梅雨空の鳥 | 恵比寿物語

梅雨空の鳥

オフィス内は禁煙なので

煙草とライターと携帯灰皿を持って

非常用の外階段に向かう

重い扉に小さなつっかえをして外に出ると

夕方らしく学生たちの帰宅姿が4階分下に見える


ちゃっちゃとどこからか鳥の鳴く声がする

どこだろうと見回したけれどどこにもその姿が見えない


ふわふわと煙をくゆらせながら

その見えない鳥の姿を想像する

煙草の箱ぐらいの大きさで

ラピスラズリみたいな深い青い色で

尾の先は赤松のような茶色

嘴は黄色がいい


と良く見ると

向かいのオフィスでタンクトップ姿の小太りのおっさんが

ゴムと鉄で出来た椅子のようなものを回している


ちゃっちゃっちゃ


回る度に音がする


まだ二、三口吸えるはずの煙草をもみ消して

非常から日常の世界へ戻る


あのおっさんは今

窓から飛び出して鳥になったのかもしれない