井伏鱒二と町田康
井伏鱒二の寒山拾得が面白かった。各地を転々としながら自分の書いた絵を売っている男がいるんだけれど、彼の絵は旅先で泊った宿の掛け軸の模写で、模写しては次の旅先で売り、その旅先でも絵を模写してまた次の旅先で売るということを繰り返している。つまり、小手先で絵を描くという技術はあるけれど、自らの発想はない。そんな男とその男を訪ねた友人が、床の間に飾ってあった寒山拾得の絵を模写する。絵描きはやはりうまい。友人は掛け軸の寸法がうまくとれず、余白が出来てしまい、そこに何となく船かなんかをかいてごまかす。
と、なんだかいい加減な二人なんだけど、酒を飲んだときに、二人で描いた寒山拾得の真似をする。
ちなみに寒山拾得というのは寒山と拾得という二人の僧の名前で、乞食同然の格好をしながら奇声を発したり歌をうたったりしていたといわれている。そのおかしなエピソードのおかげか、絵の題材として好まれていたようなのだけれど、それがまぁニッタリと笑っているのだ。
そこでインチキ絵描きとその友人は「げらげらげら こうだ」「いや こうだ げらげらげらげら」とやり合う。酔っ払いのやりそうなこと。でも、確実に真剣にやっている。阿呆なことを真剣にやっている。その滑稽さがたまらなく面白く読めた。
で、しばらくこのお話が頭に残っていて、ある日ふと自分の本棚をあさって久々に町田康のくっすん大黒を読んだら、笑いの表現で「げらげらげら」というのが出てきた。あれ?と思って読み進める。そうして読み終わって、あぁ、くっすん大黒って寒山拾得をモチーフにしてるのねと気づいた。そういえば くっすんだいこく かんざんじっとく なんか響きも似てるしね。
かといってじゃぁまるぱくりかといえばまったくそうじゃないし、くっすん大黒もそれはそれでとても面白い。それどころか、自分の解釈と時代感でここまで持っていくのはさすがだなぁと思う。そして、私はこの種の笑いがたまらなく好きらしい。
こういう発見も本を読む楽しみ。明日もジャンルを選ばずに何かを読もう。
と、なんだかいい加減な二人なんだけど、酒を飲んだときに、二人で描いた寒山拾得の真似をする。
ちなみに寒山拾得というのは寒山と拾得という二人の僧の名前で、乞食同然の格好をしながら奇声を発したり歌をうたったりしていたといわれている。そのおかしなエピソードのおかげか、絵の題材として好まれていたようなのだけれど、それがまぁニッタリと笑っているのだ。
そこでインチキ絵描きとその友人は「げらげらげら こうだ」「いや こうだ げらげらげらげら」とやり合う。酔っ払いのやりそうなこと。でも、確実に真剣にやっている。阿呆なことを真剣にやっている。その滑稽さがたまらなく面白く読めた。
で、しばらくこのお話が頭に残っていて、ある日ふと自分の本棚をあさって久々に町田康のくっすん大黒を読んだら、笑いの表現で「げらげらげら」というのが出てきた。あれ?と思って読み進める。そうして読み終わって、あぁ、くっすん大黒って寒山拾得をモチーフにしてるのねと気づいた。そういえば くっすんだいこく かんざんじっとく なんか響きも似てるしね。
かといってじゃぁまるぱくりかといえばまったくそうじゃないし、くっすん大黒もそれはそれでとても面白い。それどころか、自分の解釈と時代感でここまで持っていくのはさすがだなぁと思う。そして、私はこの種の笑いがたまらなく好きらしい。
こういう発見も本を読む楽しみ。明日もジャンルを選ばずに何かを読もう。