には「民主主義を持ちたいのであれば、多様な農民が土地を所有し、それぞれが我々のシステムに利害関係を持つことが必要だ」「原子力エネルギーが危険だと言っているのは、絞り染めのTシャツを着たヒッピーではなく、スーツにネクタイを締めたウォール街の男たちだ」と述べたという。

 このような、いかにも左翼の環境活動家的な側面がRFK jr.にはあるようで、新型コロナ用ワクチンに反対するのも、同じ流れなのかもしれない。ただし、私がRFK jr.の話に共感するのは、彼がイデオロギー的でも教条主義的でもないからだ。現実を見、現実を受け入れた上で、自分なりに考えを運ぶことができる人であるように感じる。

 結婚歴は3回ある。最初の妻との間に2人、2人目の妻との間に4人の子供がいる。現在の妻は女優のシェリル・ハインズで、2014年に結婚している。現在、ロサンゼルスとマサチューセッツ州ケープコッドに住んでいる。

 長くなるので、こんなところでRFK jr.の紹介を終わりたい。全体的な感想としては、考え方の筋の良さ、折り目正しさが印象に残る。頭の中にきちんとした思考回路を持っていることを感じさせる。このあたりはケネディ家に共通する一族の血、DNAといったものだろうか。頭の中に思考回路が存在しない日本の岸田総理の対極に位置する。

 強靭な思考回路を持っているものだから、事なかれで穏やかにすまないことも多々生じる。環境問題はそうであり、今回の新型コロナ騒動の闇を暴く姿勢も同じだ。そのせいで、敵が増えてしまうのは、伯父のジョン・F・ケネディ、父のロバート・F・ケネディと同じなのだろう。

 ネットでの情報を見ていても、RFK jr.に対する反感の強さが感じられ、できるだけ軽視しよう、あるいは間違っていることをあげつらおうとするものがたくさんあった。当記事はWikipediaからの引用が多いが、それに関しても果たしてその内容がどれくらい中立的なものか、貶めようとする力が働いていないかなどは、RFK jr.自身に聞いてみなければ分からないところがある。

 しかし、アメリカ全部を敵に回しても戦おうとする姿勢は見上げたものであり、総理大臣以下、アメリカの犬をやって喜んでいる日本の政治家に爪の垢でも煎じて飲ませたいところだ。また、思考回路が優れていて強靭であるため、敵と斬り合うことによって洗練されていくとともに、本質を見抜くことができるようにもなっているようだ。時とともに成長していく。なるほどアメリカ人のケネディ家好きの理由はそんなところにもあるのかと感じさせる。

 今の世界、特にアメリカは完全に誤った方向に進んでいる。本物の犯罪者が大統領をしている。そして、アメリカという国そのものも犯罪国家になっている。それを理解すること、さらには指摘することは、アメリカ人にとっても極めて難しいことらしい。そんなときにポッと現れたRFK jr.の存在は、彼が大統領になるかならないか以前の問題として、アメリカ人を覚醒させるために極めて貴重なものであると感じる。

 

※次回1回お休みして3日にアップします。よろしくお願いします。(^^)