前回の記事「経済産業省 VS 厚生労働省」の記事の最後に、「相手は理系の技術屋である。ナンボのものでもない。」と書いた。誤解のないように説明すると、この「理系の技術屋」というのは医者のことを指す。ごく一般の理系の技術職として真面目に働いている人のことではないので、お分かりになるとは思うが念のためお断りしておく。

 

さて、その医者であるが、「特権階級」である。今の日本では最大の特権階級ではないだろうか。まず第一に収入が多い。大学教授よりも、公認会計士よりも、弁護士よりも上である。さらに、実質定年退職がない。働こうと思えば健康である限り永遠に仕事がある。生涯高収入の仕事が保証されている。

 

特権階級である第2の理由は、その権限の大きさである。些末なことまで医師免許がなければできないことになっている。「こんなつまらんことまで、あのヤブ医者の許可を貰わなければできないのか」とため息の出るような仕組みになっている。そのため、病院等のお殿様的存在になっている。どんなバカ殿であっても、ご機嫌を損ねるわけにはいかないところがある。

 

第3に客への気遣いが無用である。客よりも店員の方が立場が強いなどという職業はそうそうあるものではないが、医者がそうである。ごくわずかのクレーマーやオバタリアン、ボケ老人などを除いては、医者に嫌われて手術の時に手抜きをされたり、効きの悪い薬を処方されてはたまらないと思うものだから大人しく従う。

 

日本における最大の特権階級であるため、医者を志望する者が大変に多い。医学部はどこも超難関である。それだけ医者になりたい者が多いということが、医者がいかにうまみのある職業であるかの証拠である。わざわざ私がここで書くまでもない。

 

特権階級を作ってしまったことは、日本社会の損失となっている。まず、優秀な者がこぞって医者になってしまう点である。東大法学部にいくか、医学部に行くか、どちらも選択できる優秀な高校生が医学部を選択することはめずらしいことではない。なぜなら、東大法学部に行っても特権階級になれる保証はないが、医学部に行って医者になりさえすれば、その時点で特権階級だからだ。

 

医学部にばかり優秀な者が集まって、他がおろそかになることは、明らかに日本の損失である。近年、日本の成長がストップしているのは、案外こんなところに原因があるのかもしれない。いくら優秀な医者がたくさんいたところで、医者はあくまで修理屋であり、それで国力が上がるわけではない。

 

人間は特権階級になってしまうと、必ずその地位や身分の上にあぐらをかき始める者が出る。これは、どんなに優秀な人間であっても避けることのできない宿命のようなものである。もちろん、全部の医者ではない。多くの医者は、一所懸命仕事に取り組んでおり、頭が下がるような立派な人もたくさんいる。

 

しかし、特権階級である限り、一定の割合で勘違いをする人間が現れるものである。私たち一般庶民であっても、特権を持たされるとあっという間に悪人になる。一般庶民が悪人でないのは特権を持たないせいであって、人格が優れているためではない。

 

特権を持てない者は何かと苦労が多い。世の中には理不尽なことがたくさんある。なぜそんな無茶苦茶なことが、と思うようなことであふれている。しかし、腹の中では不満を抱えつつ「よろしくお願いします」と頭を下げているのが一般庶民である。

 

医者にはそんな必要はない。バカ殿であっても「俺がいなければ、お前たち困るだろう」と思えるくらいの権限を持っている。若い頃は大変に優秀な医者で、人格的に優れていたとしても、人が自分にひれ伏す経験を重ねていくうちに、傲慢になっていく者も出始める。そして、そのような医者が社会の害悪となる。

 

もう一つある。特権階級であっても驕り高ぶることなく真面目に、誠心誠意仕事をしている医者はそれでいいかというと、そうでもないのである。そのような医者は、「良い子」で終わってしまう。医者なのに腰が低くて、思いやりがあって、仕事熱心であれば、周りの者は喜ぶ。そうすると、その医者は満足してしまうのである。そして、満足してしまうと精神的な成長が止まってしまう。

 

私のようにうだつの上がらないサラリーマンは、腰を低くして一所懸命仕事をしたところで誰も褒めてくれない。給料も低い。欲求不満が高じる。しかし、そのような環境の中で見えてくるものも数多い。そのせいで精神的に成長する部分が生じる。

 

しかし、純粋で人から好かれ、仕事にも真面目な医者は、世の中の理不尽さを知る機会に恵まれず、それだけで終わってしまう。ある意味気の毒であり、人格者となる道を閉ざされてしまっている。

 

ところで、当ブログではこれまで厚生労働省を散々批判してきた。理屈に合わないことや現状から外れたことを言ったり、したりするので批判するのだが、おそらくその批判は、厚生労働省に巣くっている医者が対象なのかもしれないと思う。

 

厚生労働省の内部事情など知る由もないのだが、官僚であればもう少し常識があるのではないかと思う。おそらく厚生労働省は、ある部分を医者に乗っ取られている、つまり権限を握られてしまっているところがあるのではないだろうか。

 

官僚の中でも東大法学部出身の大蔵省エリートなどは、かなり特権階級に近い部分があるが、お殿様になっていられない部分も多い。同僚間で出世競争があり、下手なことをすれば上司から叱られ、責任を問われる。政治家は無理難題を吹っかけてくるし、傲慢な政治家に対する根回しや、嘘の国会答弁を作成するだけでもかなりつらい仕事である。世間並みの苦労を必要とされる部分が少なくないのが官僚である。

 

しかし、そのようなことのない医者は歯止めがかからない。悪徳医師の中で世間によく知られているのが、例の「8割おじさん」である。このままでは日本で42万人死ぬと詐欺まがいのことを言ったのだが、医師という特権階級の上にあぐらをかくと、ここまで非常識になるという見本のようなものである。

 

「8割おじさん」は単独で悪いのではない。それを厚生労働省に呼び寄せた医者仲間がいたはずである。そして、厚生労働省や医者にとって都合のいいことを言う役割を担ったという図式である。

 

医者は元々優秀である。その優秀な医者が悪人になると優秀な悪人になり、人一倍阿漕(あこぎ)なことを始める。その阿漕さで厚生労働省を動かしている部分があるのではないかと、これは私の勝手な想像であるが、そうに違いないと思っている。おそらく、安倍前総理にまで手を回したのだろう。

 

その勢いはまだ収まっていない。最終的な狙いは医者にとって都合の良い日本を作ることである。日本を医者のパラダイスにしたいと狙っている。

 

ただ、ある意味それは自然なことである。どんな組織も、企業も、自分たちの勢力を拡張しようと一所懸命なのは当然である。しかし、一方では独占企業が野放図に勢力を拡張していくことを防ぐような仕組みがなくてはならない。

 

例えばの話をする。例えば、パン屋があったとする。パンをたくさん売って儲けたいと思うのは自然である。しかし、政治家や官僚に働き掛けて、パンを売るために米を作るのを制限するよう仕向けるとなれば異常である。あるいは、米を食べるのは健康に悪い、パンを食べると健康になれるなどと、あることないこと言いふらすのは許されない。

 

今の厚生労働省は、そんなパン屋そっくりである。自分たちの勢力を拡張するために、嘘をついて感染症の恐怖を植え付けようとしている。自分たちのために、自粛という名の下に他者の活動を妨害している。そして、必要もない組織やシステムを作って組織の拡大を図ろうとしている。

 

官僚であれば、同僚、上司、他の省庁、政治家、マスコミ、国民などから批判が殺到する。しかし、医者は元々の特権と、悪賢い頭脳を用いて、独占企業がやりたい放題をするのと同様に世間を操作しようとしている。また、特権階級であるがゆえに、一般庶民は自分たちの主張を受け入れるのが当然であると感じて躊躇することがない。

 

その傲慢で不遜で非常識な姿勢は、「食事中にマスクを付けろ」という尾身茂新型コロナ感染症対策分科会会長の発言に端的に表れている。これを聞いて怒らないのだから、日本人は我慢強いというのか、困ったものである。さらに言えば、これが人を馬鹿にし、なめた発言だということに気が付くことができないほど医者はずれてもいる。

 

何とかして特権階級である医者の暴走を止めて、常識を身に付けさせないと、日本の癌として国を滅ぼしかねないと感じる。